ª無量寿経º の漢訳は、 古来より五存七欠の十二回の訳出があったとされる。 五存七欠の語は、 湛然の ¬浄土法門源流章¼ が初出とされるが、 現在では十二回の訳出が事実であったかどうか疑問視されている。 現存する五存とは、 ¬大阿弥陀経¼ ¬平等覚経¼ ¬無量寿経¼ ¬無量寿如来会¼ ¬荘厳経¼ の五つであり、 七欠とは現存しないとされる漢訳本である。 五存については、 願文や内容の相違などから大きく初期と後期とに分類される。 すなわち、 初期無量寿経の ¬大阿弥陀経¼ ¬平等覚経¼ の二十四願系統と、 後期無量寿経の ¬無量寿経¼ ¬無量寿如来会¼ の四十八願系統、 ¬荘厳経¼ の三十六願経とである。 ただし、 五存のいずれの訳とも異なるイスタンブール大学所蔵漢訳断簡写本の存在が奉告されており、 少なくとも六回は漢訳されたことになる。 また、 旅順博物館と新疆ウイグル自治区博物館とには、 現存する漢訳 ª無量寿経º と異なる訳の可能性がある断簡の存在が奉告されている。 なお、 ª無量寿経º は漢訳以外にも、 サンスクリット本やチベット語訳・コータン語訳などがあり、 その他にも重訳のチベット語訳・西夏語訳などもある。 これらの訳本の存在は、 ª無量寿経º がアジア諸国に伝播していたことを意味している。 なお、 近年の研究によってこれまで諸経録において ¬平等覚経¼ ¬大阿弥陀経¼ とされていた成立順が、 その逆であるとされるようになっている。