じょうどもんるいじゅしょう 浄土文類聚鈔◎ 1巻。 親鸞の著。 ¬略文類¼ ¬略典¼ ¬略書¼ などともいう。 これは ¬教行信証¼ (広文類) が、 仏典だけでなく他の典籍までも引用して、 教・行・信・証・真仏土・化身土の6巻に分けて、 浄土真宗の教義体系を広く明かしているのに対して、 本書は、 浄土三部経と龍樹・天親・曇鸞・善導の四師の論釈を引くのみで、 真仏土・化身土の内容がなく、 簡略化されていることによる。 しかし内容は、 教・行・証の三法を中心にその基本的な意味を明らかにし、 また往相・還相についても要点を示し、 さらに三心一心を論じて、 浄土三部経の教説は一致して本願力回向の信心を勧めていると述べて、 いわば ¬教行信証¼ と同じく浄土真宗の要義が記されている。
製作年代は明らかでなく、 ¬教行信証¼ との前後関係について、 広前略後、 略前広後の両説があって、 容易に決しがたいが、 おそらく ¬教行信証¼ の推敲が重ねられるなかで、 その大綱を別な観点から構成して作られたのではないかと考えられる。
¬教行信証¼ が、 親鸞の教えをあらわす根本聖典であることは言うまでもないが、 本書は ¬教行信証¼ の構成や内容の重点を知り、 その理解を助けるものとして極めて大きな意義を持つ
古写本に滋賀県光延寺蔵延慶2年書写本、 大谷派蔵室町初期書写本、 龍谷大学蔵室町中期書写本がある。