本書は､ ¬教行きょうぎょう信しん証しょう大たい意い¼ の題号のほかに､ ¬教行きょうぎょう信しん証しょう名みょう義ぎ¼､ ¬教行きょうぎょう信しん証しょう文類もんるい意記いき¼､ ¬文類もんるい聚鈔じゅしょう大たい意い¼､ ¬教行きょうぎょう証しょう御お文ふみ¼､ ¬広こう略りゃく指し南なん¼､ ¬真しん宗しゅう大綱たいこう御ご消しょう息そく¼ などと名称される｡ 撰者については覚如かくにょ上しょう人にん説､ 存覚ぞんかく上人説など諸説があり､ 今日なお定説を見ない｡
　本書は､ ¬教行信証¼ 一部六巻の大綱を述べあらわした書である｡ 初めに親鸞しんらん聖しょう人にんが､ ¬教行信証¼ を撰述し､ 浄土真宗の教相をあらわされた意趣を明らかにし､ ついで教・行・信・証・真仏土・化け身しん土どの内容について述べられている｡ 第一に､ 真実の教とは､ 阿弥陀如来の因果の功く徳どくを説き浄土の荘しょう厳ごんを説いた ¬大だい経きょう¼ であると説示される｡ 第二に､ 真実の行とは､ 真実の教に明かすところの浄土の行たる南無阿弥陀仏であると説示している｡ この行は､ 第十七諸仏しょぶつ咨し嗟しゃの願に誓われてあり､ 名みょう号ごうを信しん行ぎょうすれば無む上じょうの証しょう果かを得ることができると説明している｡ 第三に､ 真実の信とは､ 南無阿弥陀仏の妙行みょうぎょうを真実浄土の真因なりと信ずる心であり､ 第十八至し心しん信しん楽ぎょうの願の所誓であると説示している｡ 第四に､ 真実の証とは､ 上述の行信により得るところの果であり､ 第十一必ひっ至し滅めつ度どの願に誓われてある旨が明かされている｡ 第五に､ 真仏土とは､ 第十二光こう明みょう無む量りょうの願・第十三寿じゅ命みょう無む量りょうの願に誓われてある真実の報仏ほうぶつ報ほう土どであると説いている｡ 第六に､ 化身土とは､ 化身化土のことで､ 仏は ¬観かん経ぎょう¼ の真身しんしん観かんに説く化身であり､ 土は ¬大経¼ に説く疑ぎ城じょう胎たい宮ぐである旨を説示している｡ このように本書は､ ¬教行信証¼ にあらわされた浄土真宗の教義の綱格を簡潔に解説されている｡