0076黒谷上人漢語灯録巻第六

  厭欣沙門 了恵 集録

 

かん第一だいいちろく 当巻とうかんしょうあり

 おうじょうようしゅうしゃく第七だいしち
 どうりゃくりょうけん第八だいはち
 どうりょうけんだい
 どう詮要せんようだいじゅう

漢語第一之六 当巻有四章

 往生要集釈第七
 同略料簡第八
 同料簡第九
 同詮要第十

 

七、往生要集釈

おうじょうようしゅうしゃく第七だいしち

まさにこの ¬しゅう¼ をしゃくせんとするに、 きょうろんしゃくするにじゅんぜば三門さんもんるべし。 いちにはたいには釈名しゃくみょうさんにはにゅうもんしゃくなり。

ルニ↠釈↢此¬集¼↡、ジュンゼバ↠釈ルニ↢経論↡可↠有↢三門↡。一ニハ者大意、二ニハ者釈名、三ニハ者入文解釈ナリ

七、往生要集釈 大意

はじめにたいとは、 それほっしょうびょうどうにしてじょうはなるといへども、 またぜんじょうえん因縁いんねん仮有けうはなれず。 このゆゑにぶつえんごんじょうすすめたまふ。 ただしいとふといへどもむなしくいとひ、 ねがふといへどもむなしくねがふ、 もしそのぎょうなくはつひにるところなし。 このゆゑに念仏ねんぶつしゅしておうじょうがんす、 これそのたいなり。

0077大意トハ者、法性平等ニシテ雖↠離↢浄穢↡、亦復不↠離↢染浄縁起、因縁仮有↡。是仏勧タマフ↢厭穢欣浄↡。但雖↠厭空、雖↠欣、若クハ↢其行↡終無↠処↠獲。是シテ↢念仏↡求↢願往生↡、是其大意ナリ也。

七、往生要集釈 釈名

題目だいもくしゃくすとは、 「おうじょう」 といふは、 草庵そうあんひさぐあひだ、 すなはちこれ蓮台れんだいあしむすぶほど、 すなはち弥陀みだぶつあとしたがひ、 さつしゅなかにありて、 一念いちねんのあひだに西方さいほう極楽ごくらくかいしょうずることを。 ふゑにおうじょうといふなり。

トハ↢題目↡者、言↢「往生」↡者、草庵ヒサ↠目、便是蓮台↠趺之程、即従↢弥陀仏↡、在↢菩薩衆↡、一念之頃得↠生コトヲ↢西方極楽世界↡。故↢往生↡也。

つぎに 「よう」 とは、 この ¬しゅう¼ のなか念仏ねんぶつしょぎょうもんありといへどもしょぎょうをもつてそのようとせず、 すなはち念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす。 ゆゑにじょ (要集巻上) にいはく、 「念仏ねんぶつ一門いちもんによりて、 いささかきょうろん要文ようもんあつむ」 と。 第八だいはち念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下) にまた 「おうじょうよう直弁じきべんするに、 おほ念仏ねんぶつといふにはしかじ」 と。 また (要集巻下) いはく、 「あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとす」 と。 これらのこころによるに、 ようことばはただ念仏ねんぶつかぎりてしょぎょうつうぜず。

次「要トハ」者、此¬集¼中雖↠有↢念仏・諸行二門↡而以↢諸行↡不↠為↢其↡、即以↢念仏↡為↢往生↡。故序、「依↢念仏一門↡、聊ムト↢経論要文↡。」第八念仏証拠門亦「↠如↧直↢弁スルニ往生之要↡、多云ニハ↦念仏↥。」又云、「明契経以↢念仏↡為↢往生之要↡。」依ルニ↡、要之言唯局↢念仏↡不↠通↢諸行↡。

つぎに 「しゅう」 とは、 ひろきょうろんによりて念仏ねんぶつおうじょうもんせんしゅうす、 ゆゑにしゅうといふなり。 この ¬しゅう¼ にじょうちゅうあり、 ゆゑに 「かんじょう」 といふのみ。

「集」者、広↢経論↡撰↢集念仏往生之文↡、故言↠集也。此¬集¼有↢上・中・下↡、故言↢「巻上」↡耳。

七、往生要集釈 入文解釈

さんにゅうもんしゃくとは、 これにこころあり、 いちには三段さんだん分別ふんべつし、 にはしょうもん開合かいごうあかす。

三入文解釈トハ者、此有↢二意↡、一ニハ者分↢別三段↡、二ニハ者明↢章門開合↡。

七、往生要集釈 入文解釈 分別三段

いち三段さんだん分別ふんべつすとは、 三段さんだんといふは、 いちには序分じょぶんには正宗しょうしゅうぶんさんにはずうぶん

分↢別トハ三段↡者、言↢三段↡者、一ニハ序分、二ニハ正宗分、三ニハ流通分。

いち序分じょぶんとは、 はじめに 「それおうじょう極楽ごくらく」 より 「廃忘はいもうそなへん」 にいたるまでは、 これ序分じょぶんなり。

序分トハ者、初↢「往生極楽」↡至マデハ↢于「備↢於廃忘↡矣」者、序分ナリ也。

正宗しょうしゅうといふは、 「大文だいもん第一だいいち」 よりかんまつへ ¬ほうしょうろん¼ のいたるまでは、 正宗しょうしゅうぶんなり。

↢正宗↡者、自0078↢「大文第一」↡至マデハ↢下巻¬宝性論¼偈↡、正宗分ナリ也。

さんずうといふは、 かん内題ないだいおく七言しちごん四句しく、 これずうぶんなり。

流通↡者、下巻内題奥七言四句偈、是流通分ナリ也。

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合

しょうもん開合かいごうあかすとは、 まづかいつぎがっす。

トハ↢章門開合↡者、先

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 開

まづかいとは、 じょなか (要集巻上) にいふがごとく 「そうじてじゅうもんあり。 わかちて三巻さんかんとなす。 いちにはえん穢土えどないじゅうには問答もんどうりょうけん」 と。 これすなはちかいなり。

トハ者、如↢序↡「総ジテ↢十門↡。分為↢三巻↡。一ニハ厭離穢土、乃至十ニハ問答料簡。」ナリ也。

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 合

つぎごうとは、 さきじゅうもんつかねてもんとす。 いはくいちにはえん穢土えどもんにはごんじょうもん、 このもんなかにすなはち第三だいさん極楽ごくらくしょうもんせっす。 さんにはしょうしゅ念仏ねんぶつもん、 このもんなかにすなはち助念じょねんべつやくしょうもんせっす。 にはおうじょうしょぎょうもんには問答もんどうりょうけんなり。

トハ者、前十門ツカネテ為↢五門↡。謂ニハ厭離穢土門。二ニハ欣求浄土門、此之中即摂↢第三極楽証拠門↡。三ニハ正修念仏門、此即摂助念・別時・利益・証拠四門↡。四ニハ往生諸行門。五ニハ問答料簡ナリ也。

ひていはく、 じゅうもんだい造主ぞうしゅさだめてそのこころあるべし。 いまなんがゆゑぞ末学まつがくようくたやすく開合かいごうろんずる、 なんのゆゑかあるや。 こたへていはく、 第三だいさん極楽ごくらくしょうもんこころは、 すなはちだいごんじょうもんうたがいしゃくす。 いはく十方じっぽうおよびそつたいして、 ただひとへに西方さいほういち釈成しゃくじょうす。 ゆゑに一門いちもんとなす。

問曰、十門次第、造主定↠有↢其意↡。今何末学稟↠庸ズル↢開合之義↡、有ルヤ↢何↡耶。答曰、第三極楽証拠門之意、即釈↢第二欣求浄土門之疑↡。謂シテ↢十方及都卒↡、唯偏釈↢成西方一義↡。故↢一門↡。

ひていはく、 なんがゆゑぞだい第六だいろく第七だいしち第八だいはち、 これをがっして一門いちもんとするや。 こたへていはく、 しょうじょじょうべつ修因しゅいんとくに、 一往いちおうこれをひらきてもんとすといへども、 しょぎょうたいするに、 もんともにこれ念仏ねんぶつなるがゆゑに、 またがっして一門いちもんとす。 ゆゑにじょなか (要集巻上) にいはく、 「念仏ねんぶつ一門いちもんによりて、 いささかきょうろん要文ようもんあつむ」 と。

問曰、何第五・第六・第七・第八、合シテ↠之ルヤ↢一門↡乎。答曰、依↢正助、長時・別時、修因得果↡、一往開↠之雖↠為↢五門↡、対スルニ↢諸行↡、五門共念仏ナルガ、亦合シテ為↢一門↡。故、「依↢念仏一門、聊↢経論要文」。

また第八だいはち念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下) なかに、 「ひていはく、 一切いっさい善業ぜんごうおのおのやくありて、 おのおのおうじょう。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるや」 と。

又第八念仏証拠門、「問曰、一切善業各有リテ↢利益↡、各得↢往生↡。何唯勧↢念仏一門↡。」

だいもんはじ (要集巻下) にいはく、 「極楽ごくらくもとむるものかならず念仏ねんぶつをもつぱらにせずは、 すべからくしょぎょうあかしておのおのぎょうよくじゅうすべし」 と。

第九門0079、「求↢極楽↣必専↢念仏↡、須↧明シテ↢諸行↡各住↦楽欲↥。」

じょなかに 「一門いちもん」 といふは、 そうじていちじゅうもんなかいふところの念仏ねんぶつして、 「念仏ねんぶつ一門いちもん」 といふ。 これすはなちしょぎょうたいしてこれをろんず。

↢「一門」者、総ジテシテ↢一部十門之中↠言念仏↡、云↢「依念仏一門」。則対↢諸行↡論↠之

第八だいはち念仏ねんぶつしょうもんなかにいふところの 「一門いちもん」 とは、 かみしょうしゅ念仏ねんぶつ以下いげもんす、 またしょぎょうたいして一門いちもんといふなり。

第八念仏証拠門↠言「一門トハ」者、指↢上正修念仏已下四門↡、亦対シテ↢諸行↡云↢一門↡也。

だいもんはじめに 「念仏ねんぶつ」 といふは、 一門いちもんことばなしといへども、 こころしょうしゅ以下いげもんして念仏ねんぶつといふなり。 これはしょぎょうたいしてまた念仏ねんぶつといふ。

第九門↢「念仏」↡者、雖↠無↢一門言↡、意↢正修已下五門↡云↢念仏↡也。是↢諸行↡亦云↢念仏↡。

この ¬おうじょうようしゅう¼ につきてこうりゃくようとあり。

就↢此¬往生要集¼有↢広↡。

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 広

こうとは、 このいち三巻さんかんじょしょうずうあり、 えんとうじゅうもんつかねてもつてこうづく。 じゅうもんとは、 「いちにはえん穢土えどにはごんじょうさんには極楽ごくらくしょうにはしょうしゅ念仏ねんぶつには助念じょねん方法ほうほうろくにはべつ念仏ねんぶつしちには念仏ねんぶつやくはちには念仏ねんぶつしょうにはおうじょう諸業しょごうじゅうには問答もんどうりょうけんなり」(要集巻上) と。

トハ者、此一部三巻↢序・正・流通↡、厭離等十門↠広。十門トハ者、「一ニハ厭離穢土、二ニハ欣求浄土、三極楽証拠、四ニハ正修念仏、五ニハ助念方法、六ニハ別時念仏、七ニハ念仏利益、八ニハ念仏証拠、九ニハ往生諸業、十ニハ問答料簡也。」

はじめのえんにつきてしちあり。 「いちにはごくには餓鬼がきさんにはちくしょうにはしゅにはにんろくにはてんしちには総結そうけつなり」(要集巻上) と。

↢厭離↡有↠七。「一ニハ地獄、二ニハ餓鬼、三ニハ畜生、四ニハ阿修羅、五ニハ人、六ニハ天、七ニハ総結也。」

ごくにつきてはちあり。 「いちには等活とうかつにはこくじょうさんには衆合しゅごうにはきょうかんにはだいきょうかんろくにはしょうねつしちにはだいしょうねつはちにはけんなり」 と。 (要集巻上)

地獄↡有↠八。「一ニハ等活、二ニハ黒縄、三ニハ衆合、四ニハ叫喚、五ニハ大叫喚、六ニハ焦熱、七ニハ大焦熱、八ニハ無間也。」

ごんじゅうあり。 「いちにはしょうじゅ来迎らいこうらくにはれん初開しょかいらくさんには身相しんそう神通じんずうらくにはみょうきょうがいらくにはらく退たいらくろくにはいんじょう結縁けちえんらくしちにはしょうじゅ倶会くえらくはちには見仏けんぶつ聞法もんぼうらくには随心ずいしんぶつらくじゅうには増進ぞうしん仏道ぶつどうらくなり」 と。 (要集巻上)

欣求↠十。「一ニハ聖衆来迎楽、二ニハ蓮華初開楽、三ニハ身相神通楽、四ニハ五妙境界楽、五ニハ快楽無退楽、六ニハ引摂結縁楽、七ニハ聖衆倶会楽、八ニハ見仏聞法楽、九ニハ随心供仏楽、十0080ニハ増進仏道楽ナリ (要集巻上)

つぎ極楽ごくらくしょうあり。 「いちには十方じっぽうたいし、 にはそつたいす」 と。 (要集巻上)

極楽証拠↠二。「一ニハ↢十方↡、二ニハ都率。」

つぎしょうしゅにつきてあり。 「いちには礼拝らいはいもんには讃嘆さんだんもんさんにはがんもんには観察かんざつもんにはこうもんなり」 と。 (要集巻上)

↢正修↡有↠五。「一ニハ礼拝門、二ニハ讃嘆門、三ニハ作願門、四ニハ観察門、五ニハ廻向門ナリ。」

このなかに、 がんもんにつきてあり。 「いちにはえん四弘しぐ誓願ぜいがんにはえん四弘しぐ誓願ぜいがんなり」 と。 (要集巻上意)

、付↢作願門↡有↠二。「一ニハ縁事四弘誓願。二ニハ縁理四弘誓願。」

つぎ観察かんざつもんにつきてさんあり。 「いちには別相べっそうかんには総相そうそうかんさんにはぞうりゃくかんなり」 と。 (要集巻中) このなかに、 ぞうりゃくかんあり、 りゃく極観ごくかんあり。

↢観察門↡有↠三。「一ニハ別相観、二ニハ総相観、三ニハ雑略観。」(要集巻中) 、有↢雑略観↡、有↢略極観↡。

つぎ助念じょねん方法ほうほうにつきてしちあり。 「いちには方処ほうしょ供具くぐにはしゅぎょうそうみょうさんにはたいだいにはあく衆善しゅぜんにはさん修罪しゅざいろくにはたい魔事まじしちには総結そうけつようぎょうなり」 と。 (要集巻中)

↢助念方法↡有↠七。「一ニハ方処供具、二ニハ修行相貌、三ニハ対治懈怠、四ニハ止悪衆善、五ニハ懺悔修罪、六ニハ対治魔事、七ニハ総結要行ナリ也。」

このなかに、 しゅぎょうそうみょうにつきて、 しゅあり、 三心さんしんあり。 しゅとは、 いちにはじょうしゅにはごんじゅうしゅさんには間修けんしゅには無余むよしゅなり。 三心さんしんとは、 いちにはじょうしんには深心じんしんさんにはこう発願ほつがんしんなり。

、就↢修行相貌、有↢四修↡、有↢三心↡。四修者、一ニハ長時修、二ニハ慇重修、三ニハ無間修、四ニハ無余修ナリ也。三心トハ者、一ニハ至誠心、二ニハ深心、三ニハ廻向発願心ナリ

つぎあく衆善しゅぜんにつきて因縁いんねんあり。 「いちにはかいぼんには不起ふき邪見じゃけんさんにはしょうきょうまんにはしつにはゆうみょうしょうじんなり」 と。 (要集巻中)

↢止悪衆善↡有↢五因縁↡。「一ニハ持戒不犯。二ニハ不起邪見。三ニハ不生憍慢。四ニハ不恚不嫉。五ニハ勇猛精進ナリ也。」

つぎべつ念仏ねんぶつにつきてあり。 「いちにはじんじょうぎょうにはりんじゅうぎょうなり」 と。 (要集巻中)

次就↢別時念仏↡有↠二。「一ニハ尋常行儀。二ニハ臨終行儀ナリ。」

つぎ念仏ねんぶつやくにつきてしちあり。 「いちには滅罪めつざいしょうぜんにはみょうとく護持ごじさんには現身げんしん見仏けんぶつには当来とうらいしょうには弥陀みだ別益べつやくろくには引例いんれい勧信かんしんしちには悪趣あくしゅやくなり」 と。 (要集巻中)

就↢念仏利益↡有↠七。「一ニハ滅罪生善。二ニハ冥得護持。三ニハ現身見仏。四ニハ当来勝利。五ニハ弥陀別益。六ニハ引例勧信。七ニハ悪趣利益ナリ也。」

つぎ念仏ねんぶつしょうにつきてさんじゅう問答もんどうあり。

↢念仏証拠↡有↢三重問答↡。

つぎおうじょうしょぎょうもんなり。

往生諸行門ナリ也。

つぎ問答もんどうりょうけんにつきてじゅうあり。 「いちには極楽ごくらくしょうにはおうじょうかいさんにはおうじょうしょうにはじんじょう念相ねんそうにはりんじゅう念相ねんそうろくにはしんみょうしちにはしょぎょうしょうれつはちにはしん因縁いんねんには助道じょどうりょうじゅうには助道じょどう人法にんぽうなり」 と (要集巻下) 。 これをもつてこうづく。

就↢問答料簡↡有↠十。「一ニハ極楽依正。二ニハ往生階位。三0081ニハ往生多少。四ニハ尋常念相。五ニハ臨終念相。六ニハ麁心妙果。七ニハ諸行勝劣。八ニハ信毀因縁。九ニハ助道資縁。十ニハ助道人法。」↠此↠広

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 略

またりゃくとは、 助念じょねん方法ほうほうなかの、 総結そうけつようぎょう七法しちほうこれなり。

又略トハ者、助念方法、総結要行七法是ナリ也。

もん (要集巻中) にいはく、 「ふ。 かみ諸文しょもんなかぶるところすでにおおし。 いまだらずいづれのごうをかおうじょうようとする。 こたふ。 だいだいしん三業さんごうと、 深信じんしんじょうにしてつねに念仏ねんぶつすれば、 がんしたがひてけつじょうして極楽ごくらくしょうず」 と

(要集巻中) 、「問。上諸文↠陳。未↠知何ヲカ↢往生↡。答。大菩提心護三業、深信至誠常念仏スレバ、随↠願決定シテ生↢極楽↡。」

わたくしにいはく、 といこころは、 「かみ諸文しょもん」 とは、 えんとうもんすなり。 「ぶるところはすでにおおし」 とは、 えんしちあり、 ごんじゅうあり、 しょうあり、 しょうしゅあり、 助念じょねんしちあり。 かくのごときの諸文しょもんなかに、 ぶるところすでにおおし、 いまだらずいづれのごうをかおうじょうようとなすとふなり。

私云、問者、「上諸文」者、指↢厭離等五門↡也。「所陳トハ」者、厭離↠七、欣求↠十、証拠↠二、正修有↠五、助念↠七。如↠是諸文、所↠陳、未↠知ヲカスト↢往生ナリ也。

こたえこころは、 しばらくといじゅんじて七法しちほうえらびて、 もつておうじょうようづく。 かみもんなかに、 えんごんしょう三門さんもんようにあらず、 ゆゑにててらず。 「だい提心だいしん」 とは、 かみしょうしゅ念仏ねんぶつもんなか念門ねんもんあり、 そのなか願門がんもんるなり。 「三業さんごう」 とは、 かみあく衆善しゅぜんなかあくへんるなり。

者、且ジュンジテ↠問↢七法↡、以↢往生↡也。上五門、厭離・欣求・証拠三門↠要、故テヽ不↠取。「大菩提心トハ」者、上正修念仏門中有↢五念門↡、其↢作願門↡也。「護三業トハj者、上止悪衆善↢止悪辺↡也。

ふ。 あくなか十重じゅうじゅうじゅうはちきょうあり、 ともにこれをるか。 こたふ。 しからず、 まさしく十重じゅうじゅうるなり。 ゆゑにしももん (要集巻中) にいはく、 「三業さんごうじゅうあくよくしょうどうふ。 ゆゑにすべからくこれをまもるべし」 と、 これなり。

