観経定善義 巻第三
*沙門*善導集記
◎正宗分
【1】 これより以下は、 次に*正宗を弁ず。 すなはちその*十六あり。 また一々の観のなかにつきて、 文に対して*料簡す。 労はしくあらかじめ顕さず。
正宗 正宗分のこと。 その経の本論となる部分。
十六 定善十三観、 散善三観の計十六観をいう。
◎従↠此已下、次弁↢正宗↡。即有↢其十六↡。還就↢一一観中↡、対↠文料簡。不↢労預顕↡。
◎ 原漢文の底本は本派本願寺蔵版。 龍谷大学蔵鎌倉時代刊本、 大派依用十行本と対校されている。
いま正宗を定め立すること、 *諸師と同じからず。
諸師 浄影寺慧遠 (523-592)、 天台大師智顗 (538-597)、 嘉祥大師吉蔵 (549-623) などを指す。
今定↢立正宗↡、与↢諸師↡不↠同。
いまただちにもつて法につきて定めば、 日観の初めの句より下下品下生に至るこのかたは、 これその正宗なり。 日観より以上は多義の不同ありといへども、 この文勢を看るに、 ただこれ*由序なり、 知るべし。
由序 序分に同じ。 その経の序説のこと。
今直以就↠法定者、従↢日観初句↡下至↢下品下生↡已来、是其正宗。従↢日観↡已上雖↠有↢多義不同↡、看↢此文勢↡但是由序也。応↠知。
◎正宗分 ○定善 1 日観
【2】 初めの*日観のなかにつきて、 *先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその五あり。
日観 日想観の略。 日が沈むすがたを観じて、 西方の極楽浄土を観想すること。
先づ挙げ… まず観の名を挙げ、 次に解釈し、 終りに文を結ぶ。 善導大師は定善十三観のすべてにこの三科があるとする。
就↢初日観中↡、先挙、次弁、後結。即有↢其五↡。
◎正宗分 ○定善 1 日観 1. 総告総勧
▲一に 「▲仏告韋提」 より下 「想於西方▲」 に至るこのかたは、 まさしく総じて告げ、 総じて勧むることを明かす。
一従↢「仏告韋提」↡下至↢「想於西方」↡已来、正明↢総告総勧↡。
これは韋提▲前に弥陀仏国を請じ、 ▲また*正受の行を請ずるに、 如来 (釈尊) 時に当りてすなはち許してために説きたまふことを明かす。
正受の行 三昧を得るための行法で、 ここでは定善の行法のこと。
此明↧韋提前請↢弥陀仏国↡、又請↢正受之行↡、如来当↠時即許為説↥。
・未聞之益
*ただ機縁いまだ備はらざれば、 行を顕すこといまだあまねからざるをもつて、 さらに*三福の因を開きて、 もつて*未聞の益をなし、 また如来かさねて告げて*流通を勧発したまふ。 この法聞きがたければ、 広く開悟せしむ。
ただ機縁… (定善の行法だけでは) 教えを受けるべき者のすべてをおさめ尽すことができないので。
三福の因 往生の因であるところの
散善三福の行。 →
三福
未聞の益 いままでに聞いたことのないすぐれた利益。
流通を勧発し 教えの伝持流布を勧め。
但以↢機縁未↠備顕↠行未↟周、更開↢三福之因↡、以作↢未聞之益↡、又如来重告勧↢発流通↡。此法難↠聞広令↢開悟↡。
・告勧
▲「仏告韋提汝及衆生」 といふは、 これ告勧を明かす。 もし等しく*塵労を出でて仏国に生ずることを求めんと欲せば、 よろしくすべからく意を励ますべし。
塵労 煩悩の異名。 ここでは煩悩にけがされた世間のこと。
言↢「仏告韋提汝及衆生」↡者、此明↢告勧↡。若欲↧等出↢塵労↡求↞生↢仏国↡者、宜↢須励↟意也。
・衆生散動
▲「応当専心」 といふ以下は、 これ衆生散動して識、 猿猴よりも劇しく、 心*六塵に遍してしばらくも息むに由なきことを明かす。
言↢「応当専心」↡已下、此明↧衆生散動、識劇↢*猨猴↡、心徧↢六塵↡、無↞由↢暫息↡。
猨 底本まま。 註なし。
ただおもんみれば*境縁一にあらず、 目に触れて*貪を起し想を乱す。 心を*三昧に安んずること、 なんぞ得べけん。 *縁を捨て静に託するにあらざるよりは、 相続して心を注めんや。
境縁 外界に認識知覚される対象のこと。
縁を捨て静に託する 心を乱す境縁を離れて、 静かなところに安んずること。
