かんぎょうげんぶん かんだい

*沙門しゃもん*善導ぜんどうしゅう

帰三宝偈

【1】 大衆だいしゅすすめてがんおこして*三宝さんぽうせしむ

先勧↢大衆↡発願帰↢三宝↡。

 原漢文の底本は本派本願寺蔵版。 龍谷大学蔵鎌倉時代刊本、 大派依用十行本と対校されている。

勧衆発願

*道俗どうぞくしゅとう、 おのおの*無上心むじょうしんおこ

道俗の時衆 現在、 道場に参集している出家・在家の人々。
無上心を発せ 無上心は提心だいしんのこと。 親鸞聖人はこれを自力の菩提心の意とし、 「無上の心を発せども」 (信文類訓) と読まれた。

道俗時衆等  各発↢無上心↡

しょうはなはだいとひがたく、 仏法ぶっぽうまたねがひがたし

生死甚難↠厭  仏法復難↠欣

ともに*金剛こんごうこころざしおこして、 よこさま*四流しる超断ちょうだんすべし

金剛の志 菩提心のこと。 親鸞聖人は他力の菩提心の意とみなされた。
四流 よく暴流ぼる有暴流うぼるけん暴流ぼるみょう暴流ぼる煩悩ぼんのうを四種の暴流に喩えたもの。

