観経疏 善導ぜんどうだいの著。 諸師の ¬かんりょう寿じゅきょう¼ 解釈をただし、 同経の真意を明らかにしようとした書。 「げんぶん」・「序分じょぶん」・「じょうぜん」・「散善さんぜん」 の四帖 (巻) からなっているので ¬四帖しじょうのしょ¼ ともいわれる。 大師の著作は本書の他に、 ¬ほうさん¼ 二巻 ¬観念かんねん法門ぼうもん¼ 一巻 ¬おうじょう礼讃らいさん¼ 一巻 ¬般舟はんじゅさん¼ 一巻があり、 古来本書と合せて 「五部ごぶかん」 と総称されている。 またこの ¬観経疏¼ を 「本疏ほんしょ」 とも 「解義げぎぶん」 とも呼ぶのに対し、 他の四部を 「しょ」 とも 「ぎょうぶん」 とも呼びならわしている。
 「玄義分」 は、 経の要義をあらかじめ述べたもので、 はじめに 「三宝さんぽう」 (「勧衆かんしゅ」「じゅうこう」) と呼ばれるじゅがおかれ、 以下七門にわたって善導大師独自の ¬観無量寿経¼ に対する見方が示されている。
 「序分義」 以下の三帖は、 経の本文を詳しく註釈したものである。 「序分義」 は、 経の序説にあたる部分を註釈したもの、 「定善義」 は、 経の本論にあたる正宗しょうしゅうぶんの中、 じょうぜん十三観の文について註釈したものである。 「散善義」 は、 正宗分の中、 散善さんぜんを説くぼんだんと、 得益とくやくぶんずうぶんしゃぶんについて註釈し、 ばつを付したものである。 その後跋の部分では、 古今の諸師の誤った ¬観無量寿経¼ 解釈をあらため、 仏意を確定するという 「こんかいじょう」 の意趣が述べられている。 しち聖教しょうぎょうの一。