但以境縁非↠一、触↠目起↠貪乱↠想。安↢心三昧↡、何容↢可得↡。自↠非↢捨↠縁託↟静、相続注↠心。
ただちに西方を指すは、 *余の九域を簡ぶ。 ここをもつて身を一にし、 心を一にし、 回向を一にし、 処を一にし、 境界を一にし、 相続を一にし、 帰依を一にし、 正念を一にす。 これを想成就して*正受を得と名づく。 此世・後生、 心に随ひて解脱す。
余の九域 東・南・北・東南・西南・西北・東北・上・下の九つの方角。
正受を得 三昧を成就すること。
直指↢西方↡、簡↢余九域↡。是以一↠身、一↠心、一↢迴向↡、一↠処、一↢境界↡、一↢相続↡、一↢帰依↡、一↢正念↡。是名↣想成就得↢正受↡。此世・後生、随↠心解脱也。
◎正宗分 ○定善 1 日観 2. 牒所観事
▲二に 「▲云何作想」 より下 「皆見日没▲」 に至るこのかたは、 まさしく所観の事を*牒することを明かす。
二従↢「云何作想」↡下至↢「皆見日没」↡已来、正明↠牒↢所観事↡。
これもろもろの衆生等久しく生死に流れて、 安心を解らず。 西方を指すといへども、 いかんが作意するといふことを知らず。 ゆゑに如来ために反問を生じ疑執を遣除せしめ、 もつて正念の方を示したまふことを明かす。
此明↧諸衆生等、久流↢生死↡不↠解↢安心↡。雖↠指↢西方↡不↠知↢云何作意↡。故使↣如来為生↢反問↡、遣↢除疑執↡、以示↦正念之方↥。
・牒前顕後
▲「凡作想」 といふは、 これ総じて前の意を*牒して、 後の入観の方便を顕すことを明かす。
言↢「凡作想」↡者、此明↧総牒↢前意↡、顕↦後入観之方便↥。
・得生之類
▲「一切衆生」 といふは、 総じて*得生の類を挙ぐ。
得生の類 往生浄土を得る機類。
言↢「一切衆生」↡者、総挙↢得生之類↡。
・機堪不堪
▲「自非↓生盲」 といふ以下は、 これ*機の堪と不堪とを簡ぶことを明かす。
機の堪と不堪とを簡ぶ 行者が行ずるに堪えるか堪えないかを区別するという意。
言↢「自非生盲」↡已下、此明↠簡↣機堪与↢不堪↡。
「↑*生盲」 といふは、 母胎のなかより出でて、 眼すなはち物を見ざるものを名づけて生盲といふ。 この人には教へて日観をなさしむることを得ず。 日輪の光相を識らざるによるがゆゑなり。
言↢「生盲」↡者、従↢母胎中↡出、眼即不↠見↠物者、名曰↢生盲↡。此人不↠得↣教作↢日観↡、由↠不↠識↢日輪光相↡故。
生盲を除きて以外、 縁に遇ひて患ふるものには教へて日観をなさしむるに、 ことごとく成就することを得。 いまだ眼を患へざる時、 その日輪の光明等の相を識るによりて、 いま目を患ふといへども、 ただよく日輪等の相を取らしめて、 正念に堅持して時節を限らざれば、 かならず成就することを得。
除↢生盲↡以外、遇↠縁患者、教作↢日観↡、尽得↢成就↡。由↧未↠患↠眼時、識↦其日輪光明等相↥、今雖↠患↠目但令↣善取↢日輪等相↡、正念堅持不↠限↢時節↡、必得↢成就↡。
問ひていはく、 韋提▲上の請には極楽の境を見んと願ず。 如来の許説したまふに及至りて、 すなはち先づ教へて心を住めて日を観ぜしむるは、 なんの意かあるや。
問曰。韋提上請願↠見↢極楽之境↡、及↠至↢如来許説↡、即先教↢住↠心観↟日有↢何意↡也。
答へていはく、 これに三の意あり。
答曰。此有↢三意↡。
一には衆生をして境を識り心を住めしめんと欲して、 *方を指すことあることあり。 冬夏の両時を取らず、 ただ春秋の二際を取る。 その日正東より出でて直西に没す。 弥陀仏国は日没の処に当りて、 直西十万億の*刹を超過す。 すなはちこれなり。
方 西方。
一者欲↠令↢衆生識↠境住↟心指↠方有↠在。不↠取↢冬夏両時↡、唯取↢春秋二際↡。其日正東出、直西没。弥陀仏国、当↢日没処↡、直西超↢過十万億刹↡、即是。
二には衆生をして自の*業障に軽重あることを識知せしめんと欲す。 いかんが知ることを得る。 教へて心を住めて日を観ぜしむるによる。
二者欲↠令↤衆生識↣知自業障有↢軽重↡。云何得↠知。由↢教住↠心観↟日。
・住身威儀