問。止悪↢十重・四十八軽↡、共ルカ↠之歟。答。不↠然、正↢十重↡也。故、「三業重悪能↢正道↡。故護↠之」、是也。

深信じんしん」 とは、かみしゅぎょうそうみょうなかしゅ三心さんしんある、 三心さんしんなか深心じんしんるなり。 「じょう」 とは、 じょうしんるなり。 「つねに」 とは、 しゅなかけんしゅるなり。 「念仏ねんぶつ」 とは、 かみねんなか観察かんざつもんるなり。

「深信トハ」者、上修行相貌↢四修・三心↡、三心↢深心↡也。「至誠トハ」者、取↢至誠心↡也。「常」者、四修↢無間修↡也。「念仏トハ」者、上五念取↢観察門↡也。

ふ。 観察かんざつもんなかに、 しょうねんあり、 観念かんねんあり。 まさしくはいづれのねんぞや。 こたふ。 しょうねんるなり。 ゆゑにしももん (要集巻中) に 「しょう念仏ねんぶつはこれぎょうぜんなり」 と。

問。観察門、有↢称念↡、有↢観念0082↡。正クハゾヤ乎。答。取↢称念↡也。故 (要集巻中) ↢「称念仏是行善ナリト」↡也。

随願ずいがん」 とは、かみ三心さんしんなかこう発願ほつがんしんる、 ゆゑに 「だい提心だいしん三業さんごう深信じんしんじょうじょう念仏ねんぶつ随願ずいがんけつじょうしょう極楽ごくらく」 といふ。 これなほといじゅんじてようたずぬといへども、 これしばらく助念じょねんもんこころなり、 この ¬しゅうの¼ しょうにはあらざるなり。

「随願トハ」者、上三心↢廻向発願心↡、故↢「大菩提心護三業、深信至誠常念仏、随願決定生極楽」。ジテ↠問雖↠尋↢要否↡、助念門ナリ也、非↢此¬集¼正意ニハ↡也。

ふ。 なにをもつてかることをたる、 しょうにあらずとは。 こたふ。 あく衆善しゅぜんなか (要集巻中) にいはく、 「ふ。 念仏ねんぶつすればしばらくみづからつみめっす。 なんぞかならずしもかたかいせん。 こたふ。 一心いっしんねんぜば、 まことにむるところのごとし。 しかるに尽日じんじつ念仏ねんぶつしてしずかにそのじつけんするに、 じょうしんはこれいちりょう、 そのはみなじょくらんなり。 ないこのゆゑに、 まさにしょうじんじょうかいたもちてなほみょうしゅまもるがごとくすべし」 と。 ゆゑにりぬ如説にょせつ念仏ねんぶつせば、 かならずしもかいとうすべからず。 これをもつてりゃくといふなり。

問。何テカタル↠知コト、非トハ↢正意↡乎。答。止悪衆善、「問。念仏スレバ滅↠罪。何シモセン↠戒。答。一心ゼバ、誠↠所ムル。然尽日念仏シテルニ↢其↡、浄心一両、其濁乱ナリ。乃至是、当精進↢浄戒↡猶如クス↞護ルガ↢明珠↡。」故如説念仏セバ、必シモ不↠可↠具↢持戒等↡。以↠此フ也↠略也。

第七だいしち総結そうけつようぎょうとは、 ふ。 かみ諸門しょもんなかぶるところすでにおおし。 いまだらずいづれのごうをかおうじょうようとなす。 こたふ。 だいだいしんあつて三業さんごうまもる、 深信じんしんじょうにしてつねに念仏ねんぶつすれば、 がんしたがひてけつじょうして極楽ごくらくしょうず。 いはんやまたもろもろ妙行みょうぎょうせんをや。

「第七総結要行トハ者、 問。上諸門所↠陳既。未↠知ヲカ為↢往生↡。答。大菩提心アテ護↢三業↡、深信至誠ニシテ念仏スレバ、随↠願決定シテ生↢極楽↡。況復具ンヲヤ↢余妙行↡。

ふ。 なんがゆゑぞこれらをおうじょうようとするや。 こたふ。 提心だいしんさきにつぶさにしゃくするがごとし。 三業さんごうじゅうあくよくしょうどうふ。 ゆゑにすべからくこれをまもるべし。 おうじょうごうには念仏ねんぶつほんとなす。 その念仏ねんぶつしん、 かならずすべからくのごとくすべし。 ゆゑに深信じんしんじょうじょうねんさんす。

問。何此等ルヤ↢往生↡。答。菩提心義如↢前↡。三業重悪能正道↡。故須↠護↠之。往生之業ニハ念仏↠本。其念仏心、必須↠如↠理。故↢深信・至誠・常念三事

じょうねんさんやくあり。 ざいのいふがごとし、 いちには諸悪しょあく覚観かくかんひっきょうじてしょうぜず。 またごっしょうすことをには善根ぜんごんぞうじょうして、 また見仏けんぶつ因縁いんねんることをさんにはくんじゅうじゅくして、 命終みょうじゅうときのぞみてしょうねん現前げんぜんすと。 ごうがんによりててんず。 ゆゑに随願ずいがんおうじょうといふ。

常念↢三益↡。如↢迦才↡、一ニハ者諸悪覚観畢竟ジテ不↠生。亦得↠消コトヲ↢於業障↡。二ニハ者善根増長シテ、亦得↠種ルコトヲ↢見仏因縁↡。三ニハ者薫習熟利シテ、臨↢命終↡正念現前。↠願転。故↢随願往生↡。

そうじてこれをいはば、 三業さんごうまもるはこれぜん念仏ねんぶつしょうするはこれぎょうぜんなり。 提心だいしんおよびがんはこのぜんじょす。 これらのほうおうじょうようとなす。 そのむねきょうろんでたり。 これをつぶさにすることあたはず」 (要集巻中) と。

ジテ0083ハヾ↠之、護ルハ↢三業止善。称スルハ↢念仏行善ナリ。菩提心及扶↢助此二善為↢往生↡。其旨出タリ↢経論↡。不↠能↠具ニスルコト↠之。」

わたくしにいはく、 この第七だいしち総結そうけつようぎょうとは、 これすなはちこの ¬しゅう¼ の肝心かんじんなり、 けつじょうおうじょう要法ようぼうなり。 学者がくしゃさらにこれをちゃくして、 そのようるべし。 もん問答もんどうあり。

、此第七総結要行トハ者、則此¬集¼肝心ナリ也、決定往生要法也。学者更思↢択シテ、可↠識↢其要否↡。文有↢二問答↡。

しばらくはじめのといなかに、 「かみ諸門しょもんとは、 かみもんあり。 いちにはえん穢土えどにはごんじょうさんには極楽ごくらくしょうにはしょうしゅ念仏ねんぶつには助念じょねん方法ほうほうなり。 ゆゑにこれらをしてかみ諸門しょもんといふなり。

、「上諸門トハ」者、上有↢五門↡。一ニハ厭離穢土、二ニハ欣求浄土、三ニハ極楽証拠、四ニハ正修念仏、五ニハ助念方法。故シテ↢此等↡云↢上諸門↡也。

つぎに「ぶるところすでにおおし」 とは、 えんもんしちあり、 ごんもんじっしょうあり、 しょうもんしょうあり。 しょうしゅもんしょうあり、 助念じょねんもんろくしょうあり。 これらのしょしょうあかすところすでにおおし。 ゆゑに所陳しょちん既多きたといふなり。

「所↠陳既トハ」者、厭離門↠七、欣求門↢十章↡、証拠門↢二章↡。正修門↢五章↡、助念門↢六章↡。此等諸章所↠明。故云↢所陳既多↡也。

つぎに 「いまだらずいづれのごうをかおうじょうようとなす」 とは、 かみ諸門しょもんにおいておのおのじゅつするところのぎょう、 すでにじょうしゅあり。 ようほうにおいて、 学者がくしゃりがたし、 要法ようぼうけっせんがためのゆゑにいまだらずといふなり。

「未↠知何ヲカトハ↢往生↡」者、於↢上諸門↡各所↠述行、既↢条数↡。於↢要否↡、学者叵↠識、為↠決↢要法↡故云↠未↠知也。

つぎこたえなかあり。 いちにはほぼこたえのこころじゅっす、 にはこたえもんしゃくす。

↠二。一ニハホヾ↢答↡、二ニハ↢答

はじめにこたえこころとは、 といこころすでにかみ諸門しょもんぎょうよりでて、 そのようふ。 ゆゑにこたえなかに、 またかみ諸門しょもんなかにおいて、 そのようえらびてそのようぎょうしめす。 これすなはちこたえなかたいなり。

答意トハ者、問意既デヽ↢上諸門ヨリ↡、問↢其要否↡。故、又於↢上諸門↡、簡↢其↡示↢其要行↡。是則答大意ナリ

つぎにまさしくこたえもんしゃくすとは、 またわかちてとす。 いちにはそうじてもんやくしてこれをえらぶ、 にはべっしてもんやくしてこれをえらぶ。

トハ↢答↡者、又分為↠二。一ニハジテシテ↢五門↡簡↠之、二ニハシテ約↢二門↡簡↠之。

はじめにそうじてもんやくしてえらぶとは、 かみえんとう三門さんもんは、 これおうじょうようにあらず、 ゆゑにえらびてらず。 だいだいもんは、 まさしくこれおうじょうようぎょうなり。 ゆゑにこたえなかに 「だい提心だいしん三業さんごうとうといふ。

ジテシテ↢五門↡簡トハ者、上厭離等三門非↢往生↡、故而不↠取。第四・第五二門、正是往生要行ナリ。故↢「大菩提心護三業」等↡。

だいだい」 および 「念仏ねんぶつ」 とは、 これすなはちだいもんなり。 「三業さんごう深信じんしんじょうとうとは、 だいもんなり。 これすなはちそうじて諸門しょもんやくしてそのようげて、 そのようえらぶなり。

「大菩提」及「念仏トハ」者0084、是即第四ナリ。「護三業深信至誠」等トハ者、第五門ナリ也。則総ジテシテ↢諸門↡挙↢其↡、簡↢其要否↡也。

つぎべっしてもんやくしてえらぶとは、 またあり。 いちにはだいもんやくしてこれをえらび、 にはだいもんやくしてこれをえらぶ。

シテシテ↢二門↡簡トハ者、又有↠二。一ニハシテ↢第四門↡簡↠之、二シテ↢第五門↡簡之。

はじめにだいもんやくすとは、 これにつきてまたもんあり。 「いちには礼拝らいはいもんには讃嘆さんだんもんさんにはがんもんには観察かんざつもんにはこうもんなり」 (要集巻上) と。 このもんなかに、 がん観察かんざつとのもんをもつておうじょうようとなす、 三門さんもんはこれようにあらず。 ゆゑにいま「提心だいしん」 および 「念仏ねんぶつ」 といふ、 またさらにらい讃等さんとうといはず。

ストハ↢第四門↡者、就↠之亦有↢五門↡。「一ニハ礼拝門、二ニハ讃嘆門、三ニハ作願門、四ニハ観察門、五ニハ廻向門ナリ也。」此五門、以↢作願観察トノ二門↡為↢往生↡、余三門↠要。故今云↢「菩提心」及「念仏」↡、又更不↠云↢礼・讃等↡。

また提心だいしんにつきて、 ありあり。 もんなかにいまだこれをえらばずといへども、 もし念仏ねんぶつれいせば、 しばらくをもつておうじょうようとするなり。 またいはく、 念仏ねんぶつとはこれ観察かんざつもんみょうなり。 しかるに念仏ねんぶつぎょうにおいて、 また観想かんそうあり、 称名しょうみょうあり。 ぎょうなかにおいて、 称名しょうみょうようとす。 ゆゑにつぎこたえなかに 「しょう念仏ねんぶつはこれぎょうぜんなり」 と 。 これをもつて ¬おうじょうようしゅう¼ のこころしょう念仏ねんぶつをもつておうじょうようとするなり。

又就↢菩提心↡、有↠事有↠理。文雖↠未↠簡↠之、若セバ↢念仏↡、且以↠事為↢往生↡也。又云、念仏者是観察門異名ナリ也。然↢念仏↡、又有↢観想↡、有↢称名↡。於テハ↢二行↡、称名為↠要。故「称念仏行善ナリト也。」 以↠之¬往生要集¼、以↢称念仏↢往生至要↡也。

つぎだいもんやくすとは、 これにつきてまたろくあり。 「いちには方処ほうしょ供具くぐにはしゅぎょうそうみょうさんにはたいだいにはあく衆善しゅぜんにはさん衆罪しゅざいろくにはたい魔事まじなり」 (要集巻中) と。 この六法ろっぽうなかに、 だいだいもんをもつておうじょうようとなす。 第一だいいち第三だいさんだい第六だいろくもんはこれおうじょうようにあらず。 ゆゑにててらざるなり。

トハ↢第五門↡者、就↠之又有↠六。「一ニハ方処供具、二ニハ修行相貌、三ニハ対治懈怠、四ニハ止悪衆善、五ニハ懺悔衆罪、六ニハ対治魔事ナリ也。」此六法、以↢第二・第四二門↡為↢往生↡。第一・第三・第五・第六四門非↢往生↡。故テヽ而不↠取也。

だいもんにつきて、 またしゅあり、 三心さんしんあり。 しゅとは、 いちにはじょうしゅにはごんじゅうしゅさんにはけんしゅには無余むよしゅなり。 しゅなかにおいて、 ただけんしゅりてそのようとなす、 さんようにあらず。 ゆゑにもんに ¬要決ようけつ¼ (西方要決) きていはく、 「さんにはけんしゅいはくつねに念仏ねんぶつしておうじょうそうせ」 と。 三心さんしんにおいてはまつたくりててず、 みなこれおうじょうようなればなり。 ゆゑにもんに 「深信じんしんじょうじょう念仏ねんぶつぎゅう随願ずいがん」 といふ、 すなはちこのこころなり。

↢第二門↡、又有↢四修↡、有↢三心↡。四修トハ者、一ニハ長時修、二ニハ慇重修、三ニハ無間修、四ニハ無余修ナリ也。於↢四修↡、唯取↢無間修↡為↢其要↡、余非↠要也。故0085¬要決¼↡云、「三ニハ無間修、謂念仏シテ↢往生↡。」於テハ↢三心↡全不↠棄、皆往生ナレバナリ也。故文↢「深信至誠常念仏及随願」↡、則是ナリ也。

つぎだいもんにつきて、 またろくあり。 「いちにはかいぼんには不起ふき邪見じゃけんさんにはしょうきょうまんには不恚ふいしつにはゆうみょうしょうじんろくには読誦どくじゅだいじょうなり」 (要集巻中意) と。 六法ろっぽうなかにおいて、 ただ第一だいいちりておうじょうようとなす。 もんに 「三業さんごう」 といふ、 ようとはこれすなはちかいぼんなり、 ようにあらず、 ゆゑにててらず。

次就↢第四門↡、亦有↠六。「一ニハ持戒不犯。二ニハ不起邪見。三ニハ不生憍慢。四ニハ不恚不嫉。五ニハ勇猛精進。六ニハ読誦大乗ナリ。」(要集巻中意) ↢六法↡、唯取↢第一↡為↢往生↡。文云↢「護三業」↡、要トハ則持戒不犯ナリ也、余非↠要、故而不↠取也。

いはゆるかいとは、 これさつかいしょうもんかいにはあらず。 そのむねもんえたり。 ただしさつかいにおいてまた十重じゅうじゅうあり、 じゅうはちきょうあり、 いまのこころきょうててじゅうる。 ゆゑにもんに 「三業さんごうじゅうあく」 といふ。

所謂トハ者、菩薩戒、非↢声聞戒ニハ↡。其旨見タリ↠文。但↢菩薩戒↡亦有↢十重↡、有↢四十八軽↡、今テヽ↠軽↠重。故云↢「三業重悪」。

つらつらこの問答もんどうあんずるに、 この ¬ようしゅう¼ のこころによりておうじょうげんとほっするものは、 まづえんだい提心だいしんおこし、 つぎ十重じゅうじゅう木叉もくしゃたもちて、 深信じんしんじょうとをもつてつねに弥陀みだみょうごうしょうし、 がんしたがひてけつじょうしておうじょうべし。 これすなはちこの ¬しゅう¼ のしょうなり。

ツラツズルニ↢此問答↡、依↢此¬要集¼意↡欲↠遂ント↢往生↡、先↢縁事大菩提心↡、次↢十重木叉↡、以↢深信至誠トヲ↡常↢弥陀名号↡、随↠願決定シテベシ↢往生↡。則此¬集¼正意ナリ也。

つぎにまた問答もんどうあり、 提心だいしんとう七法しちほうをもつて、 おうじょうようとなして、 そのゆえ問答もんどうするなり。 そのもんやすし、 はんおそれせず。 またかみえんとうもんにおいてようえらぶこと、 すでにもつてかくのごとし。 しもべつとうもんまたようにあらざること、 これをもつてるべし。

又有↢問答↡、以↢菩提心等七法↡、為↢往生↡、問↢答スル其由也。其文易↠見、恐↠繁不↠記。又於↢上厭離等五門↡簡コト↢要否↡、既↠此。下別時等五門亦非ルコト↢至要↡、以↠之可↠知

また念仏ねんぶつにおいてあり。 いちにはたん念仏ねんぶつさきしょうしゅもんこころなり。 にはじょ念仏ねんぶつ、 いまの助念じょねんもんこころなり。 この ¬ようしゅう¼ のこころは、 じょ念仏ねんぶつをもつてけつじょうごうとするか。 ただし善導ぜんどうしょうこころはしからず

又於↢念仏↡有↠二。一ニハ但念仏、前正修門ナリ也。二ニハ助念仏、今助念門ナリ也。此¬要集¼意、以↢助念仏↡為↢決定↡歟。但善導和尚御意不↠爾

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 要

さんようとは、 念仏ねんぶついちぎょうやくして勧進かんじんするもんこれなり。

0086トハ者、約↢念仏一行↡勧進スル文是ナリ也。

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 要 正修念仏(観察門)

だいしょうしゅ念仏ねんぶつもんなか観察かんざつもん (要集巻中) にいふ、 「初心しょしんかんぎょう深奥じんおうへず。 ないこのゆゑに色相しきそうかんしゅすべしと。 これをわかちてさんとなす。 いち別相べっそうかん総相そうそうかんさんぞうりゃくかんなり。 ぎょうしたがひてこれをもちゐるべし。 はじめに別相べっそうかんとは には総相そうそうかんとは さんぞうりゃくかんとは もし相好そうごう観念かんねんするにへざることあらば、 あるいはみょうおもいにより、 あるいはいんじょうおもいにより、 あるいはおうじょうおもいによりて一心いっしんしょうねんすべし。 じょうぎょうどうなるがゆゑに種々しゅじゅかんあか

第四正修念仏門之中観察門、「初心観行不↠堪↢深奥↡。乃至是↠修↢色相観↡。此為↠三。一別相観、二総相観、三雑略観ナリ也。随↢意楽↡応↠用↠之。初別相観トハ。二ニハ総相観トハ。三雑略観トハ。若有↠不コト↠堪↣観↢念スルニ相好↡、或↢帰命想↡、或↢引摂想↡、或↢往生想↡応↢一心称念↡。已上意楽不同ナルガ↢種種

行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささ、 つねにこのねんをもつて胸中きょうちゅうきて、 してじきおもふがごとく、 かっしてみずふがごとくせよ。 ていしゅにも、 あるいはこえげて称名しょうみょうせよ。 外儀げぎことなりといへども心念しんねんはつねにぞんじて、 念々ねんねん相続そうぞくして、 寤寐ごびわするることなかれ」 と

行住坐臥、語黙作作、常↢此↡在↢於胸中↡、如↢飢念↟食、如セヨ↢渇シテフガ↟水。低頭挙手ニモ、或挙↠声称名セヨ。外儀雖↠異心念ジテ、念念相続シテ、寤寐莫↠忘。」

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 要 念仏証拠

また念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下)、「ひていはく、 一切いっさい善根ぜんごんおのおのやくあり、 おのおのおうじょう。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるか。 こたふ。 いま念仏ねんぶつすすむることは、 これ種々しゅじゅ妙行みょうぎょうしゃするにはあらず。 ただこれ、 男女なんにょせん行住ぎょうじゅう坐臥ざがえらばず、 しょ諸縁しょえんろんぜず、 これをしゅするにかたからず、 ないりんじゅうおうじょうがんするに、 その便びんること念仏ねんぶつにはしかず。

