ぼんぶ 凡夫 梵語プリタグ・ジャナ (pṛthag-jana) の意訳。 必栗託仡那と音訳し、 異生とも意訳する。 凡愚ともいう。 聖者に対する語。 四諦の真理をさとらず、 貪・瞋・痴などの煩悩に束縛されて、 六道を輪廻する者をいう。 ¬一多文意¼ には 「凡夫といふは無明煩悩われらが身にみちみちて、 欲もおほく、 いかり、 はらだち、 そねみ、 ねたむこころおほくひまなくして、 臨終の一念にいたるまで、 とどまらず、 きえず、 たえずと、 水火二河のたとへにあらはれたり」 とある。 小乗仏教では見道に至る前の位を凡夫とし、 煖・頂・忍・世第一法の四善根位を内凡、 五停心観・別相念住・総相念住の三賢を外凡とする。 大乗仏教では初地に至る前の位を凡夫とし、 十住・十行・十回向の三賢を内凡、 十信を外凡、 外凡に満たない者を底下の凡夫とする。