がいじゃしょう 改邪鈔◎ 1巻。 覚如の著。 建武4年 (延元2・1337)、 その門弟乗専の求めにより覚如が口述し、 それを乗専が筆記して成立した。 当時の真宗教団における異義を是正した書であって、 ¬口伝鈔¼ とともに覚如の代表的著作の一つ。 三代伝持の血脈 (法然―親鸞―如信) を主張し、 自らがその血脈の正統を受け継ぐものであることを示し、 当時の教団内の邪義20カ条を挙げて批判し、 もって大谷本願寺を中心として真宗教団を統一しようとしたもの。 親鸞の門弟のなかに、 師伝でない異義を主張し、 親鸞の教えをみだす者があらわれたため、 邪義を破し、 正しい法義をあらわすために述作された。
20カ条の異義は大別すると大体三点に分けられる。 その一は、 寺院観である。 第20条には大谷本願寺を無視する門弟達の傾向を誡め、 大谷本願寺に教団全体を統一しようとする覚如の意図が示されている。 その二は、 門徒の行儀についての批判である。 ことさら遁世のかたちを装い、 裳無衣や黒袈裟を用いる時衆 (時宗) の風儀をまねる者、 わざとなまった声で念仏する者など、 門徒の風儀・言動について批判している。 さらには同行の与奪等の行為の禁止を説示し、 対同行の態度について述べられている。 その三は、 安心論上の問題であって、 仏光寺系門徒の名帳・絵系図を異義とし、 知識帰命の異義を破斥し、 安心と起行とについての分別をなし、 起行を正因とすることを否定して、 信心正因の立場を主張している。
古写本に本願寺派本願寺蔵伝蓮如書写本などがある。