般舟讃　一巻｡ 善導ぜんどう大だい師しの著｡ 首題には ¬依え観かん経ぎょう等とう明みょう般舟はんじゅ三昧ざんまい行ぎょう道どう往おう生じょう讃さん¼ とあり､ 尾題には ¬般舟はんじゅ三昧ざんまい行ぎょう道どう往おう生じょう讃さん¼ とあるが､ 一般には略して ¬般舟讃¼ と呼ばれている｡ ¬観かん無む量りょう寿じゅ経きょう¼ をはじめとする諸経によって､ 浄土を願生し阿弥陀仏の徳を讃嘆さんだんする別時の行法を説き示したもので､ 全体は序分じょぶん､ 正しょう讃さん､ 後ご述じゅつの三段よりなっている｡
　第一段の序分では､ まずこの行法を修める者の心構えを示し､ 般舟三昧の意義について述べている｡ 題二段の正讃にあたる部分は､ 七言一句の偈げ頌じゅの形式による長大な讃文で､ 浄土の荘しょう厳ごん相そうと阿弥陀仏の徳､ および九く品ぼん往生の相を讃詠している｡ 第三段の後述の部分では､ 諸の行者に対して浄土を願うべきことを勧め､ 一部の結びとしている｡
　本書は､ 教学の上からも注目すべき点を多く含んでいるが､ 文学的にも価値が高く､ 一大詩篇と呼ぶにふさわしい内容のものとなっている｡ 七しち祖そ聖教しょうぎょうの一｡