又念仏証拠門、「問云、一切善根各有↢利益↡、各得↢往生↡。何唯勧ルカ↢念仏一門↡。答。今勧コトハ↢念仏↡、非ニハ↢余種種妙行↡。只是、男女・貴賎、不↠簡↢行住坐臥↡、不↠論↢時処諸縁↡、修ルニ↠之不↠難カラ、乃至臨終願↢求スルニ往生↡、得コト↢其便宜↡不↠如↢念仏ニハ↡。

ゆゑに ¬木槵もくげんきょう¼ にいはく、 なんこく瑠璃るりおう使つかひをつかわしてぶつにまうしてまうさく、 ただねがはくはそん、 ことにみんれて、 われに要法ようぼうたまへ、 われをしてにちしゅぎょうやすくして、 らいなかしゅおんせしめたまへ。

¬木槵経¼云、難陀国波瑠璃王遣シテ↠使シテ↠仏、唯願世尊、特↢慈愍↡、賜↢我要法↡、使↧我ヲシテ日夜シテ↠得↢修行↡、未来世遠↦離衆苦↥。

ぶつ大王だいおうげたまはく、 もし煩悩ぼんのうしょうほうしょうめっせんとほっせば、 まさに木槵もくげんひゃくはちつらぬきて、 もつてつねにみづからしたがへて、 もしはぎょう、 もしはじゅう、 もしは、 もしは、 つねにしんにして分散ぶんさんこころなく、 仏陀みだだつ僧伽そうぎゃしょうして、 ないいち木槵もくげんぐすべし。 かくのごとくして、 もしはじゅう、 もしはせんないひゃくせん万億まんおくすべし。

仏告ハク↢大王↡、若↠滅ント↢煩悩障・報障↡者、当↧貫↢木槵子百八↡、以、若行、若住、若坐、若臥、恒常至心ニシテ↢分散意↡、称シテ↢仏陀・達磨・僧伽↡、乃至0087グス↦一木槵子↥。如シテ↠是、若十、若千、乃至百千万億スベシ

もしよくじゅう万返まんべんてて、 身心しんしんみだれずもろもろ諂曲てんごくなくは、 いのちてて第三だいさんえんてんしょうずることをて、 じきねんにして、 つねに安楽あんらくけん。

↢二十万返↡、身心不↠乱無クハ↢諸テン曲↡者、捨テヽ↠命↠生コトヲ↢第三炎魔天↡、衣食自然ニシテ、常↢安楽↡。

もしまたよくいっぴゃく万返まんべんてば、 まさにひゃくはち結業けつごう除断じょだんすることをて、 しょうてんそむき、 はんどうおもむきて、 じょうべしと。 略抄りゃくしょうかんぜんこころこれにおな

↢一百万返↡者、当↧得↣除↢断コトヲ百八結業↡、背↢生死流転↡、趣↢涅槃道↡、獲↦無上↥。略抄。感禅師意同↠之

いはんやまたもろもろ聖教しょうぎょうなかに、 念仏ねんぶつをもつておうじょうごうとなす。 そのもんはなはだおおし。 りゃくしてじゅうもんいださん。

聖教、以↢念仏↡為↢往生↡。其文甚多。略シテサン↢十文↡。

いちには ¬占察せんざつきょう¼ のかんにいはく、 もしひとほう現在げんざいじょうこくしょうぜんとおもはば、 まさにかのかいぶつみょうしたがひて、 こころをもつぱらにして誦念じゅねんすべし。 一心いっしんらんなることかみ観察かんざつのごとくあれば、 けつじょうしてかの仏国ぶっこくしょうずることをて、 善根ぜんごんぞうじょうし、 すみやかに退たいじょうず。

ニハ¬占察経¼下巻、若人欲↠生ント↢他方現在浄国↡者、応↧当↢彼世界之名字↡、専ニシテ↠意誦念↥。一心不乱ナルコトクアレバ↢上観察↡者、決定シテ↠生コトヲ↢彼仏国↡、善根増長、速成↢不退↡。

かみのごとき観察かんざつとは、 ぞうさつ法身ほっしんおよび諸仏しょぶつ法身ほっしん、 あるいはしん本来ほんらい無二むにしょうめつじょうらくじょうどく円満えんまんかんじ、 またしんじょうまぼろしのごとしとかんず、 いとうべきとうなり

如上観察トハ者、観↢於地蔵菩薩法身及諸仏法身、或自身本来無二、不生不滅、常楽我浄、功徳円満↡、又観↢己身無常如シト↟幻、可↠厭等ナリ

には ¬双巻そうかんぎょう¼ の三輩さんぱいごう浅深せんじんありといへども、 しかもつうじてみな一向いっこう専念せんねんりょう寿じゅぶつといへり。

ニハ¬双巻経¼三輩業雖↠有↢浅深↡、然ジテ皆云ヘリ↢一向専念無量寿仏↡。

さんにはじゅう八願はちがんなか念仏ねんぶつもんにおいてべっして一願いちがんおこしてないじゅうねんにゃくしょうじゃしゅしょうがくといふ。

ニハ四十八願↢念仏門↡別シテシテ↢一願↡云↢乃至十念、若不生者、不取正覚↡。

には ¬かんぎょう¼ のごくじゅう悪人あくにん

ニハ¬観経¼極重悪人

にはどう ¬きょう¼ いはく、 にゃくよくしん

ニハ同¬経¼云、若欲至心

ろくにはどう ¬きょう¼ にいはく、 こうみょうへんじょう

ニハ同¬経¼云、光明遍照

しちには ¬弥陀みだきょう¼ にいはく、 不可ふかしょう善根ぜんごん

ニハ¬阿弥陀経¼云、不可以少善根

はちには ¬般舟はんじゅきょう¼ にいはく、 弥陀みだぶつのたまはく、 欲来よくらいしょう国者こくしゃ

ニハ¬般舟経¼云、阿弥陀仏言ハク、欲来生我国者

に ¬おんじょうきょう¼ にいはく、 にゃくしゅじょう

九¬鼓音声経¼云、若有衆生

じゅうには ¬おうじょうろん¼ にいはく、 かのぶつしょうどく観念かんねんしておうじょうごうとなす

ニハ¬往生論¼云、観↢念シテ依正功徳↡為↢往生

このなかに、 ¬かんぎょう¼ のぼん・¬弥陀みだきょう¼・¬おんじょうきょう¼、 ともにぶつみょうごうをもつておうじょうごうとなす。 いかにいはんや相好そうごう観念かんねんせんどくをや。

、¬観経¼下品・¬阿弥陀経¼・¬鼓音声経¼、倶↠念ズルヲ↢仏名号↡為↢往生↡。何況観↢念セン相好↡功徳ヲヤ耶。

ふ。 ぎょうむしろ勧進かんじんもんなからんや。

問。余行寧0088ランヤ↢勧進文↡耶。

こたふ。 そのぎょうほうは、 ちなみにほう種々しゅじゅどくあかす。 おのづからおうじょうくに、 ただちにおうじょうようべんじて、 おお念仏ねんぶつといふにはしかず。 いかにいはんやほとけみづからつなへて当念とうねんみょうとのたまふをや。 またぶつこうみょうぎょうにん摂取せっしゅすといはず。 これらのもんぶんみょうなり。 なんぞかさねてうたがいしょうぜんや。

答。其余行、因↢彼法種種功徳↡。自説クニ↢往生之事↡、不↠如↧直ジテ↢往生之要↡、多ニハ↦念仏↥。何況ヲヤ↢当念我名↡乎。不↠云↣仏光明摂↢取スト余行↡。此等文分明ナリ。何ゼン↠疑乎。

ふ。 しょきょう所説しょせつしたがひて万品まんぼんなり。 なんぞ管見かんけんをもつて一文いちもんしゅうするや。

問。諸経所説随↠機万品ナリ。何↢管見↡執スルヤ↢一文↡耶。

こたふ。 みょうさつの ¬だいじょう信論しんろん¼ にいはく、 またつぎに、 しゅじょうはじめてこのほうがくせんに、 そのこころこうにゃくにして信心しんじんじょうじゅすべきことかたしと懼畏くいして、 こころ退たいせんとほっせば、 まさにるべし、 如来にょらいしょう方便ほうべんましまして信心しんじんしょうしたまふ。 こころしたがひてこころをもつぱらにして念仏ねんぶつする因縁いんねんをもつて、 がんしたがひてほうじょうおうじょうすることを

答。馬鳴菩薩¬大乗起信論¼云、復次、衆生初センニ↢此↡、其怯弱ニシテ懼↢畏シテ信心難シト↟可コト↢成就↡、意セバ↠退ント者、当↠知、如来シテ↢勝方便↡摂↢護シタマフ信心↡。随↠心ニシテ↠意念仏スル因縁ヲ以、随↠願得↣往↢生コトヲ他方浄土↡。

しゅ多羅たらくがごとし。 もしひともつぱら西方さいほう弥陀みだぶつねんじ、 しょ善根ぜんごんこうして、 かのかいしょうぜんとがんすれば、 すなはちおうじょうと。

↢修多羅クガ↡。若人専↢西方阿弥陀仏↡、所作善根廻向シテ、願↣求スレバント↢彼世界↡、即得↢往生↡。

あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとすることを。 もししからずんば、 四依しえさつすなはちじんにあらず」 と

契経↢念仏↡為コトヲ↢往生↡。若ンバ爾者、四依菩薩即非↢理尽↡。」

わたくしにいはく、 このなか三番さんばん問答もんどうあり。 はじめのといこころつべし。 「唯勧ゆいかん」 のことばはまさしくかみ観察かんざつもん (要集巻中) なかの 「行住ぎょうじゅう座臥ざがとうもんすなり。 そのゆゑはいちまつたずぬるに、 慇懃おんごん勧進かんじんすることただ観察かんざつもんり。 ところにはまつたくざるところなり。 こたえなか二義にぎあり。 いちにはなんぎょうぎょう、 いはくなんぎょうしゅしがたく、 念仏ねんぶつしゅしやすし。 にはしょうぶんぶん、 いはくしょぎょう勧進かんじんもんはなはだすくなく、 念仏ねんぶつしょきょうおおくこれを勧進かんじんすと。

、此↢三番問答↡。 初者可↠見。「唯勧」語↢上観察門 (要集巻中) 「行住座臥」等↡也。其ヌルニ↢一部始末↡、慇懃勧進スルコト只在↢観察門↡。余ニハナリ↠不↠見也。答↢二義↡。一ニハ者難行・易行、謂難行↠修、念仏↠修。二ニハ者少分・多分、謂諸行勧進文甚、念仏諸経勧↢進スト↡。

つぎ問答もんどうなかに、 といこころりぬべし。 こたえなかさんあり。 いちにはいんみょう直弁じきべんとなり、 いはくしょぎょうはもつぱらおうじょうのためにこれをかず、 念仏ねんぶつはもつぱらおうじょうのためにえらびてこれをく。 にはせつせつとなり、 いはくしょぎょう弥陀みだ如来にょらいみづからまさにこれをしゅすべしとかず、 念仏ねんぶつぶつみづからまさにわがねんずべしときたまふ。 さんには摂取せっしゅ摂取せっしゅとなり、 いはくしょぎょう仏光ぶっこうこれを摂取せっしゅしたまはず、 念仏ねんぶつ仏光ぶっこうこれを摂取せっしゅす。

問答、問↠知。答↢三義↡。一ニハ者因明直弁トナリ、謂諸行↢往生↡不↠説↠之、念仏専為↢往生↡撰↠之。二ニハ者自説0089自説トナリ、謂諸行阿弥陀如来不↢説↟当↠修↠之、念仏仏自説タマフ↠当シト↠念↢我↡。三者摂取不摂取トナリ、謂諸行仏光不↣摂↢取タマハ↡、念仏仏光摂↢取↡。

つぎといこころりぬべし。 こたえなかいちあり。 如来にょらいずい四依しえじんとなり、 いはくしょぎょうしゃ如来にょらいしゅじょうしたがひてこれをきたまふ、 念仏ねんぶつ四依しえさつつくしてこれをすすめたまふ。 これすなはちこの ¬しゅう¼ のほんなり。 くわしくこれをおもふべし。

↠知。答ッリ↢一義↡。如来随機四依理尽トナリ、謂諸行釈迦如来随↢衆生↡説タマフ↠之、念仏四依菩薩尽シテ↠理タマフ↠之。則此¬集¼本意ナリ也。委↠思↠之。

七、往生要集釈 入文解釈 明章門開合 要 問答料簡(往生階位)

おうじょうかい (要集巻下) にいはく、 「ふ。 もしぼんやからおうじょうば、 いかんぞ、 近代ごんだいかのこくにおいてもとむるものは千万せんまんなれども、 るものはいちもなきや。

往生階位、「問。若凡下輩得↢往生↡、云何、近代於↢彼国土↡求ムル千万ナレドモ、得ルモノハキヤ↢一二↡。

こたふ。 しゃくしょうのいはく、 信心しんじんふかからず、 ぞんずるがごとくもうずるがごとくなるがゆゑに。 信心しんじんいちならず、 けつじょうせざるがゆゑに。 信心しんじん相続そうおうせず、 ねんへだつるがゆゑに。 この相応そうおうせざれば、 おうじょうすることあたはず。 もし三心さんしんしておうじょうせずといはば、 このことわりあることなけん。

答。綽和尚、信心不↠深、若↠存クナルガ↠亡ズルガ。信心不↠一ナラ、不ルガ↢決定↡故。信心不↢相続↡、余念間ルガ。此レバ↢相応↡者、不↠能↢往生スルコト↡。若シテ↢三心↡不イハヾ↢往生↡者、無ケン↠有コト↢是 ハリ

善導ぜんどうしょうのいはく、 もしかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくしてひつみょうとするものは、 じゅうはすなはちじっしょうし、 ひゃくはすなはち百生ひゃくしょうす。 もしせんててもつて雑業ぞうごうしゅせんとほっするものは、 ひゃくときまれいちせんときまれに、 さんと。 かみのごときとは礼拝らいはいとうもんじょうとう三心さんしんじょうとうしゅすなり

善導和尚云、若↠上念念相続シテ畢命為↠期、十即十生、百即百生。若スル↣捨テヽ↠専以ント↢雑業↡者、百↢一二↡、千↢三五如上トハ者指↢礼拝等五門、至誠等三心、長時等四修↡也

わたくしにいはく、 しんつくしておうじょうとくさだめたまふには、 善導ぜんどうどうしゃくをもつてなんとするなり。 また処々しょしょおおしゃくとうきて、 かのしゃくもちゐて、 これをるべし。 しかればすなはちしんもちゐんやからは、 かならずどうしゃく善導ぜんどうすべきなり。 これによりてまずどうしゃくの ¬安楽あんらくしゅう¼ をひらきてこれをて、 しょうどうじょうもんぶっきょうわかつのしゃく、 これをよ。 いで善導ぜんどうの ¬かんぎょうしょ¼、 たてまつるべし。

、恵心尽シテ↠理定タマフニハ↢往生得否↡、以↢善導・道綽↡而為↢指南↡也。又処処↢綽・導↡、用↢於彼↡、可↠見↠之。然則用↢恵心↡之、必可↠帰↢道綽・善導↡也。依↠之先↢綽師¬安楽集¼覧↠之、分ツノ↢聖道・浄土二門仏教↡釈、↠之。次善導¬観経疏¼、見ルベシ之矣。

0090八、往生要集略料簡

おうじょうようしゅうりゃくりょうけん第八だいはち  源空げんくう

じょ (要集巻上) にいはく、 「このゆゑに念仏ねんぶつ一門いちもんによりて、 いささかきょうろんもんあつむ。 これをひらきこれをしゅするに、 さとりやすくぎょうじやすし」 と。

、「是↢念仏一門↡、聊↢経論↡。披↠之ルニ↠之、易↠覚易シト↠行。」

わたくしにいはく、 それじょあらかじりゃくしていちおうべて、 もつてないがんしめす。 しかればじょなかにすでに 「念仏ねんぶつ一門いちもんによる」 といへり。 あきらかにりぬこの ¬しゅう¼ のこころは、 しょぎょうをもつておうじょうようとなさず、 まさしく念仏ねんぶつをもつてようとすることを。 かくのごとく処々しょしょおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす

、夫アラカジシテ↢於一部奥旨↡、以↢部内元意↡。然ヘリ↠「依ルト↢念仏一門↡。」明¬集¼意、以↢諸行↡不↠為↢往生↡、正↢念仏↡為コトヲ↠要也。如↠之処処多以↢念仏↡為↢往生

そのもんいちにあらず。 総結そうけつようぎょう (要集巻中) にいはく、 「おうじょうごうには念仏ねんぶつほんとなす」 と。 また念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下) にいはく、 「ただちにおうじょうようべんずるにおお念仏ねんぶつといふにはしかず」 と。 また (要集巻下) いはく、 「あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなすことを」 と。 ゆゑに諸業しょごうだいもんいたりてわづかにこれをあかすといへども、 慇懃おんごんにあらず、 また勧進かんじんなし。 おのおのぎょうよくにんずるのみ。

文非↠一。総結要行、「往生之業ニハ念仏スト↠本。」又念仏証拠門、「不↠如↧直ズルニ↢往生↡多ニハ↦念仏↥。」又云、「明契経↢念仏↡為コトヲ↢往生↡。」所以諸業↢第九門↡纔雖↠明↠之、不↢慇懃↡、又無↢勧進↡。任ズル↢各楽欲而已ノミ

観察かんざつもん (要集巻中) にいはく、 「初心しょしんかんぎょう深奥じんおうへずんば、 ないこのゆゑにまさに色相しきそうかんしゅすべし。 これにわかちてさんとなす。 いちには別相べっそうかんには総相そうそうかんさんにはぞうりゃくかんなり。 ぎょうしたがひてこれをもちゐるべし。 はじめに別相べっそうかんとは 総相そうそうかんとは さんぞうりゃくかんとは もし相好そうごう観念かんねんするにへざるものあらば、 あるいはみょうおもいにより、 あるいはいんじょうおもいにより、 あるいはおうじょうおもいによりて一心いっしんしょうねんすべし。 じょうぎょうどうなるがゆゑに種々しゅじゅかんあか 行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささ、 つねにこのねんをもつて胸中きょうちゅうきて、 してじきおもふがごとく、 かっしてみずふがごとくせよ。 あるいはていしゅにも、 あるいはこえげて称名しょうみょうせよ。 外儀げぎことなりといへども心念しんねんはつねにぞんじて、 念々ねんねん相続そうぞくし、 寤寐ごびわするることなかれ。

観察門、「初心観行不ンバ↠堪↢深奥↡、乃至是↠修↢色相観↡。此為↠三。一ニハ別相観、二ニハ総相観、三雑略観也。随↢意楽↡応↠用↠之。初別相観トハ 。二総相観トハ 。三雑略観トハ 。若ラバ↠不ルモノ↠堪↣観↢念スルニ相好↡、或↢帰命↡、或↢引摂↡、或↢往生↡応↢一心称念↡。已上意楽不同ナルガ明↢種種観 行住坐臥、語黙作作、常↢此↡在↢於胸中↡、如↢飢↟食、如セヨ↢渇シテ↟水。或低頭挙手ニモ、或挙↠声0091セヨ。外儀雖↠異心念ジテ、念念相続、寤寐莫↠忘。

わたくしにいはく、 これすなはちこの ¬しゅう¼ の肝心かんじんなり、 ぎょうじゃよくこころとどむべし。

則此¬集¼肝心ナリ也、行者能可↠留↠心。

総結そうけつようぎょう (要集巻中) にいはく、 「ふ。 かみ諸門しょもんなかぶるところすでにおおし。 いまだらずいづれのごうをもつてかおうじょうようとするや。 こたふ。 だい提心だいしんあつて三業さんごうまもり、 深信じんしんじょうにしてつねに念仏ねんぶつすれば、 がんしたがひてけつじょうして極楽ごくらくしょうず。 いはんやまたもろもろ妙行みょうぎょうせんをや」 と。

