げのごぶんしょう 夏御文章 4通または5通。 実如が蓮如の御文章から別行したもの。 聞法が肝要であることを厳しく諭し、 「もろもろの雑行をすてて一心に弥陀如来をたのみ、 今度のわれらが後生たすけたまへと申す」 (第1通・第2通) と安心の相状を詳らかにしている。
各通はいずれも明応7年 (1498) 蓮如84歳のときのもので、 第1通と第2通は5月下旬、 第3通は6月下旬、 第4通は7月下旬にそれぞれ述作されたものであることが、 「名塩御文」 (246通を収録・兵庫県教行寺蔵) の当該 ¬御文章¼ に記された年紀から知られる。 第4通目は内容より2通が1通となっていることが知られるので、 法如がこれを両軸としてから本願寺派では全体を5通と数えている。
本書は、 本願寺派本願寺において、 毎年夏中の5月15日より8月15日までの間、 正午の勤行時に拝読されている。 ¬御俗姓¼ とともに御文章の儀式的な読誦の端を開いたものである。