共発↢金剛志↡ 横超↢断四流↡

弥陀みだかいらんとがんじて、 帰依きえ合掌がっしょうらいしたてまつれ

願↢入弥陀界↡ 帰依合掌礼

帰三宝

*そん、 われ一心いっしん*じんぽう

尽十方 十方のすべての世界。

世尊我一心  帰↧命尽十方

*ほっしょう*真如しんにょかいと、 *ほうとう諸仏しょぶつ

法性真如海  報化等諸仏

一々のさつしんと、 *眷属けんぞくとうりょうなると

一一菩薩身  眷属等無量

*荘厳しょうごんおよびへんと、 *と三げんかい

荘厳および変化 荘厳身 (報身) および変化身 (化身) の菩薩。
十地と三賢海 →十聖じっしょうさんげん

荘厳及変化  十地三賢海

*こうまんまんと、 *智行ちぎょうえんえん

時劫 (菩薩としての修行の) 時間。
智行 智慧ちえと修行。

時劫満未満  智行円未円

*正使しょうじじんじんと、 *じっもうもう

正使尽未尽  習気亡未亡

*ゆうゆうと、 *証智しょうち証智しょうち

功用と無功用 修行するうえで、 努力を要する者と、 要しない者。
証智と未証智 真如しんにょの理をさとった者と、 さとらない者。

功用無功用  証智未証智

*妙覚みょうがくおよび*等覚とうがくの、 まさしく金剛こんごうしん

等覚 →等覚とうがく

妙覚及等覚  正受↢金剛心↡

*相応そうおうする一ねんのち*とくはんのものみょうしたてまつる

相応 ここでは真如にかなうという意。
果徳涅槃のもの 仏果の徳である涅槃を得た者。

相↢応一念↡後 果徳涅槃者↥

仏力乞加

われらことごとく*ぶつだいそんみょうしたてまつる

三仏菩提の尊 法身ほっしんほうじんしんの三身。 または弥陀・釈迦・諸仏を指す。

我等咸帰↢命  三仏菩提尊↡

無礙むげ神通じんずうりきをもつて、 みょうしてねがはくは*摂受しょうじゅしたまへ

無礙神通力  冥加願摂受

われらことごとく*じょうとう*賢聖げんじょうの、 ぶつだいしんがくして

我等咸帰↧命  三乗等賢聖

長時じょうじ退たいすることなきものにみょうしたてまつる

学↢仏大悲心↡ 長時無↠退者↥

ねがはくははるかに*加備かびしたまへ。 念々ねんねん諸仏しょぶつたてまつらん

請願遥加備  念念見↢諸仏↡

われら*愚痴ぐちしん*曠劫こうごうよりこのかたてんして

我等愚痴身  曠劫来流転

いましゃぶつ*末法まっぽう遺跡ゆいしゃく

今逢↢釈迦仏  末法之遺跡

弥陀みだ本誓願ほんぜいがん極楽ごくらく*要門ようもんへり

弥陀本誓願  極楽之要門↡

*じょうさんひとしくこうして、 すみやかに*しょうしんしょうせん

定散等迴向  速証↢無生身↡

造偈の意

われ*さつぞう*頓教とんぎょう*じょうかいによりて

我依↢菩薩蔵  頓教一乗海↡

*きて*三宝さんぼうして、 仏心ぶっしん相応そうおうせん

説↠偈帰↢三宝↡ 与↢仏心↡相応

ぽう恒沙ごうじゃぶつ*つうをもつてわれを照知しょうちしたまへ

六通 六神通のこと。 →ろく神通じんずう

十方恒沙仏  六通照↢知我↡

いま二そん (釈尊・阿弥陀仏)きょうじょうじて、 ひろじょうもんひら

今乗↢二尊教↡ 広開↢浄土門↡

回向

ねがはくはこのどくをもつて、 平等びょうどう一切いっさいほどこ

願以↢此功徳↡ 平等施↢一切↡

おなじく*だいしんおこして、 安楽国あんらくこくおうじょうせん

同発↢菩提心↡ 往↢生安楽国↡

七門料簡

【2】 この ¬かんぎょう¼ 一のうちに、 づ七もんつくりて*料簡りょうけんし、 しかしてのちもんによりてしゃくせん。 だい一に序題じょだいひょうす。 だい二につぎにそのしゃくす。 だい三にもんによりてしゃくし、 ならびに*宗旨しゅうしどう*きょう大小だいしょうべんず。 だい四にまさしく説人せつにん差別しゃべつあらわす。 だい五に*じょうさんぜん通別つうべつことなることあることを料簡りょうけんす。 だい六に経論きょうろんそう和会わえするに、 ひろ問答もんどうほどこして疑情ぎじょう*しゃくす。 だい七に*だいの、 ぶつ正説しょうせつきてやく分斉ぶんざい料簡りょうけん

宗旨 経典に説かれた法義の最も肝要なことがら。
教の大小 ¬観経¼ が大乘教か小乗教か。
釈去 解釈して取り去ること。

此¬観経¼一部之内、先作↢七門↡料簡、然後依↠文釈↠義。第一先標↢序題↡。第二次釈↢其名↡。第三依↠文釈↠義、并弁↢宗旨不同、教之大小↡。第四正顕↢説人差別↡。第五料↢簡定散二善、通別有↟異。第六和↢会経論相違↡、広施↢問答↡釈↢去疑情↡。第七料↧簡韋提聞↢仏正説↡得↠益分斉↥。

序題門

【3】 だい一に序題じょだいひょうすとは

第一先標↢序題↡者、

法性実相

ひそかにおもんみれば、 *真如しんにょ広大こうだいにして*じょうもそのほとりはからず。 *ほっしょう深高じんこうにして*しょうもそのきわきわむることなし。 真如しんにょ体量たいりょう量性りょうしょう*蠢々しゅんしゅんしんでず。 ほっしょうへんなり。 辺体へんたいすなはちもとよりこのかたどうぜず。 *じん*法界ほうかい*凡聖ぼんしょうひとしくまどかに、 *両垢りょうく如々にょにょすなはちあまねく*含識がんしきね、 *恒沙ごうじゃどく*寂用じゃくゆう湛然たんねんなり

蠢々 うごめく小さな虫。
無塵 煩悩ぼんのうのけがれのないこと。
両垢の如々 有垢うく真如しんにょ真如しんにょのこと。 煩悩によっておおわれている真如とそうでない真如。
含識 心のはたらきを有する者。 じょうしゅじょう
寂用湛然 すぐれたはたらきが常に満ちあふれているという意。

窃以真如広大、五乗不↠測↢其辺↡。法性高、十聖莫↠窮↢其際↡。真如之体量、量性不↠出↢蠢蠢之心↡。法性無辺、辺体則元来不動。無尽法界凡聖斉円、両垢如如則普該↢於含識↡、恒沙功徳寂用湛然。

 鎌倉時代刊本、 大派依用本では

釈尊出世

ただ垢障くしょうおおふことふかきをもつて、 *浄体じょうたい顕照けんしょうするによしなし。 ゆゑに ˆ釈尊しゃくそんはˇ だいをもつて*西さいかくし、 おどろきて*たくもんり、 かんそそぎて*群萌ぐんもううるおし、 *智炬ちこかがやかせばすなはち*重昏じゅうこんようよりほがらかならしむ。 *だんひとしくそなはり、 *しょうをもつてひとしくおさめて、 長劫じょうごういんかいし、 永生ようしょうらく悟入ごにゅうせしむ

浄体 清浄しょうじょうな真如の本体。
西化を隠し 釈尊はその本国であるところの西方無勝むしょう世界の教化をさしおいてという意。
智炬 智慧ちえの灯火。
重昏 暗闇。
三檀 ざいほう無畏施むいせの三種の布施ふせをいう。

但以↢垢障覆↡、浄体無↠由↢顕照↡。故使↧大悲隠↢於西化↡驚入↢火宅之門↡、灑↢甘露↡潤↢於羣萠↡、輝↢智炬↡則朗↦重昏於永夜↥。三檀等備四摂斉収、開↢示長劫之苦因↡、悟↢入永生之楽果↡。

観経化前

【4】 *群迷ぐんめいしょうへだたり、 *楽欲ぎょうよくどうをいはず。 *じつなしといへども、 ひとしく五じょうゆうあれば、 うんを三がいき、 ほうだいよりそそがしむることをいたす。 ひとしく*塵労じんろううるおすに、 あまねくもんやくうるおさざるはなし。 *だいしゅこれによりてもつてしんき、 *しょうがく念々ねんねんにこれによりて増長ぞうじょうす。 しんによりて勝行しょうぎょうおこすに、 もんまんせんあまれり。 *漸頓ぜんとんすなはちおのおのしょかなふをもつて、 えんしたがふもの、 すなはちみな*だつこうむ