総結要行、「問。上諸門所↠陳既。未↠知何業ヲ以カルヤ↢往生↡。答。大菩提心アテ↢三業↡、深信至誠ニシテ念仏スレバ、随↠願決定シテ↢極楽↡。況復具ンヲヤ↢余妙行↡。」

わたくしにいはく、 はじめのといこころは、 「かみ諸門しょもん」 とは、 えんとうもんすなり。 「ぶるところすでにおおし」 とは、 えんななつあり、 ごんとおあり、 しょうふたつあり、 しょうしゅいつつあり、 助念じょねんななつあり。 かくのごときの諸門しょもんなかに、 ぶるところすでにもつておおし、 いまだらずいづれのごうをかおうじょうようとするとふなり。

、初者、「上諸門トハ」者、指↢厭離等五門↡也。「所↠陳既」者、厭離有↠七、欣求有↠十、証拠有↠二、正修有↠五、助念↠七。如↠是諸門、所↠陳既、未↠知何業ヲカルト↢往生↡問也。

つぎこたえこころは、 しばらくといじゅんじて七法しちほうえらびて、 もつておうじょうようとするなり。 かみもんなかに、 えんごんしょう三門さんもんようにあらず、 ゆゑにててらず。 「だい提心だいしん」 とは、 かみしょうしゅ念仏ねんぶつもんなか念門ねんもんあり、 そのなか願門がんもんるなり。 「三業さんごう」 とは、 かみあく衆善しゅぜんなかあくへんるなり。

者、且ジテ↠問↢七法↡、以↢往生↡也。上五門、厭離・欣求・証拠三門非↠要、故不↠取。「大菩提心トハ」者、上正修念仏門有↢五念門↡、其↢作願門↡也。「護三業」者、上止悪衆善↢止悪↡也。

ふ。 あくなか十重じゅうじゅうじゅうはちきょうあり、 ともにこれをるか。 こたふ。 しからず、 まさしく十重じゅうじゅうるなり。 ゆゑにしももん (要集巻中) にいはく、 「三業さんごうじゅうあくよくしょうどうふ。 ゆゑにすべからくこれをまもるべし」 と。

問。止悪↢十重・四十八軽↡、共ルカ↠之歟。答。不↠然、正↢十重↡也。故、「三業重悪能↢正道↡。故須↠護」。

深信じんしん」 とは、 かみしゅぎょうそうみょうなかに、 しゅ三心さんしんあり、 三心さんしんなか深信じんしんる。 「じょう」 とは、 じょうしんるなり。 「つねに」 とは、 しゅなか間修けんしゅるなり。 「念仏ねんぶつ」 とは、 かみねんなか観察かんざつもんるなり。

「深信トハ」者、上修行相貌、有↢四修・三心↡、三心↢深信↡。「至誠トハ」者、取↢至誠心↡也。「常トハ」者、四修↢無間修↡也。「念仏トハ」者、上五念之中ルナリ↢観察門↡也。

ふ。 観察かんざつもんなかに、 しょうねんあり、 観念かんねんあり。 まさしくいづれのねんをやるや。 こたふ。 しょうねんるなり。 ゆゑにしももん (要集巻中) にいはく、 「ぶつしょうねんするこれぎょうぜんなり」 と。

問。観察門、有↢称念↡、有↢観念↡。正ルヤ↢何ヲヤ↡乎0092。答。取↢称念↡也。故、「称↢念スル行善ナリト。」

随願ずいがん」 とは、 かみ三心さんしんなかこう発願ほつがんしんるなり。 ゆゑに 「だい提心だいしん三業さんごう深信じんしんじょうじょう念仏ねんぶつ随願ずいがんけつじょうしょう極楽ごくらく」 といふ。

「随願トハ」者、上三心↢廻向発願心↡也。故云↢「大菩提心護三業、深信至誠常念仏、随願決定生極楽」↡也。

このなかといじゅんじてようえらぶといへども、 これしばらく助念じょねんもんこころなり、 この ¬しゅう¼ のしょうにあらざるなり。

中准ジテ↠問雖↠簡↢要否↡、助念門ナリ也、非↢此¬集¼正意↡也。

ふ。 なにをもつてかることをる、 しょうにあらずとは。 こたふ。 かみあく衆善しゅぜんなか (要集巻中) にいはく、 「ふ。 念仏ねんぶつすればおのづからつみめっすと。 なんぞかならずしもかたかいせむるや。 こたふ。 もし一心いっしんねんぜば、 まことにむるところのごとし。 しかるに尽日じんじつ念仏ねんぶつしてしずかにそのじつけんするに、 じょうしんいちりょう、 そのはみなじょくらんなり。 ないこのゆゑにかならずまさにしょうじんかいすることなほしみょうしゅまもるがごとくすべし」 と。 ゆゑにりぬ如説にょせつ念仏ねんぶつせば、 かならずしもかいとうすべからず。

問。以↠何得↠知コトヲ、非トハ↢正意↡。答。上止悪衆善、「問。念仏スレバスト↠罪。何シモセムルヤ↠戒。答。若一心ゼバ、誠↠所↠責。然尽日念仏シテルニ↢其↡、浄心一両、其皆濁乱ナリ。乃至是精進スルコト↠戒クス↠護↢明珠↡。」故如説念仏セバ、必シモ不↠可↠具↢持戒等↡矣。

念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下) にいはく、 「一切いっさい善業しょぜんおのおのやくあり、 おのおのおうじょうべし。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるや。

念仏証拠門、「一切善業各有↢利益↡、各得ベシ↢往生↡。何唯勧ルヤ↢念仏一門↡乎。

こたふ。 いま念仏ねんぶつすすむること、 これ種々しゅじゅ妙行みょうぎょうしゃするにはあらず。 ただこれ、 男女なんにょせん行住ぎょうじゅう坐臥ざがえらばず、 しょ諸縁しょえんろんぜず、 これをしゅするにかたからず、 ないりんじゅうおうじょうがんするに、 その便びんること念仏ねんぶつにはしかず。

答。今勧コト↢念仏↡、非↣是遮ニハ↢余種種妙行↡。只、男女・貴賎、不↠簡↢行住坐臥↡、不↠論↢時処諸縁↡、修スルニ↠之不↠難カラ、乃至臨終願↢求スルニ往生↡、得コト↢其便宜↡不↠如↢念仏ニハ↡。

¬木槵もくげんきょう¼ なんこく瑠璃るりおう

¬木槵経¼ 、難陀国波瑠璃王

いはんやまたもろもろ聖教しょうぎょうなかに、 おお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす。 そのもんはなはだおおし。 りゃくしてじゅうもんいださん。

復諸聖教、多↢念仏↡為↢往生↡。其文甚多。略シテ↢十文↡。

いちには ¬占察せんざつきょう¼ のかんに、 もしひとほう現在げんざいじょうこくうまれんとおもはば、 まさにかのかいぶつみょうしたがひて、 こころをもつぱらにして誦念じゅねんすべし。 一心いっしんらんなることかみ観察かんざつのごとくなれば、 かのぶつじょうこくうまるることをて、 善根ぜんごんぞうじょうして、 退たいじょうず。 にょじょう観察かんざつとは 云々

ニハ¬占察経¼下巻、若人欲↠生ント↢他方現在浄国↡者、応↧当↢彼世界之仏名字↡、専ニシテ↠意誦念↥。一心不乱ナルコトナレバ↢上観察↡者、得↠生コトヲ↢彼浄国↡、善根増長シテ、成↢不退↡。如上観察トハ者 云云

に ¬双巻そうかんぎょう¼ の三輩さんぱいごう浅深せんじんありといへども、 しかもつうじてみな一向いっこう専念せんねんりょう寿仏じゅぶつといへり。

¬双巻経¼三輩0093業雖↠有↢浅深↡、然ジテヘリ↢一向専念無量寿仏↡。

さんにはじゅう八願はちがんなか念仏ねんぶつもんにおいてべっして一願いちがんおこしてないじゅうねんにゃくしょうじゃしゅしょうがくといへり。

ニハ四十八願↢念仏門↡別シテシテ↢一願↡云ヘリ↢乃至十念、若不生者、不取正覚↡。

は ¬かんぎょう¼ にいはく、 ごくじゅう悪人あくにん

¬観経¼云、極重悪人

どう ¬きょう¼ にいはく、 にゃくよくしん

同¬経¼云、若欲至心

ろくどう ¬きょう¼ にいはく、 こうみょうへんじょう

同¬経¼云、光明遍照

しちは ¬弥陀みだきょう¼ にいはく、 不可ふかしょう善根ぜんごん

¬阿弥陀経¼云、不可以少善根

はちは ¬般舟はんじゅきょう¼ にいはく、 弥陀みだぶつののたまはく、 欲来よくらいしょうこく

八¬般舟経¼云、阿弥陀仏ハク、欲来生我国

は ¬おん声経じょうきょう¼ にいはく、 にゃくしゅじょう

九¬鼓音声経¼云、若有衆生

じゅうに ¬おうじょうろん¼ にいはく、 かのぶつしょうどく観念かんねんするをもつておうじょうごうとなす。

¬往生論¼云、以↣観↢念スルヲ依正功徳↡為↢往生↡。

このなかに、 ¬かんぎょう¼ の下下げげぼん・¬弥陀みだきょう¼・¬おん声経じょうきょう¼、 ともにみょうごうねんずるをもつておうじょうごうとなす。 いかにいはんや相好そうごうどく観念かんねんせんや。

、¬観経¼下下品・¬阿弥陀経¼・¬鼓音声経¼、倶↠念ズルヲ↢名号↡為↢往生↡。何況観↢念センヤ相好功徳↡耶。

ふ。 ぎょうむしろ勧進かんじんもんなからんや。

問。余行寧ランヤ↢勧進文↡耶。

こたふ。 そのぎょうほうは、 ちなみにかのほう種々しゅじゅどくあかす。 そのなかにみづからおうじょうくに、 ただちにおうじょうようべんずるに、 おお念仏ねんぶつといふにはしかず。 いかにいはんやぶつみづからすでにまさにわれをとのたまはんをや。 またぶつこうみょうぎょうにん摂取せっしゅすといはず。

答。其余行、因明↢彼法種種功徳↡。其クニ↢往生之事↡、不↠如↧直ズルニ↢往生之要↡、多ニハ↦念仏↥。何仏自既言↢当我↡乎。亦不↠云↣仏光明摂↢取スト余行↡。

これらのもんぶんみょうなり。 なんぞかさねてうたがいしょうぜんや。

此等文分明ナリ也。何ンヤ↠疑耶。

ふ。 しょきょうくところしたがひて万品まんぼんなり。 なんぞ管見かんけんをもつて一文いちもんしゅうするや。

問。諸経所↠説↠機万品ナリ。何以↢管見↡執ルヤ↢一文↡耶。

こたふ。 みょうさつの ¬だいじょうしんろん¼ にいはく、 またつぎに、 しゅじょうはじめてこのほうがくして、 そのしんこうにゃくにしてじょうじゅすべきことかたからんと懼畏くいして、 こころ退たいせんとおもはば、 まさにるべし、 如来にょらいしょう方便ほうべんありて信心しんじんしょうしたまふ。 したがひてこころをもつぱらにして念仏ねんぶつする因縁いんねんをもつて、 がんしたがひてほうじょうおうじょうすることを

答。馬鳴菩薩¬大乗起信論¼云、復次、衆生初学シテ↢此法↡、其心怯弱ニシテ懼↢畏シテント↟可↢成就↡、意↠退者、当↠知、如来↢勝方便↡摂↢護タマフ信心↡。随↢専シテ↠意念仏スル因縁↡、随↠願得↣往↢生他方浄土↡。

しゅ多羅たらくがごとし。 もしひと西方さいほう弥陀みだぶつ専念せんねんして、 しょ善業ぜんごうこうして、 かのかいしょうぜんとがんすれば、 すなはちおうじょうと。

如↢修多羅↡。若人専↢念シテ西方阿弥陀仏↡、所作善業廻向シテ、願↣求レバ↢彼世界↡、即得↢往生0094↡。

あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなすことを。 もししからずんば、 四依しえさつすなはちじんにあらず。

契経↢念仏↡為コトヲ↢往生↡。若不ンバ↠爾者、四依菩薩即非↢理尽↡。

わたくしにいはく、 このなか三番さんばん問答もんどうあり。

私云、此↢三番問答↡。

はじめのといこころつべし。 このなかに 「かん」 のことばはまさしくかみ観察かんざつもん (要集巻中) なかの 「行住ぎょうじゅう座臥ざがとうもんすなり。 そのゆゑはあまねくいちまつたずぬるに、 慇懃おんごん勧進かんじんはただ観察かんざつもんり。 ところにまつたくざるところなり。

↠見。此「勧」詞↢上観察門「行住座臥」等↡也。其ルニ↢一部始末↡、慇懃勧進只在↢観察門↡。余処ナリ↠不↠見也。

こたえなか二義にぎあり。 いちにはなんぎょうぎょうしょぎょうしゅしがたく、 念仏ねんぶつしゅしやすし。 にはしょうぶんぶん、 いはくしょぎょう勧進かんじんはなはだすくなし、 念仏ねんぶつしょきょうおおくこれを勧進かんじんす。

有↢二義↡。一ニハ難行・易行、諸行難↠修、念仏↠修。二ニハ者少分・多分、謂諸行勧進甚、念仏諸経多勧↢進↡。

つぎ問答もんどうなかに、 といこころりぬべし。 こたえなかさんあり。 いちにはいんみょう直弁じきべんしょぎょうはもつぱらおうじょうのためにこれをかず、 念仏ねんぶつはもつぱらおうじょうのためにえらびてこれをく。 にはせつせつ、 いはくしょぎょう弥陀みだ如来にょらいみづからまさにこれをしゅすべしとかず、 念仏ねんぶつはみづからまさにわれねんずべしとく。 さん摂取せっしゅ摂取せっしゅ、 いはくしょぎょうしゅするものは仏光ぶっこうこれを摂取せっしゅしたまはず、 念仏ねんぶつおこなはるものは仏光ぶっこうこれを摂取せっしゅしたまふ。

次問答、問意可↠知。答有↢三義↡。一ニハ者因明・直弁、諸行↢往生↡不↠説↠之、念仏↢往生↡選↠之。二ニハ者自説・不自説、謂諸行阿弥陀如来不↢自説↟当修↠之、念仏自説↠当↠念↠我。三摂取・不摂取、謂↢諸行仏光不↣摂↢取タマハ之↡、行ハル↢念仏仏光摂↢取タマフ↡。

つぎ問答もんどうなかに、 といこころべし。 こたえなかいちあり。 如来にょらいずい四依しえじんなり、 いはくしょぎょうしゃ如来にょらいしゅじょうしたがひてこれをきたまふ、 念仏ねんぶつ四依しえさつつくしてこれをすすむ。 これすなはちこの ¬しゅう¼ のほんなり。 くはしくこれをおもふべし。

次問答シテ、問↠得。答↢一義↡。如来随機、四依理尽ナリ、謂諸行釈迦如来随↢衆生↡説タマフ↠之、念仏四依菩薩尽シテ↠理↠之則此¬集¼本意ナリ也。委↠思↠之

おうじょうかい (要集巻下) にいはく、 「ふ。 もしぼんやからおうじょうといはば、 いかんぞ、 近代ごんだいかのくににおいてもとむるものは千万せんまんなれども、 るものはいちもなきや。

往生階位、「問。若凡下輩得イハヾ↢往生↡、云何、近代於↢彼↡求千万ナレドモ、得キヤ↢一二↡。

こたふ。 しゃくしょういはく、 信心しんじんふかからず、 もしはぞんじもしはもうぜるゆゑに。 信心しんじんいちならず、 けつじょうせざるがゆゑに。 信心しんじん相続そうぞくせず、 ねんへだつるがゆゑに。 この相応そうおうせざれば、 おうじょうすることあたはず。 もし三心さんしんしておうじょうせずといはば、 このことわりあることなし。

答。綽和尚云、信心不↠深、若存若ゼル。信心不↠一ナラ、不決定↡故。信心不↢相続↡、念間ルガ故。此レバ↢相応↡者、不↠能↢往生スルコト↡。若具シテ↢三心↡不0095トイハヾ↢往生↡者、無↠有コト↢是↡。

どうしょういはく、 もしよくかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくしてひつみょうとするものは、 じゅうはすなはちじっしょうし、 ひゃくはすなはち百生ひゃくしょうす。 もしせんてて雑業ぞうごうしゅせんとほっするものは、 ひゃくときまれいちせんときまれさんかみのごときといふはらいさんとうもんじょうとう三心さんしんじょうとうしゅすなり

導和尚云、若能如↠上念念相続シテ畢命↠期、十即十生、百即百生。若スル↣捨テヽ↠専ント↢雑業、百時得↢一二↡、千↢三五↡。↢如上↡者指↢礼・讃等五門、至誠等三心、長時等四修↡也

わたくしにいはく、 しんつくしておうじょうとくさだめたまふことは、 どうしょう専修せんじゅぞうぎょうもんをもつてなんとなせり。 また処々しょしょおおくかのしゃくもちゆ、 つべし。 しかればすなはちしんもちゐるやからは、 かならず善導ぜんどうすべきか。

、恵心尽シテ↠理タマフコトハ↢往生得否↡、以↢導和尚専修雑行↡為セリ↢指南↡也。又処処↢彼↡、可↠見。然レバ則用↢恵心↡之輩、必可↠帰↢善導↡哉矣。

九、往生要集料簡

おうじょうようしゅうりょうけんだい  源空げんくう

¬おうじょうようしゅう¼ のじょ (巻上) にいはく、 「このゆゑに念仏ねんぶつ一門いちもんによりて、 いささかきょうろん要文ようもんあつむ。 これをひらきこれをしゅするに、 かくしやすくぎょうじやすし」 と

¬往生要集¼序、「是↢念仏一門、聊↢経論要文↡。披↠之修スルニ↠之、易↠覚易↠行。」

わたくしにいはく、 それじょあらかじりゃくしていちおうべて、 もつてないがんしめすものなり。 しかるにじょなかにすでに 「念仏ねんぶつ一門いちもんによる」 といふ。 あきらかにりぬこの ¬しゅう¼ のこころしょぎょうをもつておうじょうようとなさず、 念仏ねんぶつをもつてようとなすといふことを。 しかのみならず処々しょしょおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす。

私云、夫者預シテ↢於一部奥旨↡、以↢部内元意↡者也。然↠「依ルト↢念仏一門↡。」明¬集¼意、以↢諸行↡不↠為↢往生↡、以↢念仏↡為スト云コトヲ↠要也。加↠之処処↢念仏↡為↢往生↡。

そのもんいちにあらず。 総結そうけつようぎょう (要集巻中) にいはく、 「おうじょうごうには念仏ねんぶつほんとなす」 と 。 また念仏ねんぶつしょうもん (要集巻下) にいはく、 「ただちにおうじょうようべんずるに、 おお念仏ねんぶつといへるにはしかず」 と。 また (要集巻下) いはく、 「あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす」 と 。 ゆゑにだい八門はちもんいたりてさんじゅう問答もんどうあり、 ろくをもつてこれをすすむ。 しょぎょうはしからず、 だいもんいたりてわずかにこれをあかすといへども、 慇懃おんごんにあらず、 また勧進かんじんなし。 ただおのおのぎょうよくにんずるのみ。

文非↠一。総結要行、「往生之業ニハ念仏為↠本。」 又念仏証拠門、「不↠如↧直ズルニ↢往生之要↡、多ヘルニハ↦念仏↥。」又云、「明契経↢念仏↡為↢往生↡。」 所以至↢第八門↡有↢三重問答↡、以↢六義↡勧↠之。諸行不↠爾、至↢第九門↡纔0096雖↠明↠之、非↢慇懃↡、又無↢勧進↡。唯任ズル↢各楽欲而已ノミ