▽はじめて心を住めんと欲する時、 教へて*跏趺正坐せしむ。 右の脚、 左のの上に着けてほかと斉しくし、 左の足、 右のの上に安きてほかと斉しくし、 左の手、 右の手の上に安きて、 身をして正直ならしめ、 口を合して歯はあひ近づくことなかれ。 舌は上のを柱へよ。 咽喉および鼻中の気道をして宣通せしめんがためのゆゑなり。
跏趺正坐 足の甲を左右のもものうえにおく座り方。 結跏趺坐に同じ。
初欲↠住↠心時、教令↢跏趺正坐↡。右脚著↢左上↡、与↠外斉、左足安↢右上↡与↠外斉、左手安↢右手上↡、令↢身正直↡。合↠口歯勿↢相近↡、舌柱↢上↡。為↠令↢咽喉及鼻中気道宣通↡故。
また身の*四大の内外ともに空にして、 すべて一物もなしと観ぜしめよ。
又令↠*観↢身四大↡。内外倶空都無↢一物↡。
観…四大 返り点まま。 かかり具合が狭い。
身の地大の皮・肉・筋・骨等、 心に想へ。 西方に散向して、 西方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
身之地大、皮肉・筋骨等、心想↣散↢向西方↡。尽↢西方際↡、乃至不↠見↢一塵之相↡。
また想へ。 身の水大の血・汗・津・涙等、 心に想へ。 北方に散向して、 北方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
又想、身之水大、血汗・津涙等、心想↣散↢向北方↡。尽↢北方際↡、乃至不↠見↢一塵之相↡。
また想へ。 身の風大東方に散向して、 東方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
又想↣身之風大、散↢向東方↡。尽↢東方際↡、乃至不↠見↢一塵之相↡。
また想へ。 身の火大南方に散向して、 南方の際を尽すに、 乃至一塵の相を見ずと。
又想↣身之火大、散↢向南方↡。尽↢南方際↡、乃至不↠見↢一塵之相↡。
また想へ。 身の空大すなはち十方の虚空と一合して、 乃至一塵不空の相を見ずと。
又想↧身之空大、即与↢十方虚空↡一合↥。乃至不↠見↢一塵不空之相↡。
また想へ。 身の五大みな空にして、 ただ識大のみありて*湛然凝住す、 なほ円鏡のごとく、 内外明照にして朗然として清浄なりと。
湛然凝住 いささかの動揺もなく、 静かにとどまっているさま。
又想↧身之五大、皆空唯有↢識大↡、湛然凝住、猶如↢円鏡↡、内外明照朗然清浄↥。
この想をなす時、 乱想除こることを得て、 心やうやく*凝定す。 しかして後、 徐々として心を転じて、 あきらかに日を観ず。 その*利根のものは一坐にしてすなはち明相現前するを見る。
凝定 凝り定まること。
利根のもの 素質能力のすぐれた者。
作↢此想↡時、乱想得↠除、心漸凝定。然後徐徐転↠心、諦観↢於日↡。其利根者、一坐即見↢明相現前↡。
境の現ずる時に当りて、 あるいは銭の大きさのごとく、 あるいは鏡面の大きさのごとし。 この明の上においてすなはちみづから*業障軽重の相を見る。
当↢境現時↡、或如↢銭大↡、或如↢鏡面大↡。於↢此明上↡即自見↢業障軽重之相↡。
一には黒障、 なほ黒雲の日を障ふるがごとし。 二には黄障、 また黄雲の日を障ふるがごとし。 三には白障、 白雲の日を障ふるがごとし。
一者黒障、猶如↢黒雲障↟日。二者黄障、又如↢黄雲障↟日。三者白障、如↢似白雲障↟日。
この日なほ雲の障ふるがごとくなるがゆゑに、 *朗然として顕照することを得ず。 衆生の業障もまたかくのごとし。 浄心の境を*障蔽して、 心をして明照ならしむることあたはず。
朗然として… あきらかに照らすことができない。
障蔽 さまたげおおうこと。
此日猶↢雲障↡故、不↠得↢朗然顕照↡。衆生業障亦如↠是。障↢蔽浄心之境↡、不↠能↠令↢心明照↡。
行者もしこの相を見ば、 すなはちすべからく道場を*厳飾し、 仏像を安置し、 清浄洗浴し、 浄衣を着し、 また名香を焼きて諸仏・一切*賢聖に表白し、 仏の形像に向かひて、 現在一生に無始よりこのかた、 すなはち*身口意業に造るところの*十悪・*五逆・*四重・*謗法・*闡提等の罪を懺悔すべし。
