き 基 (632-682) 中国唐代の僧。 大乗基・霊基ともいい、 長安の大慈恩寺に住したので慈恩大師と呼ばれる。 法相唯識学派の祖。 貞観22年 (648) 玄奘の弟子となり、 ¬成唯識論¼ 等の翻訳に従事した。 著書に ¬成唯識論述記¼ 20巻、 ¬成唯識論掌中枢要¼ 4巻、 ¬大乗法苑義林章¼ 7巻などがある。 なお、 ¬開元録¼ ¬宋高僧伝¼ などに窺基の名が見えることから、 古くからこの呼称も使われていたが、 基が自身のことを窺基と記していないことから、 これは正確ではない。 窺基と呼ばれるようになった理由としては、 唐の玄宗の即位前の名を隆基王といったため、 その諱を避けるために同音の窺を用い、 それが後世二字併用されて窺基と呼ばれるようになったとする説や、 玄奘の訳場に窺と基とがともに存在し、 また2人を併称して窺基と記すこともあったことから窺基の呼称が生じ、 後に有名である基を窺基の名で呼ぶようになったとする説などがある。