本書は親鸞しんらんしょうにんが、 その当時に本尊として安置されたみょうごうや祖師の絵像の讃文さんもんを集め、 その内容を解説されたものである。 題号のうち、 「尊号そんごう」 とは本尊としての名号という意味で、 六字・九字くじ・十字などの名号があるが、 その讃文からみて十字名号であろうと推定される。 また 「真像しんぞう」 とは善導ぜんどうだい法然ほうねんしょうにんなどの浄土真宗伝統の祖師方の肖像画のことである。 そしてそれらの名号や絵像の上下に書かれた経典などの讚文のことを 「銘文めいもん」 という。
 本書は本・末の二巻から成り、 本巻には ¬だいきょう¼ の三文、 ¬しゅりょうごんきょう¼ の一文、 ¬十住じゅうじゅう毘婆びば沙論しゃろん¼ の一文、 ¬じょうろん¼ の二文、 ざいの一文、 ようの一文、 善導大師の三文、 太子礼讚の二文、 末巻には源信げんしんしょうの一文、 りゅうかん (隆寛) の一文、 法然上人の三文、 聖覚せいかく法印ほういんの一文、 親鸞聖人ご自身の一文が解説されている。 全体としては、 冒頭の ¬大経¼ 第十八願文の解釈からもうかがえるように、 本願力によって、 どのようなものも本願を信じるそのときに正定しょうじょうじゅの位に定まり、 往生と同時に仏のさとりを開くという浄土真宗の法義を解説し、 またその法義を示された祖師方を讚嘆されたものである。