行者若見↢此相↡、即須↧厳↢飾道場↡、安↢置仏像↡、清浄洗浴、*著↢浄衣↡、又焼↢名香↡、表↢白諸仏一切賢聖↡、向↢仏形像↡、現在一生懺↦悔無始已来、乃身口意業所造十悪・五逆・四重・謗法・闡提等罪↥。
著 底本まま。 註なし。
きはめてすべからく悲涕して涙を雨らし、 深く慚愧を生じて、 うち心髄に徹り、 骨を切りてみづから責むべし。
極須↧悲涕雨↠涙、生↢慚愧↡、内徹↢心髄↡、切↠骨自責↥。
懺悔しをはりて、 還りて前の坐法のごとく安心して境を取れ。 境もし現ずる時は、 前のごとき三障ことごとく除こりて、 所観の浄境朗然として明浄なり。
懺悔已、還如↢前坐法↡、安心取↠境。境若現時、如↠前三障尽除、所観浄境朗然明浄。
これを頓に障を滅すと名づく。 あるいは一懺してすなはち尽すものを利根の人と名づく。
此名↢頓滅↟障也。或一懺即尽者名↢利根人↡也。
あるいは一懺してただ黒障を除き、 あるいは一懺して黄・白等の障を除くことを得。 あるいは一懺してただ白障を除く。
或一懺但除↢黒障↡、或一懺得↠除↢黄・白等障↡、或一懺但除↢白障↡。
これを*漸除と名づけ、 *頓滅と名づけず。
漸除 (業障を) 漸次に滅除すること。
頓滅 (業障を) すみやかに滅除すること。
此名↢漸除↡、不↠名↢頓滅↡也。
すでにみづから*業相のかくのごとくなるを識らば、 ただすべからく勤心に懺悔すべし。 日夜三時・六時等にただ憶してすなはち懺することを得るものは、 もつともこれ*上根上行の人なり。
業相 前頁の業障軽重の相のこと。
上根上行の人 高度の行を修める根機のすぐれた人。 →
根機
既自識↢業相如↟是、唯須↢勤心懺悔↡。日夜三時・六時等、但憶得↢即懺↡者、最是上根上行人也。
たとへば湯火の身を焼くに、 また覚すればすなはち却るがごとし。 あにいたづらに時を待ち、 処を待ち、 縁を待ち、 人を待ちてまさにはじめて除くべけんや。
譬如↢湯火焼↠身、亦覚即却↡。豈容↧徒待↠時待↠処、待↠縁待↠人、方始除↥也。
三には衆生をして弥陀の*依正二報種々の荘厳・光明等の相の内外照曜して、 この日に超過せること百千万倍なることを識知せしめんと欲す。
三者欲↠令↧衆生識↦知弥陀依正二報、種種荘厳光明等相、内外照曜超↢過此日↡、百千万倍↥。
行者等、 もしかの境の光相を識らずは、 すなはちこの日輪の光明の相を看て、 もしは*行住坐臥に礼念し*憶想して、 つねにこの解をなせ。 久しからざるあひだにすなはち定心を得て、 かの浄土の事、 快楽の荘厳を見ん。
行者等、若不↠識↢彼境光相↡者、即看↢此日輪光明之相↡、若行住坐臥、礼念憶想、常作↢此解↡。不↠久之間、即得↢定心↡、見↢彼浄土之事、快楽荘厳↡。
この義のためのゆゑに、 世尊先づ教へて日想観をなさしめたまふ。
為↢此義↡故、世尊先教作↢日想観↡也。
◎正宗分 ○定善 1 日観 3. 正教観察
▲三に 「▲当起想念」 より下 「状如懸鼓▲」 に至るこのかたは、 まさしく教へて*観察せしむ。 これ*身の威儀を正し、 面を西方に向かへて、 境を守りて心を住め、 堅執して移らざれば、 所期みな応ずることを明かす。
身の威儀を正し 結跏趺坐し。
三従↢「当起想念」↡下至↢「状如懸鼓」↡已来、正教観察。此明↧正↢身威儀↡、面向↢西方↡、守↠境住↠心、堅執不↠移、所期皆応↥。
◎正宗分 ○定善 1 日観 4. 弁観成相
▲四に 「▲既見日已」 より下 「明了▲」 に至るこのかたは、 観成の相を弁ず。
四従↢「既見日已」↡下至↢「明了」↡已来、弁↢観成相↡。
これ心を標して日を見るに、 想を制し縁を除きて念々に移らざれば、 浄相*了然として現ずることを明かす。
了然 あきらかなさま。
此明↢標↠心見↠日、制↠想除↠縁念念不↠移、浄相了然而現↡。
・観邪正得失
▽また行者はじめて定中にありて、 この日を見る時すなはち三昧定楽を得て、 *身心内外融液して不可思議なり。
身心内外融液して 身 (外) と心 (内) とがとけあって、 安楽になることをいう。
又行者初在↢定中↡、見↢此日↡時、即得↢三昧定楽↡、身心内外融液不可思議。
