ごほう 護法 (530-561) 梵語ダルマパーラ (Dharmapāla) の意訳。 天親の唯識三十頌に注釈した唯識十大論師の1人。 南インド出身で、 ナーランダー寺 (那爛陀寺) の学頭として多くの弟子を育成した。 29歳でブッダガヤー (仏陀伽耶) の菩提樹辺に隠棲し、 32歳で世を去ったといわれる。 その唯識説は弟子の戒賢 (シーラバドラ、 529-645) を介して玄奘に伝えられ、 さらに玄奘よりこの教理を受けた慈恩大師基が中国法相宗を開くことになる。 著述として伝わるものに、 ¬成唯識宝生論¼ ¬観所縁論釈¼ ¬大乗広百論釈論¼ などがあり、 これらの三文献はいずれも漢訳にのみ伝わる。 なお、 ¬成唯識論¼ は護法説を中心として、 他の論師の説を集録している。