十四(542)、 熊谷の入道へつかはす御返事

熊谷くまがやにゅうどうへつかはすへん だいじゅう

御文おんふみくはしくうけたまはりそうらいぬ。 かようにまめやかに、 だいにおぼしめしそうろうらん。 返々かえすがえすありがたくそうろう。 まことにこのたび、 かまへておうじょうしなんと、 おぼしめしきるべくそうろう

うけがたき人身にんじんすでにうけたり、 あひがたき念仏ねんぶつおうじょう法門ほうもんにあひたり。 しゃをいとふこころあり、 極楽ごくらくをねがふこころおこりたり。 弥陀みだ本願ほんがんふかし、 おうじょうはたなごゝろにあるたびなり。 ゆめゆめおん念仏ねんぶつおこたらず、 けつじょうおうじょうのよしをぞんぜさせたまふべくそうろう何事なにごともとゞめそうらいぬ。

がつじゅう六日ろくにち  源空げんくう