これを見る時に当りて、 よくすべからく心を摂して、 定をして*上心の貪取を得ざらしむべし。 もし貪心を起せば、 心水すなはち動ず。 心動ずるをもつてのゆゑに浄境すなはち失す。 あるいは動、 あるいは闇、 あるいは黒、 あるいは青・黄・赤・白等の色にして安定することを得ず。
上心の貪取 禅定心の中のむさぼりの心。
当↢見↠此時↡、好須↣摂↠心令↢定不↟得↢上心貪取↡。若起↢貪心↡、心水即動、以↢心動↡故、浄境即失。或動或闇、或黒或青・黄・赤・白等色、不↠得↢安定↡。
この事を見る時すなはちみづから念言せよ。 「これらの境相揺動して安からざることは、 わが貪心の動念によりて、 浄境をして動滅せしむることを致す」 と。 すなはちみづから安心正念にして、 還りてもとより起せば、 動相すなはち除こりて、 静心還りて現ず。 すでにこの過を知らば、 さらに*増上の貪心を起すことを得ざれ。
増上の貪心 「上心の貪取」 に同じ。
見↢此事↡時、即自念言、此等境相揺動不↠安者、由↢我貪心動念↡、致↠使↢浄境動滅↡。即自安心正念、還従↠本*起↢動相↡即除、静心還現。既知↢此過↡、更不↠得↠起↢増上貪心↡也。
起動相即除 返り点まま。 「動相を起せば即ち除きて」
以下の諸観の邪正得失、 もつぱらこれに同じ。
已下諸観邪正得失、一同↠此也。
日を観じて日を見るは、 *心境相応す。 名づけて正観となす。 日を観ずるに日を見ずしてすなはち余の雑境等を見るは、 心境相応せず。 ゆゑに邪と名づく。
観↠日見↠日、心境相応。名為↢正観↡。観↠日不↠見↠日、乃見↢余雑境等↡、心境不↢相応↡。故名↠邪也。
これすなはち*娑婆の闇宅には、 事に触れてもつて比方すべきことなし。 ただ朗日の輝を舒ぶるのみありて、 想を寄せて遠く極楽を標す。
心境相応す 観ずる心と観の対象とが完全に合致する。
娑婆の闇宅 娑婆世界を無明の闇におおわれた家に喩えていう。
斯乃娑婆之闇宅、触↠事無↢以比方↡。唯有↢朗日舒↟輝、寄↠想遠標↢於極楽↡。
◎正宗分 ○定善 1 日観 5. 総結
▲五に 「▲是為」 より以下は総じて結す。
五従↢「是為」↡已下、総結。
上来五句の不同ありといへども、 広く日観を明かしをはりぬ。
上来雖↠有↢五句不同↡、広明↢日観↡竟。
◎正宗分 ○定善 2 水観
【3】 二に*水観のなかにつきて、 また先づ挙げ、 次に弁じ、 後に結す。 すなはちその六あり。
水観 水想観の略。 極楽浄土の大地を観想するための前段階として、 水の清澄なることを観じ、 次第に浄土の大地を観想するに至ること。
二就↢水観中↡、亦先挙、次弁、後結。即有↢其六↡。
◎正宗分 ○定善 2 水観 1. 総標地体
▲一に 「▲次作水想」 より下 「内外映徹▲」 に至るこのかたは、 総じて地の体を標す。
一従↢「次作水想」↡下至↢「内外映徹」↡已来、総標↢地体↡。
問ひていはく、 前に教へて日を観ぜしむるは、 *業相等を知らしめんがためなり。 ゆゑに日を観ぜしむ。 いまこの観のなかに、 また教へて水を観ぜしむるは、 なんの所以かある。
業相 業障軽重の相。
問曰。前教観↠日、為↠知↢業相等↡。故令↠観↠日。今此観中、又教観↠水、有↢何所以↡。
答へていはく、 日輪つねに照らし、 もつて極楽の*長暉を表す。 またかの地、 平らかならずして、 この*穢国の*高下に類することを恐る。
長暉 とこしえに輝いていること。
高下 高低や起伏。
答曰。日輪常照、以表↢極楽之長暉↡。復恐↣彼地不↠平、類↢此穢国之高下↡。
ただおもんみれば娑婆の闇宅には、 ただ日のみよくあきらかなり。 この界には丘坑ありていまだ高下なき処あらず。 よく平らかなるものを取らんと欲するに、 水に過ぎたるはなし。 この可平の相を示して、 かの*瑠璃の地に況す。
瑠璃の地 青色の宝石でできた大地。
但*以↩娑婆闇宅、唯日能明、此界丘*阬、未↧無↢高下↡之処↥。欲↠取↢能平之者↡、無↝過↢於水↡、示↢斯可平之相↡、況↢彼瑠璃之地↡也。
以…無過於水 返り点まま。 「…水に過ぎたるは無きをもって」
阬 底本まま。 註なし。
また問ひていはく、 この界の水は湿ひてかつ軟らかなり。 いぶかし、 かの地またこの水に同ずるや。
