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信心獲得すといふは第十八の願意をしるなり。 此願を心得といふは、 南无阿弥陀仏の体をしるなり。 このゆへに南无と帰命する一念の所に発願廻向のこゝろあるべし。 是則弥陀如来の凡夫に廻向しましますこゝろなり。 これを ¬経¼ (大経巻上) には 「令諸衆生功徳成就」 ととかれたり。 されば无始已来の悪業煩悩は、 のこる所なく不思議の願力をもて消滅するいはれあるがゆへに、 正定聚不退の位には住する物なり。 依之煩悩を断ぜずして涅槃をうといへるは此心なり。 此義は当流一途の所談なり。 あなかしこ、 あなかしこ。