和讚とは和語をもって讚嘆する詩という意味で、 親鸞しんらんしょうにんが撰述された今様いまよう形式の和讚は五百首をこえる。 とくにそのなかで ¬じょうさん¼、 ¼高僧こうそうさん¼、 ¬しょう像末ぞうまつさん¼ をまとめて ¬さんじょうさん¼ と呼ばれている。
 ¬浄土和讚¼ (百十八首) は、 経典などによって阿弥陀如来とその浄土の徳を讚嘆したもので、 「冠頭かんとうさん」 二首、 「さん阿弥陀あみだぶつさん」 四十八首、 「だいきょうさん」 二十二首、 「かんぎょうさん」 九首、 「弥陀みだきょうさん」 五首、 「しょきょうさん」 九首、 「げんやくさん」 十五首、 「せいさん」 八首、 合計百十八首からなっている。 とくに 「讚阿弥陀仏偈讚」 のはじめの六首は、 「しょうしん念仏ねんぶつ」 とともに門信徒が朝夕どくじゅする和讚で、 ひろく知られている。
 ¬高僧和讚¼ (百十九首) は、 「正信念仏偈」 のしゃくだんと同様に、 りゅうじゅさつ天親てんじん菩薩・曇鸞どんらんだいどうしゃくぜん善導ぜんどう大師・源信げんしんしょう源空げんくうしょうにんというインド・中国・日本の三国にわたる七人の浄土教の先達せんだつの教えを、 その事蹟や著作に即してわかりやすく讚嘆されたもので、 「龍樹讚」 十首、 「天親讚」 十首、 「曇鸞讚」 三十四首、 「道綽讚」 七首、 「善導讚」 二十六首、 「源信讚」 十首、 「源空讚」 二十首と、 「結讃」 二首からなる。
 次に ¬正像末和讚¼ (百十六首) は、 その成立が聖人八十五歳以降とみられ、 最晩年の信境の深まりと、 三時通入の本願念仏の讚仰の気持がよくうかがわれる。 「こくさん」 一首、 「正像末浄土和讚」 五十八首、 「かいさん」 二十三首、 「皇太こうたいしょうとく奉讚ほうさん」 十一首、 「禿とくたんじゅっかい」 十六首、 「善光寺和讚」 五首、 それに 「ねんほう」 の法語と二首の和讚が終りに収められている。