本書の内容は、 自力の念仏と他力の念仏の相違を明らかにし、 他力の念仏を勧めるものである。
 まず、 自力の念仏とは、 みずからの行いを慎み、 悪事をとどめて念仏しようとするものであるが、 実際には不可能であり、 たとえできたとしても、 極楽のほとり (へん) にしか往生できず、 そこで本願に背いた罪をつぐなった後、 真実の浄土に往生するのであることを明かされる。
 次に、 他力の念仏とは、 みずからの罪悪の深いことにつけても、 ひとえに阿弥陀仏の本願力をあおぎ、 願力をたのめば、 常に阿弥陀仏のこうみょうに照らされ、 いのち尽きたときには、 極楽に必ず往生せしめられることを明かされる。
 最後に、 迷いの世界を出て悟りの世界に至ることは、 まったく阿弥陀仏の本願力によるのであり、 念仏しながら自力をたのむということは、 はなはだしい心得違いであるといましめて全体を結ばれている。
 なお親鸞しんらんしょうにんが関東の門弟たちに与えられたしょうそく (¬親鸞聖人御消息¼ 第十八通等) から、 繰り返し本書を書き写して与え、 読むことを勧められたことがうかがわれる。