法事讃 二巻。 善導ぜんどうだいの著。 ¬阿弥陀あみだきょう¼ を読誦どくじゅ讃嘆さんだんして仏座の周囲をにょうどうし、 浄土を願生する法会の規式を明かした書。 上巻はその首題を ¬てんぎょうぎょうどうがんおうじょうじょうほうさん¼ とおき、 尾題を ¬西方さいほうじょうほうさん¼ と示している。 下巻は首尾ともに ¬安楽あんらくぎょうどうてんぎょうがんしょうじょうほうさん¼ と題している。
 内容の上から見ると、 全体はぜんぎょう法分ほうぶんてんぎょうぶんぎょう法分ほうぶんの三段よりなっているものと考えられる。 前行法分では、 ¬阿弥陀経¼ 読誦に先立つ儀礼としての三宝の召請しょうしょうさんの次第などが説かれている。 転経分では、 ¬阿弥陀経¼ の本文が十七段に分けられ、 格段ごとに讃文を付して、 僧俗がともにこれを読誦唱和する作法の次第が示されている。 後行法分では、 経の読誦後の儀礼としての懴悔や嘆仏たんぶつ呪願しゅがんなどが明かされている。
 本書は、 浄土教における壮麗な別時の行儀を示したものとして注目されるが、 同時に善導大師の ¬阿弥陀経¼ に対する見方がうかがえるものとして教学の上からも重要な意味を持っている。 しち聖教しょうぎょうの一。