みだにょらいみょうごうとく 弥陀如来名号徳 1巻。 親鸞の著。 光明は名号の徳義をあらわすものであるという領解が示されたもの。 伝存するのは長野県正行寺蔵応長元年書写本のみであるが、 一部落丁があり、 全体の構成は必ずしも明らかではない。
推定によって本書の構成を述べれば、 まず十二光の一々について釈される。 すなわち無量光・無辺光・無礙光・清浄光・歓喜光・智慧光・無対光・炎王光・不断光・(欠落)・超日月光の順に、 そのはたらきを示される。 続いて再び無礙光の釈があり、 「帰命尽十方無礙光如来」 (十字名号) について釈され、 難思光・無称光の釈の後、 両者が合されたものとして 「南無不可思議光仏」 (八字名号) について釈されている。 このうち十二光の釈の一部 (難思光・無称光か) と、 「帰命尽十方無礙光如来」、 「南無不可思議光仏」 のそれぞれの釈の中間を欠いている。 なお、 「南無不可思議光仏」 の釈の前にも、 難思光・無称光の釈があるが、 超日月光の釈の後に、 「十二光のやう、 おろおろかきしるして候ふなり」 とあることから、 超日月光の釈までに一応十二光の釈が済んでいると見るべきであろう。
本書が著された年代は、 正行寺本の奥書△によってしか知り得ないが、 文応元年 (1260)、 親鸞88歳の頃と考えられている。 なお、 愛知県上宮寺蔵の断簡が本書の一部であるとする説もある。