けんもんしゅう 見聞集 親鸞経釈の文などを集めたもの。 ¬五会ごえほうさん¼ ¬涅槃経¼ 「聖覚法印表白文」 「御念仏之間用意聖覚返事」 「或人夢」 「般舟讃文」 が抄出・書写されている。
 親鸞の真蹟 (高田派専修せんじゅ蔵) 二冊が現存する。 この真跡本の成立過程については諸説あるが、 一説によれば、 文暦2年 (1235) に聖覚往生の報に接した親鸞は、 ¬唯信鈔¼ (平仮名本)、 「聖覚法印表白文」、 「御念仏之間用意聖覚返事」 を書写した袋綴の冊子を制作した。 その後、 親鸞は、 袋綴の折り目を切り開いて 「般舟讃文」 ¬五会念仏法事讃¼ ¬涅槃経¼ 「或人夢」 を写したとみられる。 親鸞の真跡本は袋綴の表面に書写されたものと、 裏面に書写されたものとが、 見開きごとに交互に出現するという特殊な形態になっている。 現存する二冊は、 当初一冊であったものを三分冊し、 そのうち冒頭の一冊を除く二冊であるとみられている。 なお、 第二冊に当たるものには 「見聞集」、 第三冊に当たるものには 「涅槃経」 と、 それぞれ異なる外題が付されているが、 一般に二冊まとめて 「見聞集」 と通称されている。