(173)

抑十悪・五逆といふつみふかき人も、 また五障・三従の女人も、 万事をなげすてゝ一心に阿弥陀如来このたびの後生たすけたまへと、 ひしとたのまんひとは、 十人も百人もみなともに極楽世界に往生すべきこと、 さらにうたがふこゝろつゆちりほどもあるべからず。 このほかにはねてもさめても南无阿弥陀仏南无阿弥陀仏とまうすこゝろは、 ただ一念に弥陀如来をたのみたてまつるところに、 なにのやうもなくたすけまします弥陀0457如来の御恩のありがたさたふとさをおもいまいらせて念仏まうすなり。 これすなはち弥陀の御恩を報じまうすこゝろなりとおもふべきものなり。 あなかしこ、 あなかしこ。

[明応七年拾月廿八日 八十四歳書之 御判]