ひそうひぞく 非僧非俗 でもなく俗人でもないという、 親鸞が示した自身の立場のこと。 「化身土文類」 に 「あるいは僧儀を改めて姓名を賜うて遠流に処す。 予はその一つなり。 しかれば、 すでに僧にあらず俗にあらず。 このゆゑに禿の字をもつて姓とす (或改僧儀賜姓名処遠流予其一也爾者已非僧非俗是故以禿字為姓)」 とある。 非僧とは、 じょうげんの法難によって流罪に処せられた時に僧籍を剥奪されたことから、 「僧尼令」 にもとづいた国家公認の僧侶ではなくなったことをいう。 非俗とは、 種々に誤解されるが、 妻帯をしていても、 ほうをつけて世俗の権勢にこびず、 名利をいたむ心をもって念仏者として生きるのだから単なる俗人でもないということとされる。 このような宗教的態度を表明するために親鸞は 「禿」 を姓とし、 さらに自身の愚悪を表して 「愚禿」 と称した。 後年は 「愚禿釈親鸞」 などと自署するが、 「愚禿」 は 「非僧」 を示す姓、 「釈親鸞」 は 「非俗」 なる仏教徒としての自覚を示す名とみられる。 →愚禿自信教人信