観察かんざつもん (要集巻中) にいはく、 「初心しょしんかんぎょう深奥じんおうへず。 このゆゑにまさに色相しきそうかんしゅすべし。 これにわかちてさんとなす。 いちには別相べっそうかんには総相そうそうかんさんにはぞうりゃくかんぎょうしたがひてこれをもちゐるべし。 はじめに別相べっそうかんとは には総相そうそうかんとは さんぞうりゃくかん。 もし相好そうごう観念かんねんするにへざることあらば、 あるいはみょうおもいにより、 あるいはいんじょうおもいにより、 あるいはおうじょうおもいによりて一心いっしんしょうねんすべし。 じょうぎょうどうなるがゆゑに種々しゅじゅかんあか 行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささ、 つねにこのねんをもつて、 胸中きょうちゅうきて、 してじきねんずるがごとくし、 かっしてみずふがごとくせよ。 あるいはていしゅにて、 あるいはこえげて称名しょうみょうせよ。 外儀げぎことなりといへども心念しんねんはつねにぞんじて、 念々ねんねん相続そうぞくして、 寤寐ごびわするることなかれ」 と

観察門、「初心観行不↠堪↢深奥↡。↠修↢色相観↡。為↠三。一ニハ別相観、二ニハ総相観、三ニハ雑略観。随↢意楽↡応↠用↠之。初別相観。二ニハ総相観。三雑略観 。若↠不コト↠堪↣観↢念スルニ相好↡、或↢帰命想↡、或依↢引摂想↡、或↢往生想↡応↢一心称念↡。已上意楽不同ナルガ明↢種種観↡ 行住坐臥、語黙作作、常以↢此念↡、在↢於胸中↡、如↢飢シテ↟食、如セヨ↢渇シテ↟水。或低頭挙手ニテ、或↠声称名セヨ。外儀雖↠異心念ジテ、念念相続シテ、寤寐莫↠忘コト。」

わたくしにいはく、 これすなはちこの ¬しゅう¼ の肝心かんじんなり、 ぎょうじゃよくこころとどむべし。

私云、則此¬集¼肝心ナリ也、行者能可↠留↢於心↡也。

総結そうけつようぎょう (要集巻中) にいはく、 「ふ。 かみ諸門しょもんなかぶるところすでにおおし。 いまだらずいづれのごうおうじょうようとなす。 こたふ。 だい提心だいしんあつて三業さんごうまもる、 深信じんしんじょうにしてつねに念仏ねんぶつすれば、 がんしたがひてけつじょうして極楽ごくらくしょうず。 いはんやまたもろもろ妙行みょうぎょうするをや。

総結要行云、「問。上諸門所↠陳。未↠知レノ為↢往生↡。答。大菩提心アテ護↢三業↡、深信至誠ニシテ念仏スレバ、随↠願決定シテ生↢極楽↡。況復具ヲヤ↢余妙行↡。

ふ。 なんがゆゑぞこれらをおうじょうようとなす。 こたふ。 提心だいしんさきしゃくするがごとし。 三業さんごうじゅうあくはよくしょうどうふ。 ゆゑにすべからくこれをまもるべし。 おうじょうごうには念仏ねんぶつほんとなす。 その念仏ねんぶつしんかならずすべからくのごとくすべし。 ゆゑに深信じんしんじょうじょうねんさんす。

問。何為↢往生↡。答。菩提心義如↢前具釈スルガ↡。三業重悪能障↢正道↡。故↠護↠之。往生之業ニハ念仏為↠本。其念仏心必↠如↠理。故↢深信・至誠・常念三事↡。

じょうねんさんやくあり。 ざいがいふがごとし、 いちにはもろもろあく覚観かくかんひっきょうじてしょうぜず。 またごっしょうすことをには善根ぜんごんぞうじょうして、 また見仏けんぶつ因縁いんねんうることをさんにはくんじゅうじゅくして、 命終みょうじゅうときのぞみてしょうねん現前げんぜんす。 ごうがんによりててんず。 ゆゑに随願ずいがんおうじょうといふ。

常念有↢三益↡。如↢迦才云↡、一ニハ者諸悪覚観畢竟ジテ不↠生。亦得↠消↢於業障↡。二ニハ者善根増長シテ、亦得↠種コトヲ↢於見仏因縁↡。三ニハ0097薫習熟利シテ、臨↢命終時↡正念現前↠願。故云↢随願往生↡。

そうじてこれをいはば、 三業さんごうまもるはこれぜんなり。 ぶつしょうねんするはこれぎょうぜんなり。 提心だいしんおよびがんはこのぜんじょす。 ゆゑにこれらのほうおうじょうようとなす。 そのむねきょうろんでたり。 これをすることあたはず。

総而言ハヾ↠之、護ルハ↢三業止善ナリ。称↢念スルハ↡是行善ナリ。菩提心及扶↢助二善↡。故此等為↢往生↡。其旨出タリ↢経論↡。不↠能↠具コト↠之。

わたくしにいはく、 この第七だいしち総結そうけつようぎょうとは、 これすなはちこの ¬しゅう¼ の肝心かんじんけつじょうおうじょう要法ようぼうなり。 学者がくしゃさらにこれをちゃくして、 あきらかにそのようるべし。 もん問答もんどうあり。

云、此第七総結要行トハ者、則此¬集¼肝心、決定往生要法ナリ也。学者更思↢択シテ之↡、明↠識↢其要否↡也。文↢二問答↡。

しばらくはじめのといなかに、 「かみ諸門しょもん」 とは、 もんあり。 いちにはえん穢土えどにはごんじょうさんには極楽ごくらくしょうにはしょうしゅ念仏ねんぶつには助念じょねん方法ほうほうなり。 ゆゑにこれらをしてかみもんといふなり。

、「上諸門トハ」者、有↢五門↡。一ニハ厭離穢土、二ニハ欣求浄土、三ニハ極楽証拠、四ニハ正修念仏、五助念方法ナリ。故シテ↢此等↡云↢上五門↡也。

つぎに 「ぶるとところすでにおおし」 とは、 えんしちあり、 ごんじゅうあり、 しょうあり、 しょうしゅあり、 助念じょねんろくあり。 これらの諸門しょもんあかすところすでにおおし。 ゆゑに所陳しょちん既多きたといふなり。

次「所↠陳既多トハ」者、厭離有↠七、欣求有↠十、証拠有↠二、正修有↠五、助念有↠六。此等諸門所↠明既。故云↢所陳既多↡也。

つぎに 「いまだらずいづれのごうおうじょうようとなす」 とは、 かみ諸門しょもんにおいておのおのぶるところのぎょう、 すでにじょうしゅあり。 ようほうにおいて、 学者がくしゃりがたし、 要法ようぼうけつじょうせんがためのゆゑにこのもんきたるなり。

次「未↠知何業為トハ↢往生要↡」者、於↢上諸門↡各所↠述行、既有↢条数↡。於↢要否↡、学者叵↠識、為↣決↢定セン要法↡故門来也。

つぎこたえのなかあり。 いちにはほぼこたえこころべ、 にはまさしくこたえもんしゃくす。

有↠二。一ニハ粗述↢答↡、二ニハ↢答文↡。

はじめにこたえとは、 といこころすでにかみ諸門しょもんぎょうにおいて、 そのようふ。 ゆゑにこたえなかに、 またかみ諸門しょもんなかにおいて、 そのようえらびてそのようぎょうしめす。 これすなはちこたえなかたいなり。

トハ者、問↢上諸門↡、問↢其要否↡。故、又於↢上諸門↡、簡↢其不要↡示↢其要行↡。則答大意ナリ也。

つぎにまさしくこたえもんしゃくすとは、 またわかちてとなす。 いちにはそうじてもんやくしてこれをえらび、 にはべっもんやくしてこれをえらぶ。

トハ↢答文↡者、又分為↠二。一ニハジテシテ↢五門↡簡↠之、二ニハシテ↢二門↡簡↠之

はじめにそうじてもんやくしてえらぶとは、 かみえんとう三門さんもんは、 これおうじょうようにあらず、 ゆゑにえらびてらず。 だいだいもんは、 まさしくこれおうじょうようぎょうなり。 ゆゑにこたえなかにいはく、 「だい提心だいしん三業さんごうとうと。

ジテシテ↢五門↡簡トハ者、上厭離等三門、非↢往生↡、故而不↠取。第四・第五二門、正往生要行ナリ。故0098、「大菩提心護三業」等

だい提心だいしん」 および 「念仏ねんぶつ」 とは、 これすなはちだいもんなり。 「三業さんごう深信じんしんじょうとうとは、 これだいもんなり。 これすなはちそうじて諸門しょもんやくしてそのようげて、 そのようえらぶなり。

「大菩提心」及「念仏トハ」、即第四門ナリ也。「護三業深信至誠」等トハ者、第五門ナリ也。則総ジテシテ↢諸門↡挙↢其↡、簡↢其不要↡也。

つぎべっしてもんやくしてえらぶとは、 このもんあり。 いちにはだいもんやくしてこれをえらび、 だいもんやくしてこれをえらぶ。

シテシテ↢二門↡簡トハ者、此有↠二。一ニハシテ↢第四門↡簡↠之、二シテ↢第五門↡簡↠之。

はじめにだいもんとは、 これにつきてまたもんあり。 「いちには礼拝らいはいもんには讃嘆さんだんもんさんにはがんもんには観察かんざつもんにはこうもんなり」 (要集巻上)。 このもんなかに、 がん観察かんざつもんをもつておうじょうようとなす、 三門さんもんはこれようにあらず。 ゆゑにいま 「だいしん」 および 「念仏ねんぶつ」 といひて、 またらいさんとうといはず。

第四門トハ者、就↠之亦有↢五門↡。「一ニハ礼拝門、二ニハ讃嘆門、三ニハ作願門、四ニハ観察門、五ニハ廻向門也。」此五門、以↢作願・観察二門↡為↢往生↡、余三門非↢是要↡。故今云↢「菩提心」及「念仏」↡、又不↠云↢礼・讃等↡。

また提心だいしんにつきて、 ありあり。 もんちゅうにいまだこれをえらばずといへども、 もし念仏ねんぶつれいせば、 またをもつておうじょうようとなす。 また念仏ねんぶつといふは、 これ観察かんざつもんみょうなり。 しかるに念仏ねんぶつぎょうにおいて、 また観想かんそう称名しょうみょうとあり。 なかにおいて、 称名しょうみょうようとなす。 ゆゑにつぎ問答もんどうなかに 「ぶつしょうねんするこれぎょうぜんなり」 と 。 これをもつてこれをおもふに、 ¬おうじょうようしゅう¼ のこころ称名しょうみょう念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす。

又就↢菩提心↡、有↠事有↠理。文中雖↠未↠簡↠之、若セバ↢念仏↡、亦以↠事為↢往生↡。又言↢念仏↡者、観察門異名ナリ也。然↢念仏↡、又有↢観想称名↡。於↢二、称名為↠要。故問答「称↢念スル行善ナリ。」↠之↠之、¬往生要集¼意、以↢称名念仏↡為↢往生至要↡。

だいもんやくすとは、 これにつきてまた六法ろっぽうあり。 「いちには方処ほうしょ供具くぐにはしゅぎょうそうみょうさんにはたいだいにはあく衆善しゅぜんにはさん衆罪しゅざいろくにはたい魔事まじなり」 と(要集巻中)。 この六法ろっぽうなかには、 だいだいもんをもつておうじょうようとなす。 もんはこれおうじょうようにあらず。 ゆゑにててらざるなり。

トハ↢第五門↡者、就↠之又有↢六法↡。「一ニハ方処供具、二ニハ修行相貌、三ニハ対治懈怠、四ニハ止悪衆善、五ニハ懺悔衆罪、六ニハ対治魔事ナリ。」此六法ニハ、以↢第二・第四二門↡為↢往生↡。余四門非↢是往生↡。故而不↠取也。

だいもんにつきて、 またしゅ三心さんしんあり。 しゅなかにおいて、 ただ間修けんしゅりてそのようとなす。 ゆゑにもんに ¬要決ようけつ¼ (西方要決) きていはく、 「さんには間修けんしゅ、 いはくつねにぶつねんじておうじょうおもい」 と。 三心さんしんにおいてはみなこれおうじょうようなり。 ゆゑにもんに 「深信じんしんじょう」 および 「随願ずいがん」 といふなり。

就↢第二門↡、又有↢四修・三心↡。於↢四修↡、唯取↢無間修為↢其↡。故↢¬要決¼云、「三ニハ者無間修、謂ジテ↠仏↢往生0099。」於↢三心↡者皆往生ナリ。故↢「深信至誠」及「随願」也。

つぎだいもんにつきて、 またろくあり。 六法ろっぽうなかにおいて、 ただ第一だいいちかいぼんりておうじょうようとなす、 ゆゑにもんに 「三業さんごうあく (要集巻中) といふ。 「三業さんごう」 とは、 これすなはちかいぼんなり、 ようにあらず、 ゆゑにててらず。

↢第四門↡、亦有↠六。於↢六法↡、唯取↢第一持戒不犯↡為↢往生↡、故云↢「護三業悪」↡。「護三業トハ」者、則持戒不犯ナリ也、余非↠要、故棄而不↠取

いはゆるかいとは、 これさつかいなり、 しょうもんかいにあらず。 そのむねもんえたり。 ただしさつかいにおいてまた十重じゅうじゅうじゅうはちきょうあり、 いまのこころきょうててじゅうる。 ゆゑにもんに 「三業さんごうじゅうあくのうしょうしょうどう」 といふ。

所謂トハ者、菩薩戒ナリ也、非↢声聞戒↡。其旨見タリ↠文。但於↢菩薩戒↡亦有↢十重・四十八軽↡、今↠軽↠重。故云↢「三業重悪能障正道」↡。

つらつらこの問答もんどうあんずるに、 この ¬ようしゅう¼ のこころによりておうじょうげんとおもはんものは、 まづえんだい提心だいしんおこし、 つぎ十重じゅうじゅう木叉もくしゃし、 深信じんしんじょうwpもつてつねに弥陀みだみょうごうしょうすれば、 がんしたがひてけつじょうしておうじょう。 これすなはちこの ¬しゅう¼ のしょうなり。

ルニ↢此問答↡、依↢此¬要集¼意↡欲↠遂ント↢往生、先↢縁事大菩提心↡、次↢十重木叉↡、以↢深信至誠↡常スレバ↢弥陀名号↡、随↠願↡決定シテ得↢往生↡。則此¬集¼正意也。

つぎにまた問答もんどうあり、 提心だいしんとう七法しちほうをもつて、 おうじょうようとなして、 そのゆえ問答もんどうするなり。 そのもんやすし、 しげきをおそれてさず。 またえんとうもんにおいてようけんちゃくすること、 すでにもつてかくのごとし。 しもべつとうもんまたようにあらざること、 これをもつてるべし。

又有↢問答↡、以↢菩提心等七法↡、為シテ↢往生↡、問↢答スル其由↡也。其文易↠見、恐↠繁不↠記。又於↢厭離等五門↡簡↢択スルコト要否↡、既↠此。下別時等五門亦非ルコト↢至要↡、以↠之可↠知。

また念仏ねんぶつにおいてあり。 いちたん念仏ねんぶつさきしょうしゅもんこころなり。 じょ念仏ねんぶつ、 いまの助念じょねんもんこころなり。 この ¬ようしゅう¼ のこころは、 じょ念仏ねんぶつをもつてけつじょうごうとするか。 ただし善導ぜんどうしょうこころはしからざるか

又於↢念仏↡有↠二。一但念仏、前正修門ナリ也。二助念仏、今助念門ナリ也。此¬要集¼意、以↢助念仏ルカ↢決定業↡歟。但善導和尚不↠然歟

またいはく、 しばらくといじゅんじてようをもつてえらぶといへども、 助念じょねんもんこころにしてこの ¬しゅう¼ しょうにあらざるか。

又云、且准ジテ↠問雖↠簡↢要否↡、助念門ニシテ非↢此¬集¼正意↡歟。

ふ。 なにをもつてかることをたる、 しょうにあらざるとは。 こたふ。 かみあく衆善しゅぜんなか (要集巻中) にいふ、 「ふ。 念仏ねんぶつすればおのづからつみめっす。 なんぞかならずしもかたかいせんや。 こたふ。 もし一心いっしんねんぜば、 まことにむるところのごとし。 しかるに尽日ひねもす念仏ねんぶつしてしずかにそのじつけんすれば、 じょうしんはこれいちりょう、 そのはみなじょくらんなり。 このゆゑに、 かならずまさにしょうじんしてかいすることなほしみょうしゅまもるがごとくすべし」 と。 ゆゑにりぬ如説にょせつ念仏ねんぶつせば、 かならずしもかいとうすべからず。

問。以テカ↠何得タル↠知コトヲ、非トハ↢正意↡。答。上止悪衆善、「問。念仏スレバ滅↠罪。何シモンヤ↠戒。答。若一心ゼバ、誠↠所↠責。然念仏0100シテレバ↢其↡、浄心一両、其ヂヨクナリ、要↢精進シテスルコト↠戒↠護↢明珠↡。」故如説念仏セバ、必シモ不↠可↠具↢持戒等↡矣。

念仏ねんぶつしょうもん (要集巻中) にいはく、 「ふ。 一切いっさい善業ぜんごうおのおのやくありて、 おのおのおうじょう。 なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるや。

念仏証拠門云、「問。一切善業各有↢利益↡、各得↢往生↡。何故唯勧ムルヤ↢念仏一門↡。

こたふ。 念仏ねんぶつすすむることは、 これ種々しゅじゅ妙行みょうぎょうしゃすとにはあらず。 ただこれ、 男女なんにょせん行住ぎょうじゅう坐臥ざがえらばず、 しょ諸縁しょえんろんぜず、 これをしゅするにかたからず、 ないりんじゅうおうじょうがんするに、 その便びんること念仏ねんぶつにはしかず。

答。勧コトハ↢念仏↡、非↣トニハ↢余種種妙行↡。只、男女・貴賎、不↠簡↢行住坐臥、不↠論↢時処諸縁↡、修ルニ↠之不↠難カラ、乃至臨終願↢求スルニ往生↡、得ルコト↢其便宜↡不↠如↢念仏ニハ

ゆゑに ¬木槵もくげんきょう¼ にいはく、 なんこく瑠璃るりおう

¬木槵経¼云、難陀国波瑠璃王

いはんやまた正教しょうきょうなかに、 おお念仏ねんぶつをもつておうじょうごうとなす。 そのもんはなはだおおし。 りゃくしてじゅうもんいださん。

復正教、多↢念仏↡為↢往生↡。其文甚。略シテ↢十文↡。

いちには ¬占察せんざつきょう¼ のかんにいふ、 もしひとほう現在げんざいじょうこくうまれんとおもはば、 かのかいぶつみょうしたがひて、 こころをもつぱらにして誦念じゅねんして一心いっしんらんなるべし。 かみ観察かんざつのごとくなれば、 けつじょうしてかの仏国ぶっこくうまるることをて、 善根ぜんごんぞうじょうして、 すみやかに退たいじょうずと。

ニハ¬占察経¼下巻、若人欲↠生ント↢他方現在浄国↡者、応↧当↢彼世界之名字↡、専ニシテ↠意誦念シテ一心不乱ナル↥。如ナレバ↢上観察↡者、決定シテ↠生コトヲ↢彼仏国↡、善根増長シテ、速↢不退↡。

は ¬双巻そうかんぎょう¼ の三輩さんぱいごう浅深せんじんありといへども、 しかもつうじてみな一向いっこう専念せんねんりょう寿仏じゅぶつといふ。

¬双巻経¼三輩之業雖↠有↢浅深↡、然ジテ云↢一向専念無量寿仏↡。

さんにはじゅう八願はちがんなか念仏ねんぶつもんにおいてべっして一願いちがんおこしていはく、 ないじゅうねんにゃくしょうじゃしゅしょうがくと。

ニハ四十八願↢念仏門↡別シテシテ↢一願↡云、乃至十念、若不生者、不取正覚

には ¬かんぎょう¼ にいはく、 ごくじゅう悪人あくにん と。

ニハ¬観経¼云、極重悪人

にはどう ¬きょう¼ にいはく、 にゃくよくしん と。

ニハ同¬経¼云、若欲至心

ろくにはどう ¬きょう¼ にいはく、 こうみょうへんじょう と。

ニハ同¬経¼云、光明遍照

しちには ¬弥陀みだきょう¼ にいはく、 不可ふかしょう善根ぜんごん と。

ニハ¬阿弥陀経¼云、不可以少善根

はちには ¬般舟はんじゅきょう¼ にいはく、 弥陀みだ仏言ぶつごん と。

ニハ¬般舟経¼云、阿弥陀仏言

は ¬おん声経じょうきょう¼ にいはく、 にゃくしゅじょう と。

¬鼓音声経¼云、若有衆生

じゅうには ¬おうじょうろん¼ にいはく、 かのぶつしょうどく観念かんねんするをもつておうじょうごうとなすと

ニハ¬往生論¼云、以↣観↢念彼依正功徳↡為↢往生

このなかに、 ¬かんぎょう¼ の下下げげぼん・¬弥陀みだきょう¼・¬おん声経じょうきょう¼ は、 ただねんみょうごうをもつておうじょうごうとなす。 いかにいはんや相好そうごう観念かんねんせんどくをや。

