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 侍能工商之事

一 奉公宮仕をし、 弓箭を帯して主命のために身命をもおしまず。
二 又耕作に身をまかせ、 すき・くわをひさげて大地をほりうごかして、 身にちからをいれてほりつくりを本0503として身命をつぐ。
三 或は芸能をたしなみて人をたらし、 狂言・綺語を本として浮世をわたるたぐひのみなり。
四 朝夕は商に心をかけ、 或は難海の波の上にうかび、 おそろしき難破にあへることをかへりみず。

かゝる身なれども弥陀如来の本願の不思議は諸仏の本願にすぐれて、 我らまよひの凡夫をたすけんといふ大願をおこして、 三世十方の諸仏にすてられたる悪人・女人をすくゐましますは、 たゞ阿弥陀如来ばかりなり。 これをたふとき事ともおもはずして、 朝夕は悪業煩悩にのみまとはれて、 一すぢに弥陀をたのむ心のなきはあさましき事にはあらずや。 ふかくつゝしむべし。

あなかしこ、 あなかしこ。