本書は完本ではなく一部落丁があり、 全体の構成は推定にたよるしかない。
 本書の構成を述べれば、 まず十二光の一々について釈される。 すなわちりょうこうへんこう無礙むげこう清浄しょうじょうこうかんこう智慧ちえこうたいこう炎王えんのうこうだんこう・(欠落)・ちょう日月にちがっこうの順に、 そのはたらきを示される。
 続いて再び無碍光の釈があり、 「みょうじん十方じっぽう無礙むげこう如来にょらい」 (十字名号) について釈され、 なんこうしょうこうの釈の後、 両者が合されたものとして 「南無なも不可ふか思議しぎ光仏こうぶつ」 (八字名号) について釈されている。
 このうち十二光の釈の一部 (難思光・無称光か) と、 「帰命尽十方無礙光如来」・「南無不可思議光仏」 のそれぞれの釈の中間を欠いている。
 なお、 「南無不可思議光仏」 の釈の前にも、 難思光・無称光の釈があるが、 超日月光の釈の後に、 「じゅうこうのやう、 おろおろかきしるしてろうろふなり」 とあることから、 超日月光の釈までに一応十二光の釈が済んでいると見るべきであろう。
 本書の題名が 「みょうごうとく」 とあり、 十二光の釈からの名号の釈に移っていることから見て、 こうみょうは名号の徳義をあらわすものであるというりょうを示されたもので、 一部を欠いているとはいえ大切な聖教しょうぎょうの一つである。