一八(1016)、基親取信信本願之様

基親もとちかしんしんずるほんぐわんやう

¬さうくわん¼ (大経) じやういはく、

「たとひわれぶちたらむに、 十方じふぱうしゆじやうしんいた信楽しんげうしてわがくにむまれむとおもふて、 ない十念じふねむせむ。 もしむまれずは、 しやうがくらじ」 と。

せちとくぶち十方じふぱうしゆじやうしん信楽しんげうよくしやうこく↡、 ない十念じふねむにやくしやうじやしゆしやうがく↡。」

おな (大経) いは

「それみやうがうゝて信心しんじむくわんして、 ない一念ゐちねむせむ。 しんいたかうして、 かのくにうまれむとがんぜむ。 すなわちわうじやう退転たいてんぢゆせむと。」

もんみやうがう信心しんじむくわんない一念ゐちねむしんかうがんしやうこく↡。 そくとくわうじやう↡、 ぢゆ退転たいてん↡。」

¬わうじやう礼讃らいさん¼ いは

いましんす、 弥陀みだほんぜいぐわんは、 みやうがうしようすること下至げしじふしやうゐちしやうとうおよぶまで、 さだめてわうじやうない一念ゐちねむしむあることなかれと。」

こむしん弥陀みだほんぜいぐわんぎふしようみやうがう下至げしじふしやうゐちしやうとう↥、 ぢやう1017とくわうじやう↡、 ない一念ゐちねむしむ↡。」

¬観経くわんぎやうしよ¼ (散善義) いは

ひとつには決定くゑちぢやうしてふかしんげんにこれ罪悪ざいあくしやうぼむくわうごふよりこのかたつねしづつねてんして、 しゆつえんあることなしとしんず。 ふたつには決定くゑちぢやうしてふかくかの弥陀みだぶち十八じふはちぐわんしゆじやう摂受せふじゆして、 うたがひなくおもんぱかりなくかのぐわんりきじようじて、 さだめてわうじやうしんず。」

一者ゐちしや決定くゑちぢやう深信じむしんしんげん罪悪ざいあくしやうぼむくわうごふらいぢやうもちぢやうてんしゆつえん↡。 しや決定くゑちぢやう深信じむしん弥陀みだぶち十八じふはちぐわんせふじゆしゆじやう↡、 りよじようぐわんりき↡、 ぢやうとくわうじやう↥。」

これらのもんあんさふらひて、 基親もとちか罪悪ざいあくしやうぼむなりといゑども、 一向ゐちかうほんぐわんしんじて、 みやうがうをとなえさふらふ毎日まいにち万返まんべんなり。 決定くゑちぢやうほとけほんぐわんじようじてじやうぼむわうじやうすべきよし、 ふかくぞんさふらふなり。 このほかべち料間れうけんなくさふらふ

しかるに或人あるひとほんぐわんしんずるひと一念ゐちねむなり、 しかれば、 万返まんべんやくなりほんぐわんしんぜざるなりとまふす。 基親もとちかこたえていはく、 念仏ねむぶちゐちしやうのほかより、 ひやくぺんない万返まんべんは、 ほんぐわんしんぜずといふもんさふらふやとまふす。 難者なんじやいはく、 りきにてわうじやうはかなひがたし、 たゞ一念ゐちねむしんをなしてのちは、 念仏ねむぶちのかずやくなりとまふす。

基親もとちかまたまふしていはく、 りきわうじやうとは、 ざふぎやうとうをもてぐわんずとまふさばこそは、 りきとはまふしさふらはめ。 したがひて善導ぜんだうの ¬しよ¼ (散善義) にいはく、

じやうじんひやくねん下至げし一日ゐちにち七日しちにち一心ゐちしむ弥陀みだみやうがう専念せんねむすれば、 さだめてわうじやう。 かならずうたがひなし」

じやうじんひやくねん下至げし一日ゐちにち七日しちにち一心ゐちしむせんねむ弥陀みだみやうがう↡、 ぢやうとくわうじやう↡。 ひち

さふらふめるは、 ひやくねん念仏ねむぶちすべしとこそはさふらへ。

またしやうにん御房おむばうしち万返まんべん1018となえしめまします。 基親もとちかおむ弟子でし一分ゐちぶんたり、 よてかずおほくとなえむとぞんさふらふなり、 ほとけおんほうずるなりまふす。 すなわち ¬礼讃らいさん¼ に

相続さうぞくしてかの仏恩ぶちおん念報ねむぽうせざるがゆへに、 しむきやうまんしやうず。 ごふぎやうすといゑども、 つねにみやう相応さうおうするがゆへに、 にんおのづからおほふてどうぎやうぜんしき親近しんごんせざるがゆへに、 このみて雑縁ざふえんちかづきて、 わうじやう正行しやうぎやうしやうしやうするがゆへにと。」

相続さうぞくねむぽうぶちおんしむしやうきやうまん↡。 すいごふぎやう↡、 ぢやうみやう相応さうおうにんふくしんごんどうぎやうぜんしきげうごん雑縁ざふえん↡、 しやうしやうわうじやう正行しやうぎやう。」

基親もとちかいはく、 仏恩ぶちおんほうずとも、 念仏ねむぶち数返しゆへんおほくさふらはむ。