又問曰。此界之水、而且輭。未審、彼地亦同↢此水↡也。
答へていはく、 この界の平水、 もつてかの地の等しくして*高下なきに対す。
答曰。此界之平水、以対↣彼地等無↢高下↡。
▲また水を転じて氷となすは、 かの瑠璃の地の内外*映徹せるに対す。 これ弥陀*曠劫に等しく行じて、 *偏なく、 *正習ともに亡じて、 よく*地輪の映徹せるを感ずることを明かす。
偏 かたより。
地輪 大地の意。
又転↠水成↠*冰者、対↢彼瑠璃之地内外映徹↡也。此明↣弥陀曠劫等行無↠偏、正・習倶亡、能感↢地輪之映徹↡。
冰 底本まま。 註なし。
また問ひていはく、 すでに教へて水を想ひてもつて心を住めしめ、 水を転じてもつて氷となし、 氷を転じてもつて瑠璃地となすといはば、 いかんが作法して境をして現ぜしむる。
又問曰。既教想↠水以住↠心、転↠水以成↠冰、転↠冰以成↢瑠璃地↡者、云何作法而令↢境現↡。
答へていはく、 *住身の威儀のごときは、 もつぱら△前の日観のなかの法に同じ。 また水を観じてもつて定心を取らんと欲せば、 還りてすべからく相似の境に対して観ずべし。 すなはち定を得べきこと易し。
住身の威儀 身をたもつ作法。 跏趺正坐の作法。
答曰。若住身威儀、一同↢前日観中法↡。又欲↣観↠水以取↢定心↡者、還須↧対↢相似之境↡而観↥。即易↠可↠得↠定。
行者等静処において一椀に水を取りて、 床の前の地の上に着きてよくこれに満たし盛り、 自身は床の上にありて坐し、 自の眉間に当て、 一の白き物の豆ばかりの大きさのごとくなるを着けて、 頭を低れ面を水の上に臨めて、 一心にこの白き処を照らし看て、 さらに異縁することなかれ。
行者等於↢静処↡取↢一椀水↡、著↢牀前地上↡、好満↢盛之↡、自身在↢牀上↡坐、当↢自眉間↡、著↣一白物如↢豆許大↡、低↠頭臨↢面水上↡、一心照↢看此白処↡、更莫↢異縁↡。
また水初め地にありて波浪住まらざるとき、 面を臨めてこれを観ずるに、 面像を見ず。 観をなすこと休まざれば、 *漸々に面現ず。 初めの時面相住まらずして、 たちまちに長く、 たちまちに短く、 たちまちに寛く、 たちまちに狭く、 たちまちに見え、 見えず。
又水初在↠地波浪不↠住、臨↠面観↠之、不↠見↢面像↡。為↠観不↠休、漸漸面現。初時面相不↠住、乍長乍短、乍寛乍狭、乍見不↠見。
この相現ずる時、 さらにすべからく極細に用心すべし。 久しからざるあひだに水波微細にして、 動ずるに似て動ぜず、 面相やうやくあきらかに現ずることを得。 面上の眼・耳・鼻・口等を見るといへども、 またいまだ取るを須ゐず、 また妨ぐるを須ゐず。 ただ身心をほしいままにして、 ありと知りて取ることなかれ。 ただ白き処を取りて*了々にこれを観じて、 正念に守護して、 *失意異縁せしむることなかれ。 これを見る時に当りて、 心やうやく住まることを得て、 水性*湛然なり。
失意異縁 他事に心を移して正念を失うこと。
湛然 静かに落ち着いているさま。
此相現時、更須↢極細用心↡。不↠久之間、水波微細、似↠動不↠動、面相漸得↢明現↡。雖↠見↢面上眼・耳・鼻・口等↡、亦未↠須↠取、亦不↠須↠妨。但縦↢身心↡、知↠有勿↠取也。唯取↢白処↡了了観↠之、正念守護、勿↠令↠失↢意異縁↡。当↢見↠此時↡、心漸得↠住、水性湛然也。
また行者等自心のなかの水の波浪住まらざることを識知せんと欲せば、 ただこの水の動不動の相を観じて、 すなはち自心の境の現不現・明闇の相を知れ。 また水の静かなる時を待ち、 一の米ばかりなるを取りて、 水上に当てて手に信せてこれを水のなかに投ぐれば、 その水波すなはち動じて椀のうちに遍す。 自の面上に臨めてこれを観るに、 その白きものすなはち動ず。 さらに豆ばかりなるを着けてこれを水に投ぐるに、 波さらに大にして、 面上の白きもの、 あるいは見え、 見えず。 乃至棗等、 これを水に投ぐるに、 その波*うたた大にして、 面上の白きものおよび自身の頭面、 総じてみな隠没して現ぜず。 水の動ずるによるがゆゑなり。