0101、¬観経¼下下品・¬阿弥陀経¼・¬鼓音声経¼、但以↢念名号↡為↢往生↡。何観↢念セン相好↡功徳ヲヤ耶。

ふ。 ぎょうにむしろ勧進かんじんもんなからんや。

問。余行ランヤ↢勧進文耶。

こたふ。 そのぎょうほうは、 ちなみにかのほう種々しゅじゅどくあかす。 みづからおうじょうき、 ただちにおうじょうようべんずるに、 おお念仏ねんぶつといふにはしかず。 いかにいはんやぶつみづからとうねんとのたまふをや。 またぶつこうみょうぎょうにん摂取せっしゅすといはず。

答。其行法、因明↢彼種種功徳↢往生之事↡、不↠如↧直ルニ↢往生要↡、多ニハ↦念仏↥。何仏自言タマフヲヤ↢当念我↡乎。亦不↠云↣仏光明摂↢取スト余行↡。

これらのもんぶんみょうなり。 なんぞかさねてうたがいしょうぜんや。

此等文分明ナリ。何ンヤ↠疑耶。

ふ。 しょきょう所説しょせつしたがひて万品まんぼんなり。 なんぞ管見かんけんをもつて一文いちもんしゅうするや。

問。諸経所説随↠機万品ナリ。何↢管見↡執スルヤ↢一文↡耶。

こたふ。 みょうさつの ¬だいじょうしんろん¼ にいはく、 またつぎに、 しゅじょうはじめてこのほうがくせんに、 そのこころこうにゃくにしてじょうじゅすべきことかたしと懼畏くいし、 退たいせんとおもはば、 まさにるべし、 如来にょらいしょう方便ほうべんましまして信心しんじんしょうしたまふ。 したがひて専心せんしん念仏ねんぶつ因縁いんねんをもつて、 がんしたがひてほうじょうおうじょうすることをと。

答。馬鳴菩薩¬大乗起信論¼云、復次、衆生初学↢此↡、其心怯弱ニシテ懼↢畏難シト↟成就↡、欲↠退ント者、当↠知、如来シテ↢勝方便↡摂↢護信心↡。随以↢専心念仏因縁↡、随↠願得↣往↢生コトヲ他方浄土↡。

しゅ多羅たらくがごとし。 もしひともつぱら西方さいほう弥陀みだぶつねんじて、 しょ善業ぜんごうこうして、 かのかいうまれんとがんすれば、 すなはちおうじょうと。

如↢修多羅説↡。若人専ジテ↢西方阿弥陀仏↡、所作善業廻向シテ、願↣求スレバント↢彼世界、即得↢往生↡。

あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとすることを。 もししからずんば、 四依しえさつすなはちじんにあらず」 と。

契経↢念仏↡為コトヲ↢往生↡。若不ンバ↠爾者、四依菩薩即非↢理尽↡。」

わたくしにいはく、 このなか三番さんばん問答もんどうあり。

、此有↢三番問答↡。

はじめのといこころつべし。 ただ 「すすむ」 のまさしくかみ観察かんざつもん (要集巻中) なかの 「行住ぎょうじゅう座臥ざがとうもんすなり。 そのゆゑはいちまつたずぬるに、 慇懃おんごん勧進かんじんただ観察かんざつもんり。 ところにはまつたくざるところなり。

意可↠見。唯「勧」語正↢上観察門「行住座臥」等↡也。其ヌルニ↢一部始末↡、慇懃勧進只在↢観察門↡。余ニハナリ↠不↠見也。

こたえなか二義にぎあり。 いちにはなんぎょうぎょう、 いはくしょぎょうしゅしがたく、 念仏ねんぶつしゅしやすし。 にはしょうぶんぶん、 いはくしょぎょう勧進かんじんもんはなはだすくなし、 念仏ねんぶつしょきょうおおくこれを勧進かんじんす。

有↢二義↡。一ニハ者難行・易行、謂諸行↠修、念仏↠修。二ニハ者少分・多分、謂諸行勧進文甚、念仏諸経勧↢進↡。

つぎ問答もんどうなかに、 といこころりぬべし。 こたえなかさんあり。 いちにはいんみょう直弁じきべん、 いはくしょぎょうはもつぱらおうじょうのためにこれをかず、 念仏ねんぶつはもつぱらおうじょうのためにえらびてこれをく。 にはせつせつ、 いはくしょぎょう弥陀みだ如来にょらいみづからまさにこれをしゅすべしときたまはず、 念仏ねんぶつはみづからまさにわれねんずべしときたまふ。 さんには摂取せっしゅ摂取せっしゅ、 いはくしょぎょうしゅするは仏光ぶっこうこれを摂取せっしゅしたまはず、 念仏ねんぶつぎょうずればぶつこうみょうこれを摂取せっしゅしたまふ

問答、問↠知。答有↢三0102義↡。一ニハ者因明・直弁、謂諸行↢往生↡不↠説↠之、念仏↢往生↡選↠之。二ニハ者自説・不自説、謂諸行阿弥陀如来不↢自説タマハ↟当↠修↠之、念仏自説タマフ↠当↠念↠我。三ニハ摂取・不摂取、謂ルハ↢諸行↡仏光不↣摂↢取タマハ之↡、行レバ↢念仏↡仏光明摂↢取タマフ之↡

つぎ問答もんどうなかに、 といこころべし。 こたえなかいちあり。 如来にょらいしたがひ、 四依しえじんす。 いはくしょぎょうしゃ如来にょらいしゅじょうしたがひてこれをき、 念仏ねんぶつ四依しえさつつくしてこれをすす則此¬集¼本意ナリ。委可↠思↠之。

問答、問可↠得。答有↢一義↡。如来↠機、四依理尽。謂諸行釈迦如来随↢衆生↡説↠之、念仏四依菩薩尽シテ↠理勧↠之 則此¬集¼本意ナリ。委可↠思↠之。

おうじょうかい (要集巻下) にいはく、 「ふ。 もしぼんやからおうじょうれば、 いかんぞ、 近代ごんだいかのこくにおいてもとむるもの千万せんまんんれども、 るものはいちもなきや。

往生階位、「問。若凡下↢往生↡、云何、近代於国土↡求千万ナレドモ、得ルモノハキヤ↢一二↡。

こたふ。 しゃくしょうのいはく、 信心しんじんふかからず、 にゃくぞんにゃくもうのゆゑに。 信心しんじんいちならず、 けつじょうせざるがゆゑに。 信心しんじん相続そうぞくせず、 ねんへだつるがゆゑに。 この相応そうおうせざれば、 おうじょうをあたはず。 もし三心さんしんしておうじょうせずといはば、 このことわりあることなし。

答。綽和尚、信心↠深、若存若亡。信心不↠一、不↢決定↡故。信心不↢相続↡、余念間ルガ。此レバ↢相応↡者、不↠能↢往生。若具シテ↢三心↡不トイハヾ往生↡者、無↠有ルコト↢是↡。

どうしょういはく、 もしよくかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくしてひつみょうとするものは、 じゅうはすなはちじっしょうし、 ひゃくはすなはち百生ひゃくしょうす。 もしせんてて雑業ぞうごうしゅせんとほっするものは、 ひゃくときまれいちせんときまれさんにょじょうといふはらいさんとうもんじょうとう三心さんしんじょうとうしゅすなり

導和尚云、若能如↠上念念相続シテ畢命為↠期、十即十生、百即百生。若欲↣捨テヽ↠専ント↢雑業、百時希得↢一二↡、千時希得↢三五↡。↢如上↡者指↢礼・讃等五門、至誠等三心、長時等四修↡也

わたくしにいはく、 しんつくしておうじょうとくさだむるには、 善導ぜんどうしょう専修せんじゅぞうぎょうもんをもつてなんとしたまふなり。 また処々しょしょおおくかのしゃく引用いんようす、 つべし 。 しかればすなはちしんもちゐんやからは、 かならず善導ぜんどうすべきか。

私云、恵心尽シテ↠理ルニハ↢往生得否↡、以↢善導和尚専修雑行↡為タマフ↢指南↡也。又処処引↢用於彼↡、可↠見 。然則用↢恵心↡之輩、必可↠帰↢善導↡哉。

わたくしにいはく、 このしょう ¬りゃくりょうけん¼ とおなじ、 ただしもんすこひろし。 しかしてその広文こうもん、 まつたく ¬ようしゅうしゃく¼ におなじ。

0103私云、此抄与↢¬略料簡¼↡同、但スコ。而シテ広文、全同↢¬要集¼↡矣。

十、往生要集詮要

おうじょうようしゅう詮要せんよう だいじゅう  源空げんくうさく

¬おうじょうようしゅう¼ のじょうかんにいはく、 「それおうじょう極楽ごくらく教行きょうぎょうじょく末代まつだい目足もくそくなり。 そうじてじゅうもんあり。 わかちて三巻さんかんとなす。 いちにはえん穢土えどにはごんじょうさんには極楽ごくらくしょうしょうしゅ念仏ねんぶつには助念じょねん方法ほうほうろくにはべつ念仏ねんぶつしちには念仏ねんぶつやくはちには念仏ねんぶつしょうにはおうじょう諸業しょごうじゅうには問答もんどうりょうけんとう

¬往生要集¼上巻云、「往生極楽之教行、濁世末代之目足ナリ也。ジテ↢十門↡。分為↢三巻↡。一ニハ厭離穢土、二ニハ欣求浄土、三ニハ極楽証拠、四正修念仏、五ニハ助念方法、六ニハ別時念仏、七ニハ念仏利益、八ニハ念仏証拠、九ニハ往生諸業、十ニハ問答料簡」等

わたくしにりょうけんするに、 まづしょうもんにつきて開合かいごうあり。 かいするそくじゅうもんつ、 もんにいふがごとし。 がっするそくはまたもんでず。 いはくいちにはえん穢土えどにはごんじょうさんには念仏ねんぶつおうじょうにはしょぎょうおうじょうには問答もんどうりょうけんなり。 いましばらくもんせっしてりょうけんすべし。

料簡スル、先就↢章門↡有↢開合↡。 開スル立↢十門↡、如↢文云↡。 合則又不↠出↢五門↡。謂ニハ厭離穢土、二ニハ欣求浄土、三ニハ念仏往生、四ニハ諸行往生、五ニハ問答料簡ナリ也。今且シテ↢五門↡料簡スベシ

十、往生要集詮要 厭離穢土門

第一だいいちえん穢土えどもんとは、 われらひさししょうとどまること、 いまだかつてこのかいいとはざるによりてなり。 このゆゑにじょうねがはんひと、 まづ穢土えどいとふべし。 ゆゑにはじめにこのもんつ。 これにあり。 いちにはべっして厭相えんそうあかし、 にはそうじて厭相えんそうけっす。

第一厭離穢土門トハ者、我等久ルコトハ↢生死↡、由テナリ↠未↣嘗↢此↡。是ハン↢浄土、先可↠厭↢穢土↡。故↢此↡。此有↠二。一ニハシテ明↢厭相↡、二ニハジテ↢厭相↡。

十、往生要集詮要 厭離穢土門 別明厭相

はじめに厭相えんそうあかすとは、 すなはち六道ろくどうぐ。 「いちにはごく ろくにはてんなり」 (要集巻上) と。

トハ↢厭相↡者、即挙↢六道↡。「一ニハ地獄 ニハナリ。」

十、往生要集詮要 厭離穢土門 総結厭相

つぎそうじて厭相えんそうけっすとは、 すなはち広文こうもんあり、 りゃくもんあり、 ごくりゃくあり。

ジテトハ↢厭相↡者、即有↢広文↡、有↢略文↡、有↢極略↡。

十、往生要集詮要 欣求浄土門

だいごんじょうもんとは、 たとひこのかいいとふといへども、 かのくにねがはずんばおうじょうすべからず。 ゆゑにつぎにこのもんつ。 これにまたあり。 いちはまさしく欣相ごんそうあかし、 問答もんどうりょうけんするなり。

第二欣求浄土門トハ者、設雖↠厭↢此↡、不ンバ↠欣↢彼国↡不↠可↢往生↡。故次↢此0104↡。又有↠二。一↢欣相↡、二問答料簡スル也。

十、往生要集詮要 欣求浄土門 正明欣相

はじめにまさしく欣相ごんそうあかすとは、 すなはちじゅうらくぐ。 「いちにはしょうじゅ来迎らいこうらく じゅうには増進ぞうしん仏道ぶつどうらくなり」 (要集巻上) と。

トハ↢欣相↡者、即挙↢十楽↡。「一ニハ聖衆来迎楽 ニハ増進仏道楽ナリ也。」

十、往生要集詮要 欣求浄土門 問答料簡

つぎ問答もんどうりょうけんとは、 これはじゅうもんなか第三だいさん極楽ごくらくしょうもんすなり。 これすなはちごんじょうろんなるがゆゑに、 がっしてこの一門いちもんせっす。 これにまたあり。 「いちには十方じっぽうたいし、 にはそつたいす」 (要集巻上) と。

問答料簡トハ者、↢十門第三極楽証拠門↡也。則欣求浄土論義、合シテ↢此一門↡也。又有↠二。「一ニハ対↢十方、二ニハ対↢兜率↡。」

十、往生要集詮要 念仏往生門

第三だいさん念仏ねんぶつおうじょうもんとは、 たとひここをいとひかしこをねがふといへども、 そのごうなければじょうずべからず。 このゆゑにまさしく念仏ねんぶつあかしておうじょうごうとなす。 ゆゑにつぎにこのもんつ。 このもんについてさんあり。 いち念仏ねんぶつぎょうそう念仏ねんぶつやくさん問答もんどうりょうけんなり。

第三念仏往生門トハ者、設雖↢厭↠此↟彼、無レバ業↡者不↠可↠成。此シテ↢念仏↡為↢往生↡。故↢此↡。就↢此門↡有↠三。一念仏行相、二念仏利益、三問答料簡也。

十、往生要集詮要 念仏往生門 念仏行相

はじめに念仏ねんぶつぎょうそうにまたさんあり。 いちにはしょうしゅ念仏ねんぶつには助念じょねん方法ほうほうさんにはべつ念仏ねんぶつなり。 いちしょうしゅ念仏ねんぶつとは、 これじゅうもんなかだいもんなり。 これにまたもんあり。 「いちには礼拝らいはい にはこうなり」 (要集巻上意) と。 助念じょねん方法ほうほうとは、 これじゅうもんなかだいもんなり。 これにまたしちあり。 「いちには方処ほうしょ供具くぐ しちには総結そうけつようぎょうなり」 (要集巻中) と。 さんべつ念仏ねんぶつとは、 これじゅうもんなか第六だいろくもんなり。 これにまたあり。 「いちにはじんじょうべつぎょうにはりんじゅうぎょうなり」 (要集巻中意) と。

念仏行相又有↠三。一ニハ正修念仏、二ニハ助念方法、三ニハ別時念仏也。一正修念仏トハ者、此十門第四門也。此又有↢五門↡。「一ニハ礼拝 ニハ廻向也。」二助念方法トハ者、十門第五門ナリ也。此又有↠七。「一ニハ方処供具 ニハ総結要行也。」三別時念仏トハ者、十門第六門也。此又有↠二。「一ニハ尋常別行。二ニハ臨終行儀也。」

十、往生要集詮要 念仏往生門 念仏利益

だい念仏ねんぶつやくとは、 これじゅうもんなか第七だいしちもんなり。 これにまたしちあり。 「いちには滅罪めつざいしょうぜん しちには悪趣あくしゅやくなり」 (要集巻下) と。

第二念仏利益トハ者、十門第七門也。此又有↠七。「一ニハ滅罪生善 ニハ悪趣利益也。」

十、往生要集詮要 念仏往生門 問答料簡

第三だいさん問答もんどうりょうけんとは、 これじゅうもんなか第八だいはち念仏ねんぶつしょうもんなり。 これにまた三番さんばん問答もんどうあり。 およそしょうしゅ以下いげもんはみな念仏ねんぶつやくす。 ゆゑにがっして一門いちもんせっするなり。

第三問答料簡トハ者、十門第八念仏証拠門也。此又有↢三番問答↡。凡正修已下五門皆約↢念仏↡。故シテスル↢一門0105↡也。

十、往生要集詮要 諸行往生門

だいしょぎょうおうじょうもんとは、 極楽ごくらくもとむるものはかならずしも念仏ねんぶつをもつぱらにせず、 すべからくぎょうあかしてぎょうよくまかすべし。 ゆゑにつぎにこのもんつ。 これはこれじゅうもんなかだいもんなり。 これにまたあり。 「いちにはべっしてしょきょうもんいだす。 にはそうじてしょぎょうけっす」 (要集巻下) と。

第四諸行往生門トハ者、求↢極楽↡不↣必シモラセ↢念仏↡、須↧明シテ↢余行↡任↦楽欲↥。故↢此↡。十門第九門也。此又有↠二。「一ニハシテ出↢諸経。二ニハジテ結↢諸行↡。」

十、往生要集詮要 諸行往生門 別明諸経

はじめに 「べっしてしょきょうあかす」 とは、 ¬じゅうごん¼ のげんがんおよび ¬こうみょう¼・¬弥陀みだ¼ とう顕密けんみつしょだいじょうこれをいだせり。

「別シテトハ↢諸経↡」者、¬四十花厳¼普賢願及¬光明¼・¬阿弥陀¼等顕密諸大乗出セリ↠之

十、往生要集詮要 諸行往生門 総結諸業

つぎに 「そうじて諸業しょごうけっす」 とは、 くはしくそのそうあかす、 すなはちじゅうさんあり。 「いちにはざいほうとう じゅうさんにはぜんようなり」 (要集巻下) と。

「総ジテトハ↢諸業↡」者、委↢其相↡、即有↢十三↡。「一ニハ者財・法等 十三ニハ者不染利養也。」(要集巻下)

十、往生要集詮要 問答料簡門

だい問答もんどうりょうけんもんとは、 これさき諸門しょもんやくして、 しんいだして問答もんどうしゃくするなり。 ゆゑにおはりにこのもんつ。 これすなはちじゅうもんなかだいじゅうもんなり、 これにまたじゅうあり。 「いちには極楽ごくらくしょう じゅうには助道じょどう人法にんぽうなり」(要集巻下) と。 さきさん念仏ねんぶつしょぎょうつうずべし、 のちしちはただ念仏ねんぶついちぎょうやくすべし。

第五問答料簡門トハ者、シテ↢先諸門↡、出シテ↢不審↡問答解釈スル也。故リニ立↢此↡。則十門第十門也。此又有↠十。「一ニハ極楽依正 ニハ助道人法ナリ也。」前↠通↢念仏・諸行↡、後但約↢念仏一行↡也。

十、往生要集詮要 念仏為要

いまこのもんなかに、 えんごんとのもんはすなはちしゅぎょう方便ほうべんなり、 念仏ねんぶつしょぎょうとのもんはまさしくおうじょう業因ごういんなり。 その業因ごういんにつきて、 ようようとあり。 すなはち念仏ねんぶつ一門いちもんようとなす、 しょぎょう一門いちもんようにあらず。 ゆゑにじょなか (要集巻上) に 「念仏ねんぶつ一門いちもんによりて、 いささかきょうろん要文ようもんあつむ」 といふ。 また念仏ねんぶつしょうもんだい問答もんどうなか (要集巻下) にいはく、 「ただちにおうじょうようべんずるに、 おお念仏ねんぶつをいふにはしかず」 と。 またおなじき第三だいさん問答もんどうなか (要集巻下) にいはく、 「あきらかにりぬかいきょうおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす」 と。 そのことばただ念仏ねんぶつかぎりてしょぎょうつうぜず。