群迷 迷いの衆生。
楽欲 意向。 望み。
一実 →一実いちじつ
塵労 煩悩ぼんのうの異名。 ここでは煩悩にけがれた衆生のこと。
漸頓 漸教と頓教。 →ぜんぎょう頓教とんぎょう

不↠謂↢羣迷性隔、楽欲不同↡、雖↠無↢一実之機↡、等有↢五乗之用↡、致↠使↧布↢慈雲於三界↡、注↦法雨於大悲↥。莫↠不↧等洽↢塵労↡普沾↦未聞之益↥。菩提種子藉↠此以抽↠心、正覚之芽念念因↠茲増長。依↠心起↢於勝行↡、門余↢八万四千↡、漸頓則各称↢所宜↡、随↠縁者則皆蒙↢解脱↡。

観経興起

【5】 しかるにしゅじょうさわりおもくして、 さとりるものあきらめがたし。 教益きょうやくもんなるべしといへども、 *凡惑ぼんわく*遍攬へんらんするによしなし。 たまたまだいしょういたして、 「われいま*安楽あんらくおうじょうせんと楽欲ぎょうよくす。 ただねがはくは如来にょらい、 われに*ゆいおしへたまへ、 われに*正受しょうじゅおしへたまへ」 といふによりて、 しかも*しゃしゅ (釈尊) はそのしょうによるがゆゑにすなはちひろじょう*要門ようもんひらき、 安楽あんらく能人のうにん (阿弥陀仏)べっ*がん顕彰けんしょうしたまふ

凡惑 凡夫のこと。 →ぼん
遍攬 あまねく知ること。

然衆生障重取↠悟之者難↠明、雖↠可↢教益多門↡凡惑無↠由↢徧攬↡。遇因↧韋提致↠請、我今楽↣欲往↢生安楽↡、唯願如来教↢我思惟↡教↦我正受↥、然娑婆化主因↢其請↡故、即広開↢浄土之要門↡、安楽能人顕↢彰別意之弘願↡。

要弘二門 1. 要門

その要門ようもんとはすなはちこの ¬かんぎょう¼ のじょうさんもんこれなり。 「じょう」 はすなはち*おもんぱかりをめてもつてしんらす。 「さん」 はすなはちあくはいしてもつてぜんしゅす。 この二ぎょう*しておうじょうがん

慮りを… 思いをとどめて心をもっぱら一つの対象に注ぐ。

其要門者、即此¬観経¼定散二門是也。定即息↠慮以凝↠心、散即廃↠悪以修↠善。迴↢斯二行↡求↢願往生↡也。

・ 要弘二門 2. 弘願

がんといふは ¬*だいきょう¼ (上・意)きたまふがごとし。 一切いっさい善悪ぜんあくぼんしょうずることをるものは、 みな*阿弥陀あみだぶつ*大願だいがん業力ごうりきじょうじて*増上縁ぞうじょうえんとなさざるはなし」 と

増上縁 →増上縁ぞうじょうえん

言↢弘願↡者、如↢¬大経¼説↡。一切善悪凡夫得↠生者、莫↠不↧皆乗↢阿弥陀仏大願業力↡為↦増上縁↥也。

密意弘深

またぶつ*みつじんなり、 教門きょうもんあきらめがたし。 *げん*しょうはかりてうかがふところにあらず。 いはんやわれ*しん軽毛きょうもうなり、 あへてしゅらんや。 あおぎておもんみれば、 しゃはこのほうより*発遣はっけんし、 弥陀みだはすなはちかのくにより*来迎らいこうしたまふ。 かしこにばひここにつかはす、 あにかざるべけんや。 ただ勤心ごんしんほうけて、 *畢命ひつみょうとなして、 このしんててすなはちかのほっしょう常楽じょうらくしょうすべし。 これすなはちりゃくして序題じょだいひょうしをはりぬ

密意 深いおぼしめし。
信外の軽毛 ここでの信は十信位のこと。 十信の位にも入ることのできない風に吹かれる羽毛のようなぼんをいう。 →十信じっしんさつ
畢命を期となして 命が終る時を限りとして。

又仏密意弘、教門難↠暁、三賢・十聖弗↢測所↟闚、況我信外軽毛、敢知↢旨趣↡。仰惟釈迦此方発遣、弥陀即彼国来迎、彼喚此遣、豈容↠不↠去也。唯可↧勤心奉↠法畢命為↠期、捨↢此穢身↡即証↦彼法性之常楽↥。此即略標↢序題↡竟。

釈名門

【6】 だい二につぎしゃくすとは

第二次釈↠名者、

¬きょう¼ に 「ぶっせつ無量寿むりょうじゅかんぎょうかん」 とのたまへり

¬経¼言↢「仏説無量寿観経一巻」↡。

「仏」

*ぶつ」 といふはすなはちこれ*西国さいこく (印度)正音しょうおんなり。 この (中国) には 「かく」 とづく。 かくかく覚行かくぎょう窮満ぐうまん、 これをづけてぶつとなす