又行者等、欲↣識↢知自心中水波浪不↟住者、但観↢此水動・不動之相↡、即知↢自心境現不現・明闇之相↡也。又待↢水静時↡、取↢一米許↡、当↢水上↡、信↠手投↢之水中↡、其水波即動徧↢於椀内↡。自面臨↠上観↠之、其白者即動。更著↢豆許↡投↢之水↡、波更大、面上白者、或見不↠見。乃至棗等、投↢之於水↡、其波転大、面上白者、及自身頭面、総皆隠没不↠現、猶↢水動↡故也。
「椀」 といふはすなはち身器に喩ふ。 「水」 といふはすなはち自の心水に喩ふ。 「波浪」 といふはすなはち乱想の煩悩に喩ふ。 「*漸々に波浪息む」 といふは、 すなはちこれ衆縁を*制捨して、 心を一境に住むるなり。 「水静かにして境現ず」 といふは、 すなはちこれ*能縁の心乱るることなければ、 *所縁の境動ぜず、 内外*恬怕にして所求の相*顕然なり。 また*細想および*粗想あれば、 心水すなはち動ず。 心水すでに動ずれば、 静境すなはち失す。 また*細塵および*粗塵、 これを寂静の水のなかに投ぐるに、 その水の波浪すなはち動ず。 また行者等ただこの水の動不動の相を看て、 すなはち自心の住不住を識れ。
制捨 とどめ捨て去ること。
能縁の心 行者の観ずる心。
所縁の境 観によって現れるところの境界。
恬怕 静かに安らいでいるさま。
顕然 あきらかであるようす。
細想・粗想 心の動きの微細なものと粗雑なもの。
細塵・粗塵 色・声・香・味・触・法の六塵 (六境) によって生じる心の乱れの微細なものと粗雑なもの。
言↠椀者即喩↢身器↡也。言↠水者即喩↢自心水↡也。言↢波浪↡者即喩↢乱想煩悩↡也。言↢漸漸波浪息↡者、即是制↢捨衆縁↡、住↢心一境↡也。言↢水静境現↡者、即是能縁之心無↠乱、所縁之境不↠動、内外恬怕所求之相顕然。又細想及麤想、心水即動。心水既動、静境即失。又細塵及以麤塵、投↢之寂静水中↡、其水波浪即動。又行者等、但看↢此水動・不動相↡、即識↢自心住・不住↡也。
また境現の失不失・邪正等、 もつぱら△前の日観に同じ。
又境現失不失・邪正等、一同↢前日観↡也。
また天親の讃 (浄土論) にいはく、
「▲かの世界の相を観ずるに、 三界の道に*勝過せり。
勝過 超えすぐれていること。
究竟して虚空のごとく、 広大にして*辺際なし」 と。
辺際 ほとり。
又天親¬讃¼云。「観↢彼世界相↡、勝↢過三界道↡、究竟如↢虚空↡、広大無↢辺際↡。」
これすなはち総じてかの国の地の分量を明かす。
此即総明↢彼国地之分量↡也。
◎正宗分 ○定善 2 水観 2. 地下荘厳
▲二に 「▲下有金剛七宝」 より下 「不可具見▲」 に至るこのかたは、 まさしく地下の荘厳を明かす。 すなはちその七あり。
二従↢「下有金剛七宝」↡下至↢「不可具見」↡已来、正明↢地下荘厳↡、即有↢其七↡。
▲一には*幢の体等しくこれ無漏の金剛なることを明かす。
幢 浄土の大地を支える宝でできた柱。
一明↢幢体等是無漏金剛↡。
▲二には地を擎げてあひ顕映せる荘厳を明かす。
二明↢擎↠地相顕映荘厳↡。
▲三には*方楞具足して円相にあらざることを表すことを明かす。
方楞具足して 方は側面、 楞は角の意。 ¬観経¼ に 「八方八楞具足」 とあるのをうける。 宝幢が八角柱の形をなしているということ。
三明↢方楞具足、表↟非↢円相↡。
▲四には百宝合成して、 量*塵沙に出でたることを明かす。
四明↣百宝合成、量出↢塵沙↡。
▲五には宝千光を出して、 光無辺の際にあまねきことを明かす。
五明↧宝出↢千光↡、光周↦無辺之際↥。
▲六には光に異色多くして色他方を照らし、 機に随ひて変現し、 時として益せざることなきことを明かす。
六明↧光多↢異色↡、色照↢他方↡、随↠機変現、無↦時不↞益也。
▲七には衆光彩を散じて日輪を映絶し、 *新往のものこれを覩てにはかに*周悉しがたきことを明かす。
新往のもの 新たに浄土に往生した者。
周悉 すべてを尽すこと。
七明↧衆光散↠彩映↢絶日輪↡、新往者覩↠之卒難↦周悉↥。
¬讃¼ にいはく (礼讃)、
「▼地下の荘厳七宝の幢、 無量無辺無数億なり。
八方八面百宝をもつて成ず。 かれを見れば*無生*自然に悟る。
