本書は、 詳しくは ¬報恩ほうおんこう嘆徳たんどくもん¼ と称される。 第三代宗主覚如かくにょしょうにんの著 ¬報恩ほうおんこう私記しき¼ の上に、 さらに重ねて存覚ぞんかく上人が宗祖親鸞しんらんしょうにんの徳と法門を讃嘆されたものである。
 本書には、 聖人の行蹟が略述され、 その高徳が讃嘆されており、 古来、 覚如上人の ¬報恩講私記¼ (式文) とともに報恩講のとき諷誦ふうじゅされてきたものである。
 その内容は、 聖人の博覧は内外にわたっていたこと、 しょうどうの教えをすてて浄土真実の教えに帰せられたこと、 ¬教行きょうぎょうしんしょう¼ 述作のこと、 そうじゅうきょうはんのこと、 ¬禿とくしょう¼ の述作の意趣と愚禿の名のりの意義、 流罪どうのことなど、 聖人の宗義を中心に簡潔に要を得て讃嘆されており、 その文体もまた華麗である。