今此五門、厭離↢欣求↡二門即修行方便ナリ也、念仏↢諸行↡二門往生業因ナリ也。就↢其業因↡、有↣要与↢不要↡。即念仏一門為↠要、諸行一門非↠要。故↧「依↢念仏一門↡、聊ムト↦経論要文↥。」又念仏証拠門第二問答、「不↠如↧直弁↢往生之要↡、多ニハ↦念仏↥。」又同第三問答云、「明契経以↢念仏↡為スト↢往生↡。」其言只限↢念仏↡不↠通0106↢諸行↡。

しかれば念仏ねんぶつ一門いちもんやくしてそのこころべきなり。 しばらくこのもんにつきてまた開合かいごう二義にぎあり。 かいしてすでにもんてて釈成しゃくじょうすといへども、 がっしてただ一門いちもんせっしてりょうけんすべし。 まさしくしょうしゅ念仏ねんぶつ一門いちもん、 まさしく要門ようもんなり。 助念じょねん以下いげもんかみしょうしゅ一門いちもんじょじょうす。

レバシテ↢念仏一門↡可↠得↢其意↡也。且就↢此↡又有↢開合二義↡。開シテテヽ↢五門↡雖↢釈成スト↡、合シテ唯摂シテ↢一門↡可↢料簡↡。即正修念仏一門、正要門ナリ也。助念已下四門助↢成正修一門↡。

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門

ゆゑにこれによりて、 しばらくしょうしゅもんにつきてりょうけんす。 これにまたもんあり。 はじめは礼拝らいはい讃嘆さんだんがん観察かんざつこうなり。 このもんなかに、 ただ観察かんざつをもつてそのようとなす。 ちなみに礼拝らいはいとうもんぐといへども、 まさしく念仏ねんぶつるは、 ただ観察かんざつ一門いちもんなるがゆゑなり。

↠之、且就↢正修門↡料簡又有↢五門↡。始礼拝・讃嘆・作願・観察・廻向ナリ也。此五門、唯以↢観察↡為↢其↡。雖↣因ミニ↢礼拝等余門↡、正ルハ↢念仏名↡、但観察一門ナルガナリ也。

この観察かんざつもんにつきて、 またかん念仏ねんぶつしょう念仏ねんぶつねんあり。

就↢此観察門↡、又有↢観念仏・称念仏二念↡。

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門 観念仏

はじめにかん念仏ねんぶつとは、 これにまたさんあり。 「いちには別相べっそうかんには総相そうそうかんさんにはぞうりゃくかんなり」 (要集巻中) と。

始観念仏トハ者、此レニ又有↠三。「一ニハ別相観、二ニハ総相観、三ニハ雑略観也。」

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門 観念仏 別相観

いち別相べっそうかんとは、 またあり。 はじめはまづ華座けざかんじ、 つぎはまさしく相好そうごうかんず。 すでにさんじゅう相好そうごういだせり。 はじめ頂上ちょうじょうよりおはりそくいたるまで、 順逆じゅんぎゃくにこれをかんず。 これにつきてこうりゃくあるべし。

別相観トハ者、又有↠二。初↢華座↡、次観↢相好↡也。即出セリ↢三十二相好↡。始↢頂上↡終マデ↢足下↡、順逆↠之也。就↠之可↢広略↡。

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門 観念仏 総相観

総相そうそうかんとは、 これにまたあり。 はじめには ¬かんぎょう¼ によりて相好そうごうこうみょうかんじ、 つぎにはこのそうにつきて三身さんしん一体いったいかんず。

総相観トハ者、此又有↠二。始ニハ↢¬観経¼観↢相好・光明↡、次ニハ就↢此↡観↢三身一体↡也。

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門 観念仏 雑略観

さんにはぞうりゃくかんとは、 これにまたあり。 いちにはびゃく毫観ごうそうにはおうじょうかんなり。 またごくりゃくかんあり。 これびゃく毫観ごうかんりゃくせるなり。 かくのごとく経々きょうきょう観文かんもんつぶさなり。

ニハ雑略観トハ者、又有↠二。一ニハ白毫観、二ニハ往生観也。又有↢極略観↡。白毫観セルナリ也。如↠此経経観文具サナリ也。

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門 称念仏

つぎしょう念仏ねんぶつとは、 もん (要集巻中) にいはく、 「もし相好そうごう観念かんねんするにへざるものあらば、 あるいはみょうそうにより、 あるいはいんじょうそうにより、あるいはおうじょうそうによりて一心いっしんしょうねんすべし。 じょうぎょうどうなるがゆゑに種々しゅじゅかんあか 行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささつねにこのねんをもつて、 胸中きょうちゅうけ。 してじきねんずるがごとく、 かっしてみずふがごとくせよ。 あるいはていしゅにも、 あるいはこえげて称名しょうみょうせよ。 外儀げぎことなりといへども心念しんねんつねにぞんじて、 念々ねんねん相続そうぞくして、 寤寐ごびにもわするることなかれ」 と

称念仏トハ者、文、「若↠不ルモノ↠堪↣観念スルニ↢相好↡、或依↢帰命想↡、或依↢引摂想↡、或↢往生想↡応↢一心称念↡。已上意楽不同ナルガ明↢種種観↡ 行住坐臥、語黙作作、常↢此↡、在↢於胸中↡。如↢飢シテ↟食、如↢渇シテ↟水。或低頭挙手ニモ、或挙↠声称名セヨ。外儀雖0107↠異心念常ジテ、念念相続シテ、寤寐ニモ↠忘ルコト。」

いまここに 「行住ぎょうじゅう坐臥ざが」 といふよりしもは、 まさしく念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるなり。 これすなはちかみあかすところの観念かんねん称名しょうみょうとをすすむるこころなり。 いはゆるもんなかに、 「ていしゅ」 とは、 すなはち観念かんねんす、 「しょう称名しょうみょう」 とは、 すなはち称念かんねんす。 また 「じょう以此いしねんざい胸中きょうちゅう」 といひ、 「外儀げぎすい心念しんねんじょうざい」 といふ、 このなかに、 じょうはすなはちけんなり。 しかればしゅなかけんしゅす。 まさにるべし、 このもんこころはあるいは観念かんねん、 あるいはしょうねんぎょうまかこんしたがひてけんにこれをしゅし、 念々ねんねん相続そうぞくして、 寤寐ごびわするることなかれと勧進かんじんするなり。

今此↠云↢「行住坐臥」↡下、正↢念仏一門↡也。則上↠明勧ムル↢観念↡称名トヲ↡意也。所謂、「低頭挙手トハ」者、即指観念↡、「挙声称名トハ」者、即指↢称念↡也。又云↢「常以此念在於胸中」、云↢「外儀雖異心念常存」↡、此、常即無間ナリ也。而レバ↢四修無間修↡也。当↠知、此勧↧進スルナリ観念、或称念、任↢意楽↡随↢根機↡無間↠之、念念相続シテ、寤寐莫レトルヽコト也。

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門 勝劣難易

しかるに観念かんねんしょうねんと、 しょうれつあり、 なんあり。 すなはち観念かんねんしょうしょうねんれつなり。 ゆゑに念仏ねんぶつしょうもんなか (要集巻下) にいへり、 「ただねんみょうごうをもつておうじょうごうとなす。 いかにいはんや相好そうごう観念かんねんせんどくをや」 と。 また観念かんねんしゅしがたく、 しょうねんぎょうじやすし。 ゆゑにかみもん (要集巻中) にいはく、 「もし相好そうごう観念かんねんするにへざるもの、 一心いっしんしょうねんすべし」 と。 しかればすなはちしょうれつによりてまづ観念かんねんすすむといへども、 なんやくしてはもつぱらただしょうねんすすむるなり。

観念称念、勝劣アリ、難易アリ。即観念勝、称念ナリ。故念仏証拠門ヘリ↧、「但以↢念名号↡為↢往生之業↡。何況観↢念セン相好↡功徳ヲヤト。」又観念↠修、称念易↠行。故云、「若有↠不ルモノ↠堪↣観↢念スルニ相好↡、 応↢一心称念↡。」然レバ則依↢勝劣↡先雖↠勧↢観念↡、約シテハ↢難易↡専唯勧↢称念↡也。

十、往生要集詮要 念仏為要 讃嘆門 捨難取易

しかるにこの ¬しゅう¼ のこころはじめよりおわりにいたるまで、 なんててる。 すなはちじょなか (要集巻上) にいはく、 「これをひらきてこれをしゅするに、 かくしやすくぎょうじやすし」 と。 また念仏ねんぶつしょうもんなか (要集巻下) にいはく、 「男女なんにょせん、 これをしゅするにかたからず」 とうと。 まさにるべし、 いふところの念仏ねんぶつは、 すなはちしょうねんなり。 しかるにかんしょうなかには、 なほぎょうにつきてもつぱらしょうねんすすむ。 このしょうねんにつきて、 また三想さんそうもちゆ。 いはくみょうそういんじょうそうおうじょうそうなり。 このなかにいはく、 ただいんじょうそうをもつてそのようとなす。 ゆゑにりんじゅうぎょうなか (要集巻中) 、 「ねがはくはほとけいんじょうしたまへ、 南無なも弥陀みだぶつ」 と。

ルニ¬集¼意、自↠始至マデ↠終、捨↠難↠易。即序云、「披↠之修ルニ↠之、易↠覚↠行。」又念仏証拠門、「男女・貴賎、修スルニ↠之不↠難カラ」等。当↠知、所↠言念仏、則称念ナリ也。然観称ニハ、尚就↢易行↡専勧↢称念↡。就↢此称念↡、又用↢三想↡。謂帰命想・引摂想・往生想ナリ也。此云、以↢引摂想↡為↢其。故臨終行儀 、「願引摂シタマヘ、南無阿弥陀仏。」

十、往生要集詮要 念仏為要 此集大意

およそこの ¬しゅう¼ のたいろんずるに、 念仏ねんぶつによりて要文ようもんあつめ、 もつぱら念仏ねんぶつさんじてぎょうじゃすすむ。 じょ (要集巻上) なかに 「念仏ねんぶつ一門いちもんによる」 とは、 すなはちいまのしょうしゅ念仏ねんぶつもんす。 またしょうもんはじめのとい (要集巻下) に 「なんがゆゑぞただ念仏ねんぶつ一門いちもんすすむるや」 といひ、 すなはちこたえ (要集巻下) には 「いま念仏ねんぶつすすむ」 といふも、 このもん (要集巻中) なかの 「行住ぎょうじゅう坐臥ざがもく作々ささとうもんす。 このもんほかにはさらにかくのごとき勧進かんじんことばなきがゆゑなり。 すでに念仏ねんぶつ一門いちもんすすむといふ、 るべし、 自余じよ法門ほうもんすすめずといふことを。

0108ルニ↢此¬集¼大意↡、依↢念仏↡集↢要文↡、専ジテ↢念仏↡勧↢行者↡也。序「依トハ↢念仏一門↡」者、即指↢今正修念仏門↡也。又証拠門↧「何故唯勧ムル↢念仏一門↡耶」、即答ニハ↢「今勧念仏」↡、指↢此門「行住坐臥、語黙作作」等。此ニハ↢如↠此勧進言↡故也。既↠勧ムト↢念仏一門↡、可↠知、不ト云コトヲ↠勧↢自余法門↡。

十、往生要集詮要 念仏為要 念仏諸行相対

このゆゑに念仏ねんぶつしょうもん これはこれもんとき念仏ねんぶつおうじょうもんじゅうもんとき大文だいもん第八だいはちなり にすなはち念仏ねんぶつしょぎょうとを相対そうたいして、 おうじょう得失とくしつはんず。

念仏証拠門 五門念仏往生門、十門大文第八也 即念仏諸行トヲ相対シテ、判↢往生得失

もんさん問答もんどうあり、 ろく相対そうたいあり。 いはくはじめの問答もんどうなかにすなはち相対そうたいあり。 いちにはなんぎょうぎょうたいにはしょうぶんぶんたいなり。

有↢三問答↡、義有↢六相対↡。謂問答即有↢二相対↡。一ニハ難行・易行対、二ニハ少分・多分対ナリ也。

十、往生要集詮要 念仏為要 念仏諸行相対 難行・易行対

はじめになんぎょうぎょうたいとは、 しょぎょうなんぎょうなり、 念仏ねんぶつぎょうなり。 すなはちもん (要集巻下) に 「男女なんにょせん行住ぎょうじゅう坐臥ざがえらばず、 しょ諸縁しょえんろんぜず、 これをしゅするにかたからず、 ないりんじゅうおうじょうがんするに、 その便びんること念仏ねんぶつにしかず」 といふ、 および ¬木槵もくげんきょう¼ のなんこく瑠璃るりおう因縁いんねん、 これなり。

難行・易行対トハ者、諸行難行ナリ、念仏易行ナリ。即文云↧「男女・貴賎、不↠簡↢行住坐臥↡、不↠論↢時処諸縁↡、修スルニ↠之不↠難カラ、乃至臨終願↢求スルニ往生↡、得ルコト↢其便宜↡不↞如↢念仏↡」、及¬木槵経¼難陀国波瑠璃王因縁、是也。

十、往生要集詮要 念仏為要 念仏諸行相対 少分・多分対

つぎしょうぶんぶんたいとは、 しょぎょうしょうぶんせつ念仏ねんぶつぶんせつなり。 すなはちもん (要集巻下) に「もろもろ聖教しょうぎょうなかに、 おお念仏ねんぶつをもつておうじょうごうとする。 そのもんはなはだおおし。 りゃくしてじゅうもんいだす」 といふ。 はじめ ¬占察せんざつきょう¼ のもんよりおわり ¬おうじょうろん¼ のもんいたるまで、 すなはちこれなり。

少分・多分対トハ者、諸行少分説、念仏多分説也。即文云↧「諸聖教、多以↢念仏↡為↢往生↡。其文甚多。略シテ出↦十文↥。」始↢¬占察経¼文↡終マデ↢¬往生論¼文↡、即是也。

だい問答もんどうなかに、 またさん相対そうたいあり。 いちにはいんみょう直弁じきべんたいにはせつせつたいさんには摂取せっしゅ摂取せっしゅたいなり。

第二問答、又有↢三相対。一ニハ因明・直弁対、二ニハ自説・不自説対、三ニハ摂取・不摂取対ナリ也。

十、往生要集詮要 念仏為要 念仏諸行相対 因明・直弁対

いちいんみょう直弁じきべんたいとは、 しょぎょういんみょうぎょうなり、 念仏ねんぶつ直弁じきべんぎょうなり。 すなはちもん (要集巻下) に「そのぎょうほうは、 ちなみにかのほう種々しゅじゅのうあかす。 そのなかにみづからおうじょうくことは、 ただちにおうじょうようべんずるに、 おおくは念仏ねんぶつをいふにはしかず」 といふ、 これなり。

一因明・直弁対トハ者、諸行因明行也、念仏直弁行也。即文云↧「其0109行法、因↢彼種種功能↡。其説↢往生之事↡、不↞如↧直ズルニ↢往生之要↡、多クハニハ↦念仏↥」、是也。

いんみょうとは、 しばらく ¬ほっ¼ にあるいは即身そくしんじょうぶつのうく。 すなはち 「だいぼん」 のなか (法華経巻四) に 「ほうれんじょうとうしょうがくとうといふ、 そのもんなり。 あるいは六根ろっこん清浄しょうじょうのうく。 すなはち 「ほっどくぼん」 のはじ (法華経巻六) に 「しょうごん六根ろっこんかいりょう清浄しょうじょうとうといふ、 そのもんなり。 さきもんには八歳はっさいりゅうにょじょうどうしめし、 のちもんにはしゅほっ得益とくやくあかす。 しかのみならずあるいは十方じっぽう仏前ぶつぜんしょうずとき、 あるいはしゃくぼん転輪てんりん、 あるいはとうしょうとうてんじょう、 あるいは即往そくおうそつてんじょうく。 かくのごときの種々しゅじゅのうあかす、 ちなみにみづからおうじょうく。 すなはち 「薬王やくおうぼん」 のなか (法華経巻六) に 「即往そくおう安楽あんらくかい弥陀みだぶつだいさつしゅにょうじゅうしょしょうれんちゅうほうじょう」 といふ、 そのもんなり。 ほっしゅぎょうするにつきてかくのごとし、 ぎょうほうもこれにじゅんじてるべし。

因明トハ者、且¬法華¼或↢即身成仏功能↡。即「提婆品」中云↢「坐宝蓮華成等正覚」等↡、其ナリ也。或↢六根清浄功能↡。即「法師功徳品」始云↢「荘厳六根皆令清浄」等↡、其文也。前ニハ↢八歳龍女成道↡、後ニハ↢五種法師得益↡也。加之或説↠生ズト↢十方仏前↡、或説↢釈梵転輪座、或当生利天上、或即往兜率天上↡。明↢如↠此種種功能↡、因自説↢往生↡。即「薬王品」中云↢「即往安楽世界阿弥陀仏大菩薩衆囲遶住処、生蓮華中宝座之上」、其文也。就↣修↢行スルニ法華↡如↠此、余行法ジテ↠之↠知

直弁じきべんとは、 ¬だいきょう¼・¬かんぎょう¼・¬弥陀みだきょう¼ とう念仏ねんぶつくことは、 もとよりおうじょういちのためなり。 ゆゑに 「直弁じきべんおうじょうようとうといふ。

直弁トハ者、¬大経¼・¬観経¼・¬阿弥陀経¼等コトハ↢念仏↡、従↠本為ナリ↢往生一事↡也。故云↢「直弁往生之要」等↡。

十、往生要集詮要 念仏為要 念仏諸行相対 自説・不自説対

せつせつたいとは、 しょぎょう弥陀みだぶつのみづからきたまへるぎょうにはあらず、 念仏ねんぶつ弥陀みだすなはちせつぎょうなり。 すなはちもん (要集巻下) に 「ぶつみづからすでに当念とうねんとのたまへる」 といふ、 これなり。 これはこれかみ所引しょいんじゅうもんなかの ¬般舟はんじゅ三昧ざんまいきょう¼ (巻上行品) の 「欲来よくらいしょう国者こくしゃ」 のもんすなり。

自説・不自説対トハ者、諸行↢弥陀仏ヘルニハ↡、念仏弥陀即自説行也。即文↧「仏自既言↢当念我↡乎↢↥」、是也。是指↢上所引十文¬般舟三昧経¼「欲来生我国者」文↡也。

十、往生要集詮要 念仏為要 念仏諸行相対 摂取・不摂取対

さん摂取せっしゅ摂取せっしゅたいとは、 しょぎょうぶつこうみょう摂取せっしゅしたまはざるぎょうなり、 念仏ねんぶつぶつこうみょう摂取せっしゅしたまふぎょうなり。 すなはちもん (要集巻下) に 「またぶつこうみょうぎょうにん摂取せっしゅすといはず」 といふ、 これなり。 これまたかみじゅうもんなかの ¬かんぎょう¼ の 「こうみょうへんじょう」 のもんすなり。

摂取・不摂取対トハ者、諸行光明不↢摂取タマハ↡行也、念仏光明摂取タマフ行也。即文↢「亦↟云↣仏光明摂↢取0110スト余行人↡」、是也。又指↢上十文¬観経¼「光明遍照」文↡也。

十、往生要集詮要 念仏為要 念仏諸行相対 随宜・尽理対

第三だいさん問答もんどうなかにただいち相対そうたいあり。 いはくずいじんたいなり。 しょぎょう如来にょらいずいせつなり、 念仏ねんぶつ四依しえじんせつなり。 すなはちもんみょうさつの ¬だいじょう信論しんろん¼ をきて、 のちけっして (要集巻下) あきらかにりぬかいきょうにはおお念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなす。 もししからずんば、 四依しえさつすなはちじんにあらず」 といへる、 すなはちこれなり。

第三問答只一相対アリ。謂随宜・尽理対也。諸行如来随宜ナリ、念仏四依尽理説也。即文↢馬鳴菩薩¬大乗起信論¼↡、後シテ (要集巻下) ヘル↧「明契経ニハ↢念仏↡為↢往生↡。若ンバ↠爾者、四依菩薩即非↦尽理↥」、即是也。

