讃阿弥陀仏偈 曇鸞どんらんだいの著。 主に ¬りょう寿じゅきょう¼ によって阿弥陀仏とそのしょうじゅ、 および国土のしょう厳相ごんそう讃嘆さんだんされた七言一句、 三百九十句のじゅ (詩) である。
 内容の上から本書を大別すると、 総讃そうさん別讃べっさん結讃けっさんの三つの部分よりなっていると考えられる。 まず総讃の部分では、 浄土の方処を西方安楽国と指定し、 仏を阿弥陀仏と標して、 曇鸞大師自身のみょうの意を示し、 阿弥陀仏の光寿二無量の徳を讃嘆する。 これにつづく別讃は、 本書の中心部分で、 阿弥陀仏・聖衆・国土の三種荘厳を詳しく讃嘆したものである。 とくに十二光の名を釈して阿弥陀仏の徳を讃じている点は曇鸞大師の創意になるものであり、 教学の上からも注目される。 最期の結讃の部分では、 そうじょうの本師であるところのりゅうじゅ菩薩を讃じて、 本書製作の意趣を明かし、 阿弥陀一仏に帰するゆえんを示して、 一部の結びとしている。 しち聖教しょうぎょうの一。
 なお、 本書の現行流布本には、 「南無至心帰命礼西方阿弥陀仏」 の帰礼の文や 「願共諸衆生往生安楽国」 の願生の文など、 行儀に関する文言が各節の前後にあるが、 これらは善導大師の ¬往生礼讃¼ の形態に準じて後世に付加されたものであるので、 本聖典所収にあたっては、 ¬讃阿弥陀仏偈¼ の原型を重んじて、 これらの文を省き、 三百五十句の偈頌のみのかたちとした。