言↢「仏」↡者、乃是西国正音、此土名↠覚。自覚・覚他・覚行窮満、名↠之為↠仏。

かく」 といふは*ぼん*けんす。 これ*しょうもん狭劣きょうれつにして、 ただよく*自利じりのみありて、 けて*利他りただいなきによるがゆゑなり

簡異 区別すること。

言↢自覚↡者簡↢異凡夫↡。此由↣声聞狭劣唯能自利闕無↢利他大悲↡故。

かく」 といふは*じょうけんす。 これ*さつあるがゆゑによく自利じりし、 あるがゆゑによく利他りたし、 つねによく*悲智ひち双行そうぎょうして有無うむじゃくせざるによる

悲智双行 慈悲と智慧をともに行ずること。 →慈悲じひ智慧ちえ

言↢覚他↡者簡↢異二乗↡。此由↧菩薩有↠智故能自利、有↠悲故能利他、常能悲智双行不↞著↢有無↡也。

覚行かくぎょう窮満ぐうまん」 といふはさつけんす。 これ如来にょらい*智行ちぎょうすでにきわまり、 *こうすでにちて、 *出過しゅっかせるによるがゆゑに、 づけてぶつとなす

智行 智慧と修行。
時劫 (菩薩としての修行の) 時間。
三位 ぼん・二乗・菩薩の三つの位。

言↢覚行窮満↡者簡↢異菩薩↡。此由↣如来智行已窮、時劫已満、出↢過三位↡故、名為↠仏。

「説」

せつ」 といふはおん陳唱ちんしょうす。 ゆゑにづけてせつとなす。 また如来にょらい*たいしてほうきたまふことしゅどうなり。 *漸頓ぜんとんよろしきにしたがひ、 *隠彰おんしょうことなることあり。 あるいは*こんつうじてきたまふ。 *相好そうごうもまたしかなり。 ねんおうじ、 えんしたがひてみな証益しょうやくこうむ

漸頓 漸教と頓教。 →ぜんぎょう頓教とんぎょう
隠彰 隠顕おんけんに同じ。 文の表にあらわれた意 (彰) と、 文の裏にかくれた意 (隠)。 善導ぜんどう大師の隠顕 (隠彰) はともに真実の説意で、 親鸞聖人が 「化身土文類」 でいわれるような真仮 (真実・方便) を分別する意味ではない。

言↢「説」↡者、口音陳唱、故名為↠説。又如来対↠機説↠法多種不同、漸頓随↠宜隠彰有↠異、或六根通説、相好亦然、応↠念随↠縁皆蒙↢証益↡也。

「無量寿」

【7】 「*りょう寿じゅ」 といふは、

言↢「無量寿」↡者、

・ 「無量寿」 梵漢相対

すなはちこれこの (中国)漢音かんおんなり。 「*ぶつ」 といふは、 またこれ*西国さいこく (印度)正音しょうおんなり。 また 「」 はこれ、 「」 はこれみょう、 「」 はこれ、 「」 はこれりょう、 「」 はこれ寿じゅ、 「ぶつ」 はこれかくなり。 ゆゑに 「みょう無量寿むりょうじゅかく」 といふ。 これすなはち*梵漢ぼんかん相対そうたいするに、 そのかくのごとし

梵漢 梵語 (サンスクリット) と漢語 (中国語)。

乃是此地漢音。言↢南無阿弥陀仏↡者、又是西国正音。又南者是帰、無者是命、阿者是無、弥者是量、陀者是寿、仏者是覚、故言↢帰命無量寿覚↡。此乃梵漢相対其義如↠此。

・ 「無量寿」 人法並彰

いま 「無量寿むりょうじゅ」 といふはこれほう、 「かく」 とはこれにんなり。 人法にんぽうならあらわす、 ゆゑに阿弥陀あみだぶつづく

今言↢無量寿↡者是法、覚者是人、人・法並彰、故名↢阿弥陀仏↡。

・ 「無量寿」 二報荘厳

【8】 また人法にんぽうといふはこれ所観しょかんきょうなり。 すなはちその二あり。 一には*ほう、 二には*正報しょうぼうなり

又言↢人・法↡者、是所観之境。即有↢其二↡。一者依報、二者正報。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 依報

ほうのなかにつきてすなはちその三あり

就↢依報中↡即有↢其三↡。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 地下荘厳

一には地下じげ荘厳しょうごん、 すなはち一切いっさい*宝幢ほうどうこうみょうのたがひにあひ*映発ようほつするとうこれなり

映発 うつり合うこと。

一者地下荘厳、即一切宝幢光明互相映発等是。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 地上荘厳

二には地上じじょう荘厳しょうごん、 すなはち一切いっさいほうりん宝楼ほうろうかくとうこれなり

二者地上荘厳、即一切宝地池林・宝楼・宮閣等是。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 虚空荘厳

三にはくう荘厳しょうごん、 すなはち一切いっさいへんほう*もう宝雲ほううん*化鳥けちょう風光ふうこう動発どうほつせる声楽しょうがくとうこれなり

華網 空中にひろがる飾りあみ。
化鳥 げんの鳥。 阿弥陀仏のへんであるところの鳥。

三者虚空荘厳、即一切変化宝宮・華網・宝雲・化鳥・風光動発声楽等是。

さきのごとく三しゅ差別しゃべつありといへども、 みなこれ弥陀みだ浄国じょうこく*無漏むろ*真実しんじつ*勝相しょうそうなり。 これすなはちそうじてほう*荘厳しょうごん結成けつじょう