いまろくをもつてぎょうようあんずるに、 しょぎょうはすなはちおうじょうようにあらず、 念仏ねんぶつはすでにおうじょうようなり。 このゆゑにしょぎょう一門いちもんには、 わずかにぎょうれっするといへども、 いまだくわしぎょうそうあきらかにせず、 おのおのぎょうよくまかすといひていまだ慇懃おんごんぎょうじゃすすめず。 念仏ねんぶつ一門いちもんは、 但念たんねん助念じょねんじょうぎょうそうといひ、 やくといひ、 あるいはしょうき、 あるいはどうつくして、 ぶんみょうにこれをしゃくし、 慇懃おんごんにこれをすすむ。 ここにりぬしんこころ、 もつぱら念仏ねんぶつをもつておうじょうようとすることを。

今以↢六義↡案ルニ↢二行要否↡、諸行即非↢往生↡、念仏往生要也。是諸行一門ニハ、纔雖↠列↢行↡、未↣細明↢行相↡、云↠任↢各楽欲↡未↣慇懃↢行者↡。念仏一門、但念・助念・長時、云↢行相↡、云↢利益↡、或↢証拠↡、或シテ↢道理↡、分明↠之、慇懃↠之。爰恵心、専↢念仏↡為↢往生

十、往生要集詮要 念仏為要 専雑得失

しかのみならず問答もんどうりょうけん (要集巻下) なかにいはく、 「ふ。 もしぼんやからまたおうじょうといはば、 いかんぞ、 近代ごんだいかのくににおいてもとむるものは千万せんまんなれども、 るものはいちもなきや。 こたふ。 どうしょういはく、 もしよくかみのごとく念々ねんねん相続そうぞくしてひつみょうとなすものは、 じゅうはすなはちじっしょうし、 ひゃくはすなはち百生ひゃくしょうす。 もしせんてて雑業ぞうごうしゅせんとほっするものは、 ひゃくときまれいちせんときまれさんにょじょうといふは礼拝らいはいとう念門ねんもんじょうとう三心さんしんじょうとうしゅすなり

加↠之問答料簡云、「問。若凡下亦得イハヾ↢往生↡、云何、近代於↢彼↡求千万ナレドモ、得ルモノハキヤ↢一二。答。導和尚云、若能如↠上念念相続シテ畢命為↠期、十即十生、百即百生。若欲↣捨テヽ↠専修↢雑業、百時希得↢一二↡、千得↢三五↡。↢如上↡者指↢礼拝等五念門、至誠等三心、長時等四修↡也

ふ。 ¬さつ処胎しょたいきょう¼ のだいかく、 西方さいほうこのえんだいることじゅうおく由他ゆた慢界まんがいあり。 ぜんこころおこしゅじょう弥陀みだ仏国ぶっこくしょうぜんとほっするもの、 みなふかまんこくじゃくして、 前進ぜんしんして弥陀みだ仏国ぶっこくしょうずることあたはず。 億千おくせん万衆まんしゅの、 とき一人いちにんありてよく弥陀みだ仏国ぶっこくしょうず。 この ¬きょう¼ をもつてすいするに、 しょうずることをべきことかたし。 こたふ。 ¬ぐんろん¼ に善導ぜんどうしょうさきもんきてこのなんしゃくす。 またみづからじょじょうしていはく、 この ¬きょう¼ のしももんにいはく、 なにをもつてのゆゑに。 みなまんにしてしゅうしんろうならざるによる。 ここにりぬ雑修ざっしゅのものをばしゅうしんろうにんとす。 ゆゑにまんこくしょうずるなり。 もし雑修ざっしゅならずしてもつぱらこのごうぎょうずるは、 これすなはちしゅうしんろうにして、 さだめて極楽ごくらくしょうず」 と。 略抄

問。¬菩薩処胎経¼第二、西方去ルコト↢此閻浮提十二億那由他有↢懈慢界↡。 前後発↠意衆生スル↠生ント↢阿弥陀仏国、皆深シテ↢華鬘国土↡、不↠能↣前進コト↢阿弥陀仏国↡。億千万衆、時↢一人0111↡能↢阿弥陀仏国↡。↢此¬経¼↡推スルニ、難↠可コト↠生コトヲ。答。¬群疑論¼引↢善導和尚↡而釈↢此難↡。又助成シテ、此¬経¼下、何。皆由↢懈慢ニシテ執心不ルニ↢牢固ナラ↡。是知雑修之者ヲバ為↢執心不牢之人。故生↢懈慢国↡也。若シテ↢雑修↡専ズルハ↢此↡、此即執心牢固ニシテ、定生↢極楽。」 略抄

さきもんちゅうに 「にょじょうとはらいさんとう念門ねんもんじょうとう三心さんしんじょうとうしゅす」 とは、 すなはち ¬おうじょう礼讃らいさん¼ のじょにいはく、 「¬かんぎょう¼ にくがごとし、 三心さんしんすればかならずおうじょう。 なんらをかさんとす。 いちにはじょうしん。 いはゆる身業しんごうにかのぶつ礼拝らいはいし、 ごうにかのぶつ讃嘆さんだんしょうようし、 ごうにかのぶつ専念せんねん観察かんざつす。 およそ三業さんごうおこすにはかならず真実しんじつもちゆ。 ゆゑにじょうしんづく。 には深心じんしん。 すなはちこれ真実しんじつ信心しんじんなり。 しんはこれ煩悩ぼんのうそくせるぼん善根ぜんごんはくしょうにして三界さんがいてんしてたくでずとしんして、 ひつみょうとなしてちかひてちゅうせざる、 すなはちこれじょうしゅなり。

前文「如上者指↢礼・讃等五念門、至誠等三心、長時等四修↡也トハ」者、即¬往生礼讃¼序、「如↢¬観経¼説↡、具スレバ↢三心↡必得↢往生↡。何等ヲカ為↠三。一ニハ者至誠心。所謂身業礼↢拝彼仏↡、口業讃↢嘆称↣揚彼↡、意業専↢念観↣察彼仏↡。凡起ニハ↢三業↡必↢真実↡。故名↢至誠心↡。二ニハ者深心。即真実信心ナリ。信↧知自身具↢足セル煩悩↡凡夫、善根薄少ニシテ流↢転シテ三界↡不↞出↢火宅↡、 畢命シテ↠期↢中止↡、則長時修ナリ

またのちもんにいはく、 「¬ぐんろん¼ に、 善導ぜんどうしょうさきもんきてこのなんしゃくす」 とは、 すなはちかの論文ろんもん (群疑論巻四意) にいはく、 「善導ぜんどうぜんもろもろしゅじょうすすめて、 もつぱら西方さいほうじょうごうしゅすとは、 しゅすることなく三業さんごうまじることなく、 一切いっさい諸願しょがんしょぎょうはいして西方さいほういちぎょう唯願ゆいがんゆいぎょうして、 雑修ざっしゅのものはまんひとりもしょうぜず、 専修せんじゅひとせんひとりもしっすることなし。 そのぎょうまじふればまんくにつ、 そのごうをもつぱらにすれば安楽あんらくこくしょうず」 と

又後、「¬群疑論¼、引↢善導和尚↡釈トハ↢此難↡」者、即彼論文、「善導禅師勧↢諸衆生↡、専修↢西方浄土業↡者、四修靡↠堕ルコト三業無↠雑、廃シテ↢余一切諸願諸行↡唯↢願唯↣行西方一行↡、雑修之不↢一リモ生↡、専修之人↢一リモスルコト↡。雑↢其行↡墜↢於懈慢之邦↡、専↢其業↡生↢於安楽国↡。」

いまこれらのもんによるに、 しん詮要せんようには善導ぜんどう専雑せんぞうしゅ引用いんようして、 おうじょうとくけっす。 しかも雑修ざっしゅぞうぎょうきらひて専修せんじゅすすむるこころざし、 これをもつてるべし。 ¬おうじょうようしゅう¼ の詮要せんよう大概たいがいここにり。

今拠↢此等↡、恵心詮要ニハ引↢用善導専雑二修0112↡、決↢往生得否↡。而↢雑修雑行↡勧↢専修↡之、以↠之可↠知。¬往生要集¼詮要大概在↠此

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行

¬おうじょうようしゅう¼ のようぎょう、 「第七だいしち総結そうけつようぎょうとは」(要集巻中) とう 。 わたくしにいはく、 この総結そうけつようぎょうは、 ¬おうじょうようしゅう¼ の肝心かんじんけつじょうおうじょう要法ようぼうなり。 学者がくしゃよくこれをして、 そのようようるべし。 もんばん問答もんどうあり。

¬往生要集¼要行、「第七総結要行トハ者」万不↢一等 。私云、此総結要行、¬往生要集¼肝心、決定往生要法ナリ也。学者善解シテ↠之、可↠知↢其要不要↡也。文有↢二番問答↡。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第一問答

はじめのといなかに、 「かみ諸門しょもんなか」 とは、 かみもんあり。 いちにはえん穢土えどもんにはごんじょうもんさんには極楽ごくらくしょうもんにはしょうしゅ念仏ねんぶつもんには助念じょねん方法ほうほうもんなり。 これらをかみ諸門しょもんといふ。

、「上諸門トハ」者、上有↢五門↡。一ニハ厭離穢土門、二ニハ欣求浄土門、三ニハ極楽証拠門、四ニハ正修念仏門、五ニハ助念方法門ナリ也。指シテ↢此等↡云↢上諸門↡也。

つぎに 「所陳しょちんすでにおおし」 とは、 えんもんなかぶるところしちしょうあり、 ごんもんじっしょうあり、 しょうもんしょうあり、 助念じょねんもんろくしょうあり。 これらのしょしょうあかすところおおし。 ゆゑにぶるところすでにおおしといふ。

「所陳既トハ」者、厭離門所↠陳有↢七章↡、欣求門有↢十章↡、証拠門有↢二章↡、助念門有↢六章↡。諸章所↠明。故云↢所↠陳既多↡也。

つぎに 「いまだらずいづれのごうをかおうじょうようとなす」 とは、 かみ諸門しょもんにおのおのぶるところのぎょうごうすでにおおし、 しかるにいまだそのようらず。 ゆゑにその要法ようぼうらんがためにかくのごとくもんずなり。

「未↠知何業ヲカトハ↢往生要↡」者、上諸門所↠陳行業既、而未↠知↢其↡。故為↠知ンガ↢其要法↡如也。

つぎこたえなかあり。 いちにはこたえこころべ、 こたえもんしゃくす。

有↠二。一ニハ陳↢答↡、二↢答↡。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第一問答 宣答意

はじめにこたえこころぶとは、 かみ諸門しょもんなかしょぎょうにつきて、 といようようとあるがゆゑに、 こたえにもまたまたかみ諸門しょもんなかに、 そのようててそのようぎょうしめす。 これすなはちこたえたいなり。

ブトハ↢答↡者、就↢上諸門諸行↡、問↢要不要↡故、答ニモ又上諸門、捨テヽ↢其不要↡示↢其要行↡。即答大意也。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第一問答 釈答文

つぎこたえもんしゃくすとは、 またわかちてあり。 いちにはそうじてもんにつきてこれをえらび、 べっしてもんこてこれをえらぶ。

トハ↢答文↡者、又分有↠二。一ニハジテ↢五門↡簡↠之、二シテ付↢二門↡簡↠之。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第一問答 釈答文 総五門

はじめにそうじてもんにつきてえらぶとは、 かみえんごんしょう三門さんもんはこれおうじょうようにあらず、 ゆゑにててらず。 だいしょうしゅだい助念じょねん、 このもんはこれおうじょうようなるがゆゑえらびてこれをる。 「だいだいしん三業さんごうとうといふ、 これなり。 「提心だいしん」 と 「念仏ねんぶつ」 とは、 これだいもんなり。 「三業さんごう」 と 「深信じんしん」 と 「じょう」 と 「じょうねん」 と 「随願ずいがん」 とは、 これだいもんなり。 これすなはちそうじて諸門しょもんにつきてそのようげて、 そのようえらぶなり。

ジテ就↢五門↡簡トハ者、上厭離・欣求・証拠三門非↢往生↡、故テヽ不↠取。第四正修・第五助念、此二門0113往生ナルガ↠之。云↢「大菩提心護三業」等↡、是ナリ也。「菩提心」「念仏トハ」、第四門也。「護三業」「深信」「至誠」「常念」「随願トハ」、是第五門ナリ也。即総ジテ↢諸門↡挙↢其↡、簡↢其不要↡也。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第一問答 釈答文 別二門

つぎべっしてもんにつきてえらぶとは、 これにまたあり。 いちにはだいもんにつきてこれをえらび、 にはだいもんにつきてこれをえらぶ。

シテ就↢二門↡簡トハ者、此又有↠二。一ニハ者就↢第四門↡簡↠之、二ニハ就↢第五門↡簡↠之。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第一問答 釈答文 別二門 第四門(正修念仏)

はじめにだいもんにつきてえらぶとは、 このもんにまたもんあり。 「いちには礼拝らいはいもんには讃嘆さんだんもんさんにはがんもんには観察かんざつもんにはこうもんなり」 (要集巻上) と。 このもんなかに、 がん観察かんざつもんをもつておうじょうようとなす、 三門さんもんはこれようにあらず。 ゆゑに 「だいしん」・「念仏ねんぶつ」 といひて、 さらに礼拝らいはい讃歎さんだんとうといはず。

就↢第四門↡簡トハ、此又有↢五門↡。「一ニハ礼拝門、二ニハ讃嘆門、三ニハ作願門、四ニハ観察門、五ニハ廻向門ナリ也。」此五門、以↢作願・観察二門↡為↢往生↡、余三門非↢是要↡。故↢「菩提心」・「念仏」↡、更不↠云↢礼拝・讃歎等↡。

まただいしんにつきて、 ありあり。 もんなかにいまだこれをえらばずといへども、 をもつて得心とくしんす。 また念仏ねんぶつれいするに、 だいしんをもつておうじょうようとなす。

又就↢菩提心↡、有↠事有↠理。文雖↠未↠簡↠之、以↠義得心。又例スルニ↢念仏↡、以↢事菩提心↡為↢往生↡。

また念仏ねんぶつとは、 これ観察かんざつもんみょうなり。 しかるに念仏ねんぶつにおいて、 また観察かんざつあり、 称名しょうみょうあり。 いま称名しょうみょうをもつてようとなす。 ゆゑにつぎ問答もんどうなかに 「しょう念仏ねんぶつぎょうぜん」 といふ。

又念仏トハ者、是観察門異名也。而↢念仏↡、又有↢観察↡、有↢称名↡。今以↢称名↡為↠要。故問答↢「称念仏是行善」↡。

これをもつてこれをおもふに、 ¬おうじょうようしゅう¼ のこころ称名しょうみょう念仏ねんぶつをもつておうじょうようとなすなり。

↠之思↠之、¬往生要集¼意、以↢称名念仏↡為↢往生至要↡也。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第一問答 釈答文 別二門 第五門(助念方法)

べっしてだいもんにつきてえらぶとは、 このもんにまたろくあり。 「いちには方処ほうしょ供具くぐにはしゅぎょうそうみょうさんにはたいだいにはあく衆善しゅぜんにはさん衆罪しゅざいろくにはたい魔事まじなり」(要集巻中) と。 この六法ろっぽうなかに、 だいだいもんようとなす。 第一だいいち第三だいさんだい第六だいろくもんはこれようにあらず。 ゆゑにててらず。

↢第五門↡簡ブトハ者、此又有↠六。「一ニハ方処供具、二ニハ修行相貌、三ニハ対治懈怠、四ニハ止悪衆善、五ニハ懺悔衆罪、六ニハ対治魔事ナリ也。」此六法、第二・第四二門為↠要。第一・第三・第五・第六四門非↠要。故テヽ不↠取。

だいしゅぎょうそうみょうに、 しゅあり、 三心さんしんあり。

就↢第二修行相貌、有↢四修↡、有↢三心↡。

しゅとは、 いちにはじょうしゅにはおんじゅうしゅさんにはけんしゅ無余むよしゅなり。 このしゅなかに、 ただけんしゅりてそのようとなし、 さんようにあらず。 けんしゅとは、 すなはちじょう念仏ねんぶつなり。 もんに ¬西方さいほう要決ようけつ¼ をきていはく、 「さんにはけんしゅ、 いはくつねに念仏ねんぶつしておうじょうおもいせ」 と

四修トハ者、一ニハ長時修、二ニハ0114重修、三ニハ無間修、四無余修ナリ也。此四修、唯取↢無間修↡為↢其↡、余↠要。無間修トハ者、即常念仏義也。文↢¬西方要決¼↡云、「三ニハ者無間修、謂念仏シテ作↢往生↡。」

三心さんしんにおいてはてずしてみなる、 これおうじょうようなるがゆゑなり。 もんにいはく、 「深信じんしんじょう」 および 「随願ずいがん」 と、 すなはちこのこころなり。

テハ↢三心↡不シテ↠捨皆取、是往生ナルガナリ也。文、「深信至誠」及「随願」、即此意也。

つぎだいもんあく修善しゅぜんろくあり。 「いちにはかいぼんには不起ふき邪見じゃけんさんにはしょうきょうまんには不恚ふいしつにはゆうみょうしょうじんろくには読誦どくじゅだいじょうなり」 と。 この六法ろっぽうなかに、 ただ第一だいいちかいぼんりておうじょうようとなす。 ゆゑに 「三業さんごう」 といふ。 「三業さんごうあくまもる」 とは、 すなはちかいなり、 ようにあらず。 ただしさつかいにまた十重じゅうじゅうありじゅうはちきょうあり、 いまこの ¬しゅう¼ のこころじゅうきょうらず。 もんに 「三業さんごうじゅうあく」 といふ、 このこころなり。

就↢第四門止悪修善↡有↠六。「一ニハ持戒不犯。二ニハ不起邪見。三ニハ不生憍慢。四ニハ不恚不嫉。五ニハ勇猛精進。六ニハ読誦大乗ナリ也。」此六法、唯取↢第一持戒不犯↡為↢往生↡。故↢「護三業」↡。「護トハ↢三業悪↡」者、即持戒也、余非↠要。但菩薩戒又有↢十重↡有↢四十八軽↡、今此¬集¼意取↠重不↠取↠軽。文云↢「三業重悪」↡、是意也。

つらつらこの問答もんどうこころあんずるに、 この ¬ようしゅう¼ のこころによりておうじょうげんとほっするひとは、 まづえんだいだいしんおこし、 つぎさつ十重じゅうじゅう禁戒きんかいして、 深信じんしんじょうをもつてつねに弥陀みだみょうごうしょうし、 こう発願ほつがんすれば、 けつじょうしておうじょう。 これすなはちこの ¬しゅう¼ のしょうなり。

ズルニ↢此問答↡、依↢此¬要集¼意↡欲スル↠遂↢往生↡人、先↢縁事大菩提心↡、次持↢菩薩十重禁戒↡、以↢深信・至誠↡常↢弥陀名号↡、廻向発願スレバ、決定シテ得↢往生↡。則此¬集¼正意也。

十、往生要集詮要 念仏為要 総結要行 第二問答

つぎにまた問答もんどうあり、 これらの七法しちほうをもつて、 おうじょうようとするよしあらわすなり。 そのもんやすし、 しげきをおそれてちゅうせず。 かみえんとうもんやくしてようえらぶこと、 すでにかくのごとし。 しもべつとうもんはこれようにあらず、 これをもつてるべし。 また念仏ねんぶつおうじょうあり。 いちにはたん念仏ねんぶつにはじょ念仏ねんぶつなり。 いまこの ¬ようしゅう¼ のこころは、 じょ念仏ねんぶつをもつてけつじょうおうじょうごうといふか。

又有↢問答↡、顕↧以↢此等七法↡、為↢往生↡之由↥也。其文易↠見、恐レテ↠繁不↠注。約シテ↢上厭離等五門↡簡コト↢要否↡、既如↠此。下別時等五門非↠要、以↠之可↠知。又念仏往生有↠二。一ニハ但念仏、二ニハ助念仏也。今此¬要集¼意、以↢助念仏↡云↢決定往生業↡哉。

0115谷上人漢語灯録巻第六

 

延書は底本の訓点に従って有国が行った。
底本は大谷大学蔵江戸時代末期恵空本転写本。 Ⓐ愛知県裕誓寺蔵江戸時代末期恵空本書写本、 Ⓑ千葉県善照寺蔵江戸時代末期恵空本書写本と対校されている。
 Ⓐ「文カ」と右傍注記。
 Ⓑ「コノマヽ」と左傍註記。