無生の宝国永く常たり。 一々の宝無数の光を流す。
行者心を傾けてつねに目に対して、 *神を騰げ踊躍して西方に入れ」 と。
讃云。地下荘厳七宝幢、無量無辺無数億。八方八面百宝成、見↠彼無生自然悟。無生宝国永為↠常、一一宝流↢無数光↡。行者傾↠心常対↠目、騰神踊躍入↢西方↡。
また*讃にいはく、
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬法事讃¼ ¬般舟讃¼ にみられる。
▼「西方は*寂静無為の楽なり。 畢竟*逍遙して有無を離れたり。
寂静無為の楽 煩悩を滅し尽した生滅変化のない絶対のさとりの世界。 浄土のこと。
逍遙 なにものにもとらわれず、 あるがままにあること。
大悲、 心に薫じて法界に遊ぶ。 身を分ちて*物を利すること等しくして殊なることなし。
あるいは*神通を現じて法を説き、 あるいは*相好を現じて*無余に入る。
無余 煩悩を余すところなく滅した涅槃のさとり。 →
涅槃
変現の荘厳意に随ひて出づ。 *群生見るもの罪みな除こる」 と。
又讃云。西方寂静無為楽、畢竟逍遥離↢有無↡。大悲薫↠心遊↢法界↡、分身利↠物等無↠殊。或現↢神通↡而説↠法、或現↢相好↡入↢無余↡。変現荘厳随↠意出、羣生見者罪皆除。
▼また*讃にいはく、
讃にいはく この讃文と同様の意を表した文言は ¬法事讃¼ ¬礼讃¼ ¬般舟讃¼ にみられる。 続く 「讃にいはく」 もこれに同じ。
「▼*帰去来、 *魔郷には停まるべからず。
帰去来 陶淵明 (365-427) の 「帰去来辞」 の中の言葉。 故郷に帰る決意を述べたものであるが、 ここでは浄土に生れたいという意をあらわす。
魔郷 魔障のある世界。 娑婆を指す。
*曠劫よりこのかた流転して、 *六道ことごとくみな経たり。
到る処に余の楽なし、 ただ愁歎の声を聞く。
この*生平を畢へて後、 かの涅槃の城に入らん」 と。
又讃云。帰去来、魔郷不↠可↠停。曠劫来*流↢転六道↡尽皆*逕。到処無↢余楽↡、唯聞↢愁歎声↡。畢↢此生平↡後、入↢彼涅槃城↡。
流転六道 返り点は底本まま。 「六道に流転して」
逕 鎌倉時代刊本では 経。
◎正宗分 ○定善 2 水観 3. 地上荘厳
▲三に 「▲瑠璃地上」 より下 「分斉分明▲」 に至るこのかたは、 まさしく地上の荘厳*顕標殊勝なることを明かす。
顕標 あらわれているさま。
三従↢「瑠璃地上」↡下至↢「分斉分明」↡已来、正明↢地上荘厳顕標殊勝↡。
これ*依持円浄を明かす。 七宝の池林等はこれ*能依、 瑠璃の宝地はこれ*所依なり。 地はこれ*能持、 池・台・樹等はこれ*所持なり。 これ弥陀の*因行周備せるによりて、 *感報をして円明ならしむることを致す。 明浄の義はすなはち無漏を体となす。
依持円浄 地と地上の荘厳とが相離れず円かに成立しているさまを依 (能依・所依) と持 (能持・所持) の観点からいうもの。 十八円浄の一。
能依 依るもの。
所依 依られるもの。
能持 保持するもの。
所持 保持されるもの。
因行周備 因位の修行が完全無欠であること。
感報 果報を得ること。
此明↢依持円浄↡。七宝池林等是能依、瑠璃宝地是所依。地是能持、池・台・樹等是所持。此由↢弥陀因行周備↡、致↠使↢感報円明↡。明浄之義即無漏為↠体也。
讃にいはく、
「宝地の荘厳比量なし。 処々の光明十方を照らす。
宝閣・華台みな遍満す。 *雑色玲瓏として量るべきこと難し。
雑色玲瓏 種々の色彩が美しく光り輝くさま。
宝雲・宝蓋、 空に臨みて覆ひ、 聖衆飛通してたがひに往来す。
*宝幢・幡蓋、 風に随ひて転じ、 宝楽輝を含みて念に応じて回る。
惑疑を帯して生ずるもの、 華いまだ発けず。 合掌*篭々たること*胎に処するに喩ふ。
籠々 華の中に含まれているさま。
胎 母の胎内。
うちに*法楽を受けて微苦なし。 障尽きて須臾に華おのづから開く。
法楽 仏法の楽しみ。
耳目精明にして身金色なり。 菩薩徐々として宝衣を授く。
光体に触るるに*三忍を成ずることを得。 すなはち仏を見たてまつらんと欲して金台より下る。
*法侶