ほんがく 本覚 煩悩に覆われて迷っている状態 (不覚) にもかかわらず、 本性として本来的にさとりの性質をもっているということ。 これに対して無始より有する迷いを滅することを始覚という。 ¬大乗起信論¼ に説かれる。 そもそも ¬大乗起信論¼ においては、 衆生の心について心真如門と心消滅門との2種の立場で捉える。 心真如門の立場では心を差別のない平等な絶対的なさとりとし、 心消滅門の立場ではその心は本覚・始覚などと、 差別相をもってあらわされると考えるが、 あくまでも本覚は衆生のうちにあるさとりの性質として示されている。 しかしながら、 後世には、 人々はすでにさとっていて気づいていないだけであるという意味に拡大した解釈もあらわれ、 この迷いの現実世界こそが真のさとりの世界であるとみる日本天台本覚思想などにも展開した。