勝相 すぐれたありさま。

如↠前雖↠有↢三種差別↡、皆是弥陀浄国無漏真実之勝相。此即総結↢成依報荘厳↡也。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 通別

またほうといふは、 日観にっかんよりしも華座けざかんいたるこのかたは、 そうじてほうかす。 このほうのなかにつきてすなはちつうありべつあり

又言↢依報↡者、従↢日観↡下至↢華座観↡已来、総明↢依報↡。就↢此依報中↡、即有↠通有↠別。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 

べつといふは、 華座けざの一かんはこれそのべつなり、 ただ弥陀みだぶつぞく

言↠別者華座一観是其別依、唯属↢弥陀仏↡也。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 

*かみの六かんはこれそのつうなり、 すなはち*法界ほうかい*凡聖ぼんしょうぞくす。 ただしょうずることをれば、 ともにおなじく受用じゅゆうす。 ゆゑにつうといふ

上の六観 日観にっかん・水観・かん・宝樹観・宝池観・宝楼ほうろうかんを指す。

余上六観是其通依、即属↢法界之凡聖↡、但使↠得↢生者共同受用↡、故言↠通也。

使得生者共同受用 返り点は聖教全書まま。 「生ずる者をして共に同じく受用することを得しむ」。

またこの六のなかにつきてすなはちしんありあり

又就↢此六中↡、即有↠真有↠仮。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 

といふはすなはち日想にっそう水想すいそう氷想ひょうそうとう、 これその仮依けえなり。 これこのかいちゅうそうけん境相きょうそうなるによるがゆゑなり

言↠仮者即日想・水想・冰想等、是其仮依。由↢是此界中相似可見境相↡故。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 依報 

しんといふは、 すなはち瑠璃るりよりしも宝楼ほうろうかんいたるこのかたは、 これそのしんなり。 これかのくに*真実しんじつ*無漏むろけん境相きょうそうなるによるがゆゑなり

言↢真依↡者、即従↢瑠璃地↡下至↢宝楼観↡已来、是其真依。由↢是彼国真実無漏可見境相↡故。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 正報

二には正報しょうぼうのなかにつきてまたその二あり

二就↢正報中↡、亦有↢其二↡。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 正報 主荘厳

一にはしゅ荘厳しょうごん、 すなはち阿弥陀あみだぶつこれなり

一者主荘厳、即阿弥陀仏是。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 正報 聖衆荘厳

二にはしょうじゅ荘厳しょうごん、 すなはちげんにかしこにあるしゅうおよび十ぽう法界ほうかい同生どうしょうのものこれなり

二者聖衆荘厳、即現在↠彼衆、及十方法界同生者是。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 正報 通別

またこの正報しょうぼうのなかにつきてまたつうありべつあり

又就↢此正報中↡亦有↠通有↠別。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 正報 

べつといふはすなはち阿弥陀あみだぶつこれなり。 すなはちこのべつのなかにまたしんありあり

言↠別者即阿弥陀仏是也。即此別中亦有↠真有↠仮。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 正報 ・ 別 

正報しょうぼうといふはすなはちだい八の像観ぞうかんこれなり。 観音かんのんせいとうもまたかくのごとし。 これしゅじょうさわりおも*染惑ぜんわくところふかきによりて、 ぶつ (釈尊)、 たちまちに*真容しんようおもはんに、 顕現けんげんするによしなきことをおそれたまふがゆゑに、 *真像しんぞう仮立けりゅうしてもつて*心想しんそうとどめしめ、 かのぶつどうじてもつてきょうしょうせしめたまふ。 ゆゑに正報しょうぼうといふ

染惑 煩悩ぼんのうのこと。
真容 (阿弥陀仏の) 真身。
真像 真身を写した形像。
心想 観想する心のはたらき。

言↢仮正報↡者、即第八像観是也。観音・勢至等亦如↠是。此由↢衆生障重染惑処↡、仏恐↧乍想↢真容↡無↞由↢顕現↡故、使↧仮↢立真像↡以住↢心想↡、同↢彼仏↡以証↞境。故言↢仮正報↡也。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 正報 ・ 別 

しん正報しょうぼうといふはすなはちだい九の真身しんしんかんこれなり。 これさき仮正けしょうによりて、 やうやくもつて乱想らんそうめて、 心眼しんげんひらくることをて、 ほぼかのほう清浄しょうじょう*ほう種々しゅじゅ荘厳しょうごんて、 もつて*昏惑こんわくのぞく。 さわりのぞくによるがゆゑに、 かの真実しんじつ境相きょうそうることを

二報 依正二報のこと。 →しょうほう
昏惑 ぼんの無智。

言↢真正報↡者、即第九真身観是也。此由↢前仮正↡、漸以息↢於乱想↡、心眼得↠開、粗見↢彼方清浄二報、種種荘厳↡、以除↢昏惑↡。由↠除↠障故、得↠見↢彼真実之境相↡也。

