ごぞくしょう 御俗姓 1通。 蓮如の著。 ¬御俗姓御文¼ ¬俗姓の御文¼ ¬御俗姓御文章¼ などともいう。 親鸞の事蹟を述べ、 門徒の心得を説く。 文明9年 (1477) 蓮如63歳のとき、 親鸞の御正忌報恩講に際して示された教語。 真宗寺院では毎年の報恩講の際に拝読される。
 本文は5段に分かれる。 第1段には、 親鸞の俗姓を明かす。 親鸞は藤原氏で、 後長岡の丞相 (内麿公) の末孫、 皇太后宮の大進有範の子であると説く。
 第2段では、 親鸞は阿弥陀仏化身であり、 あるいは曇鸞の再誕であって、 ただびとではないといい、 9歳で出家し、 楞厳かわの末流を伝え、 天台宗の碩学となり、 29歳の時法然の禅室に至り、 上足の弟子となり、 真宗一流を汲み、 専修せんじゅ専念の義を立て、 凡夫直入の真心をあらわし、 在家の愚人を浄土往生するよう勧めたと記す。
 第3段では、 11月28日の親鸞遷化の御正忌に報謝の志を運ばないものは木石にも等しいと誡める。
 第4段では、 報恩謝徳をなすことこそ、 報恩講の眼目であるが、 もし未安心あんじんであるならば、 真の報謝にはならないことを、 ねんごろに教示し、 真の正信念仏者になるのでなければ、 祖師の御恩に報いることにはならないと説く。
 第5段では、 真実信心の人が少ないことを嘆きつつ、 一念帰命の真実信心を勧めている。