あびばっち 阿毘(鞞)跋致 梵語アヴァイヴァルティカ (avaivartika) またはアヴィニヴァルタニーヤ (avinivartanīya) の音訳。 阿惟越致とも音訳し、 無退・不退・不退転などと意訳する。 退かないという意。 すでに得たさとりや功徳、 地位を決して失わないこと。 菩薩の修道が進んで仏になることが定まり、 再び悪趣や二乗や凡夫の地位に退歩しないこと、 またその位をいう。 浄土真宗では他力信心を得た者はこの世において正定聚の位につき、 必ず仏果に至ることに定まることをいう。 ¬小経¼ に 「また舎利弗、 極楽国土には、 衆生生ずるものはみなこれ阿鞞跋致なり」 と説かれており、 ¬論註¼ には 「つつしんで龍樹菩薩の ¬十住毘婆娑論¼ を案ずるにいはく、 菩薩、 阿毘跋致を求むるに二種の道あり。 一つには難行道、 二つには易行道なり」 (行巻引文) とある。 →難易二道。