・ 「無量寿」 ・ 二報荘厳 ・ 正報 

つう正報しょうぼうといふはすなはち観音かんのんしょうじゅとう以下いげこれなり

言↢通正報↡者、即観音・聖衆等已下是也。

聖衆 大派依用本では 「勢至」。

さきよりこのかたいふところの通別つうべつしんは、 まさしくしょうほうかす

向来所↠言通別・真仮者、正明↢依正二報↡也。

「観」

【9】 「かん」 といふはしょうなり。 つねにじょう信心しんじんをもつて、 もつて智慧ちえひかりたもち、 かの弥陀みだ*しょうとうらす

正依 正報と依報。 →しょうほう

言↢「観」↡者照也。常以↢浄信心手↡、以持↢智慧之輝↡、照↢彼弥陀正依等事↡。

「経」

きょう」 といふは*たてなり。 たてよく*ぬきたもちて*疋丈ひつじょうじょうずることをて、 そのじょうゆうあり。 きょうよくほうたもちて*理事りじ相応そうおうし、 じょうさんしたがひて*零落れいらくせず。 よく*修趣しゅしゅのものをして、 かならず教行きょうぎょう縁因えんいんによりて、 がんじょうじておうじょうしてかの*無為むい法楽ほうらくしょうせしむ。 すでにかのくにしょうじぬれば、 さらにおそるるところなし。 長時じょうじぎょうおこして、 だいきわむ。 法身ほっしん*常住じょうじゅうなること、 たとへばくうのごとし。 よくこのやくまねく。 ゆゑにいひてきょうとなす

経・緯 たて糸とよこ糸。
疋丈 はく。 織物。
理事相応 教 (事) と教に説かれた法義 (理) とがあい離れないこと。
零落 とりこぼすこと。
修趣のもの 仏道を修め歩む者。
無為の法楽 無為はんのさとりの楽しみ。 →はん

言↢「経」↡者経也。経能持↠緯得↠成↢匹丈↡有↢其丈用↡。経能持↠法、理事相応、定散随↠機義不↢零落↡。能令↧修趣之者、必藉↢教行之縁因↡、乗↠願往生、証↦彼無為之法楽↥。既生↢彼国↡更無↠所↠畏。長時起↠行果極↢菩提↡。法身常住、比若↢虚空↡。能招↢此益↡、故曰為↠経。

 鎌倉時代刊本では 「疋」。

「一巻」

かん」 といふは、 この ¬かんぎょう¼ 一*両会りょうえ正説しょうせつなりといふといへども、 そうじてこの一をじょうず。 ゆゑに一かんづく

両会の正説 仏が王舎城宮おうしゃじょうぐなんだいのために説法したおうと、 阿難が闍崛山しゃくっせんの大衆のために王宮会での仏の説法を再説したしゃ

言↢「一巻」↡者、此¬観経¼一部、雖↠言↢両会正説↡、総成↢斯一↡、故名↢一巻↡。

ゆゑに 「仏説ぶっせつ無量寿むりょうじゅかんぎょうかん」 といふ。 これすなはちその名義みょうぎしゃくしをはりぬ

故言↢「仏説無量寿観経一巻」↡。此即釈↢其名義↡竟。

宗教門

【10】三に宗旨しゅうしどうきょう大小だいしょう弁釈べんしゃくすとは

三弁↢釈宗旨不同、教之大小↡者、

宗旨不同

¬*ゆいぎょう¼ のごときは*不思議ふしぎだつをもつてしゅうとなし、 ¬*大品だいぼんぎょう¼ のごときは*くうをもつてしゅうとなす。 このれい一にあらず

不思議解脱 思惟を超えたさとりの境地。
空慧 一切のものには実体がないというくうの道理をさとる智慧ちえ

如↢¬維摩経¼↡以↢不思議解脱↡為↠宗、如↢¬大品経¼↡以↢空慧↡為↠宗。此例非↠一。

・ 宗旨不同 念観両宗

いまこの ¬かんぎょう¼ はすなはち*観仏かんぶつ三昧ざんまいをもつてしゅうとなし、 また*念仏ねんぶつ三昧ざんまいをもつてしゅうとなす。 一心いっしん*がんしてじょうおうじょうするを*たいとなす

回願 浄土を願生すること。
 ここでは観仏三昧および念仏三昧の体 (本質) という意。

今此¬観経¼即以↢観仏三昧↡為↠宗、亦以↢念仏三昧↡為↠宗。一心迴願往↢生浄土↡為↠体。

教之大小

【11】きょう大小だいしょうといふは

言↢教之大小↡者、

ひていはく、 この ¬きょう¼ は*ぞうのなかにはいづれのぞうしょうなる。 *きょうのなかにはいづれのきょうしゅうなる

二蔵 声聞蔵と菩薩蔵。 →声聞蔵しょうもんぞう菩薩蔵ぼさつぞう
二教 漸教と頓教。 →ぜんぎょう頓教とんぎょう

問曰。此¬経¼二蔵之中何蔵摂、二教之中何教収。

こたへていはく、 いまこの ¬かんぎょう¼ は*さつぞうしゅうなり。 *頓教とんぎょうしょうなり

答曰。今此¬観経¼菩薩蔵収、頓教摂。

説人門

【12】四に説人せつにん差別しゃべつべんずとは

四弁↢説人差別↡者、

おほよそ諸経しょきょうせつしゅぎず。 一にはぶつせつ、 二には*しょう弟子でしせつ、 三には*天仙てんせんせつ、 四には*じんせつ、 五には*へんせつなり

聖弟子 しゃほつ等の仏弟子。
天仙 梵天ぼんてん帝釈天たいしゃくてん等の護法の善神や仏法に帰依きえした仙人。
変化 変化身のこと。 仏・菩薩がすがたを変えて仮に現れたもの。

