さんじょうわさん 三帖和讃 親鸞が著した ¬浄土和讃¼ ¬高僧和讃¼ ¬正像末和讃¼ の総称。 浄土真宗法義が余すところなく讃嘆されていることから 「和語の教行信証」 ともいわれる。 このうち ¬浄土和讃¼ と ¬高僧和讃¼ は、 宝治2年 (1248)、 親鸞76歳の時に成立し、 その後も補訂が続けられた。 また ¬正像末和讃¼ は正嘉2年 (1258)、 親鸞86歳の時に一応成立し、 その後もかなりの補訂が行われている。
 親鸞と真仏の筆による高田派専修せんじゅ蔵国宝本が現存するほか、 古写本には高田派専修寺蔵正応3年 (1290) 顕智書写本 (¬高僧和讃¼ は現存せず) などがある。 最も流布したのは、 蓮如が文明5年 (1473) に 「正信偈」 とともに出版した 「三帖和讃」 (「文明本」) で、 これ以降、 本願寺派では朝夕の勤行正信偈和讃が広く用いられるようになった。 これらの諸本の間には、 和讃の本文や配列順序、 左訓の有無など異同も多い。 親鸞が著した今様形式の和讃は500首をこえるが、 「文明本」 にはこのうち353首が収められている。