凡諸経起説不↠過↢五種↡。一者仏説、二者聖弟子説、三者天仙説、四者鬼神説、五者変化説。

いまこの ¬かんぎょう¼ はこれぶつせつなり

今此¬観経¼是仏自説。

 ひていはく、 ぶついづれのところにかましましてき、 何人なんびとのためにかきたまへる

問曰。仏在↢何処↡説、為↢何人↡説。

こたへていはく、 ぶつ*おうにましまして、 *だいとうのためにきたまへり

王宮 王舎城おうしゃじょうの宮殿。

答曰。仏在↢王宮↡為↢韋提等↡説。

定散門

三重六説

【13】五に*じょうさんりょうもん*料簡りょうけんするにすなはちその六あり

定散両門 定善と散善の二つの立場。 →じょうぜん散善さんぜん

五料↢簡定散両門↡、即有↢其六↡。

一には*能請のうしょうのひとをかす、 すなはちこれだいなり。 二には*所請しょしょうのひとをかす、 すなはちこれそんなり。 三には能説のうせつのひとをかす、 すなはちこれ如来にょらいなり。 四には所説しょせつかす、 すなはちこれじょうさんぜん十六観門かんもんなり。 五には*のうかす、 すなはちこれ如来にょらいなり。 六には*しょかす、 すなはちだいとうこれなり

能請のひと 教えを説くよう懇請こんせいした人。
所請のひと 懇請を受けた人。
能為 教化を行った人。
所為 教化を受けた人。

一明↢能請者↡、即是韋提。二明↢所請者↡、即是世尊。三明↢能説者↡、即是如来。四明↢所説↡、即是定散二善十六観門。五明↢能為↡、即是如来。六明↢所為↡、即韋提等是也。

散善自開

【14】ひていはく、 じょうさんぜんはたれの*致請ちしょうによる

致請 懇請。

問曰。定散二善因↢誰致請↡。

こたへていはく、 じょうぜんの一もんだい致請ちしょうにして、 散善さんぜんの一もんはこれぶつせつなり

答曰。定善一門韋提致請、散善一門是仏自説。

 ひていはく、 いぶかし、 じょうさんぜんでていづれのもんにかある。 いますでにきょうそなはりてむなしからず、 いづれの*くることを

問曰。未審、定散二善出在↢何文↡、今既教備不↠虚、何機得↠受。

こたへていはく、 するに二あり

答曰。解有↢二義↡。

何機得受

一には*謗法ほうぼうしんと、 *なんおよび*にん、 これらはけず。 これすなはち*りん碩石せきせき生潤しょうにんあるべからず。 これらのしゅじょうはかならずじゅなし。 これをのぞきて以外いげは、 一心いっしんしんぎょうしておうじょうがんすれば、 かみ*ぎょうつくしもねんおさむ。 ぶつ*願力がんりきじょうじてみなかざるはなし。 これすなはちかみのいづれのくることをるのこたへをはりぬ

非人 人間以外の天・竜・しゃなどの鬼神をいう。 →補註8
朽林碩石… 雨を得てもちた林は芽を出すことがなく、 大きな石は中まで潤うことがないという意。

一者謗法与↢無信↡、八難及非人、此等不↠受也。斯乃朽林・碩石不↠可↠有↢生潤之期↡、此等衆生必無↢受化之義↡。除↠斯已外、一心信楽求↢願往生↡、上尽↢一形↡下収↢十念↡、乗↢仏願力↡莫↠不↢皆往↡。此即答↢上何機得受義↡竟。

出在何文

二にはでていづれのもんにかあるとはすなはち*つうあり*べつあり

 一般的な諸仏の国土。
 特別な阿弥陀仏の国土。

二出在何文者、即有↠通有↠別。

・ 出在何文 

つう」 といふはすなはち三どうあり。 なんとなれば、 一には 「だい白仏びゃくぶつ唯願ゆいがん為我いが広説こうせつ無憂むう悩処のうしょ」 よりは、 すなはちこれだいしんひょうしてみづからためにつうじてしょふ。 二には 「唯願ゆいがん仏日ぶつにちきょうかん清浄しょうじょう業処ごっしょ」 よりは、 すなはちこれだいみづからためにつうじて*ぎょうふ。 三には 「そん光台こうだい現国げんこく」 よりは、 すなはちこれさき通請つうしょうの 「為我いが広説こうせつ」 のごんむくゆ。 三どうありといへども、 さきつうこたへをはりぬ

去行 仏国土に生れるための行。

言↠通者即有↢三義不同↡。何者、一従↢「韋提白仏唯願為我広説無憂悩処」↡者、即是韋提標↠心自為通請↢所求↡。二従↢「唯願仏日教我観於清浄業処」↡者、即是韋提自為通請↢去行↡。三従↢「世尊光台現国」↡、即是酬↢前通請「為我広説」之言↡。雖↠有↢三義不同↡、答↢前通↡竟。

・ 出在何文 

べつ」 といふはすなはち二あり。 一には 「だい白仏びゃくぶつこん楽生ぎょうしょう極楽ごくらくかい弥陀みだ仏所ぶつしょ」 よりは、 すなはちこれだいみづからためにべつしてしょえらぶ。 二には 「唯願ゆいがんきょうゆいきょう正受しょうじゅ」 よりは、 すなはちこれだいみづからために*別行べつぎょうしゅせんとふ。 二どうありといへども、 かみべつこたへをはりぬ

別行 阿弥陀仏の浄土に往生するための特別な行。

言↠別者、則有↢二義↡。一従↢「韋提白仏我今楽生極楽世界弥陀仏所」↡者、即是韋提自為別選↢所求↡。二従↢「唯願教我思惟教我正受」↡者、即是韋提自為請↠修↢別行↡。雖↠有↢二義不同↡、答↢上別↡竟。

定善散善

 これより以下いげは、 つぎじょうさんりょうもんこた

従↠此已下次答↢定散両門之義↡。

 ひていはく、 いかなるをか*じょうぜんづけ、 いかなるをか*散善さんぜんづくる

問曰。云何名↢定善↡、云何名↢散善↡。

こたへていはく、 日観にっかんよりしも十三がんいたるこのかたをづけてじょうぜんとなし、 *ぷく*ぼんづけて散善さんぜんとなす

答曰。従↢日観↡下至↢十三観↡已来名為↢定善↡、三福九品名為↢散善↡。

 ひていはく、 じょうぜんのなかになんの差別しゃべつかある、 でていづれのもんにかある

問曰。定善之中有↢何差別↡、出在↢何文↡。

こたへていはく、 いづれのもんにかづるといふは、 ¬きょう¼ (観経) に 「きょうゆいきょう正受しょうじゅ」 とのたまへり、 すなはちこれそのもんなり。 差別しゃべつといふはすなはち二あり。 一にはいはくゆい、 二にはいはく正受しょうじゅなり

答曰。出↢何文↡者、¬経¼言↢「教我思惟教我正受」↡、即是其文。言↢差別↡者即有↢二義↡。一謂思惟、二謂正受。

・ 定善散善 思惟

ゆい」 といふはすなはちこれかん*ぜん方便ほうべんなり。 かのくにしょうほう総別そうべつそうそうす。 すなはちかんもん (観経) のなかにきて、 「かくのごとくおもふものをづけてほぼ極楽ごくらくこくるとなす」 とのたまへり。 すなはちかみの 「きょうゆい」 の一がっ

言↢思惟↡者、即是観前方便、思↢想彼国依正二報総別相↡也。即地観文中説言↤「如↠此想者名為↣粗見↢極楽国土↡。」即合↢上「教我思惟」一句↡。

・ 定善散善 正受

正受しょうじゅ」 といふは、 *想心そうしんすべてみ、 *縁慮えんりょならもうじて、 *三昧さんまい相応そうおうするをづけて正受しょうじゅとなす。 すなはちかんもんのなかにきて、 「もし三昧さんまいれば、 かのこくること*了々りょうりょう分明ぶんみょうなり」 とのたまへり。 すなはちかみの 「きょう正受しょうじゅ」 の一がっ

想心 観想する心の働き。
縁慮 観ずる対象をとらえようと思いはかる心。
了々分明 はっきりとあきらかな。

言↢正受↡者、想心都息縁慮並亡、三昧相応名為↢正受↡。即地観文中説言↧「若得↢三昧↡、見↢彼国地↡了了分明」↥。即合↢上「教我正受」一句↡。

じょうさんに二どうありといへども、 そうじてかみといこたへをはりぬ

定散雖↠有↢二義不同↡、総答↢上問↡竟。

対破楷定

【15】またさきよりこのかたのしょどうなり。 *しょゆいの一をもつて、 もつて*ぷく*ぼんがっして、 もつて散善さんぜんとなし、 正受しょうじゅの一、 もつてつうじて十六かんがっして、 もつてじょうぜんとなす。 かくのごときはまさにおもふにしからず。 なんとなれば、 ¬*ごんぎょう¼ (意) に、 「ゆい正受しょうじゅとはただこれ*三昧さんまい異名いみょうなり」 ときたまふがごときは、 このかんもんおなじ。 このもんをもつてしょうす、 あに散善さんぜんつうずることをんや

諸師は… 諸師とはじょうようおん天台てんだい大師智顗ちぎ嘉祥かじょう大師吉蔵きちぞう等であるが、 ここではおもに慧遠の ¬観経義疏¼ に見える説を指す。

又向来解者、与↢諸師↡不↠同。諸師将↢思惟一句↡、用合↢三福九品↡、以為↢散善↡、正受一句用、通合↢十六観↡、以為↢定善