0647四、 示或女房法語

しめ あるにょうぼう ほうだい

念仏ねんぶつぎょうじゃのぞんじそうろうべきやうは、 後世ごせおおそれおうじょうおねがひて念仏ねんぶつすれば、 おはるとき、 かならずいかうせさせたまうよしをぞんじて、 念仏ねんぶつもうすよりほかのことそうらはず。

三心さんしんもうしそうろうも、 ふさねてもうすときは、 たゞひとつ願心がんしんにてそうろうなり。 そのねがふこゝろの、 いつはらずかざらぬかたをばじょうしんもうしそうろう。 このこゝろのまことにて念仏ねんぶつすれば、 りんじゅうにらいかうすといふことを、 一念いちねんもうたがはぬを深心じんしんとはもうしそうろう。 このうへわがもかのへむまれむとおもひ、 ぎょうごうおもおうじょうのためとむくるをこうしんとはもうしそうろうなり。

このゆへに、 ねがふこゝろいつはらずして、 げにおうじょうせんとおもひそうらへば、 おのづから三心さんしんはぐそくすることにてそうろうなり。

そもそもちゅうぼんしょうにらいかうのそうらはぬことはあるまじければ、 とかれぬにてはそうらはず。 ぼんおうじょうにおのおのみなあるべきことの、 りやくせられてなきことんそうろうなり。

ぜんだうのこゝろは、 三心さんしん品々ほんぼんにわたりてあるべしとえてそうろう品々ほんぼんごとにおほくのことそうらへとん、 三心さんしんとらいかうとはかならずあるべきにてそうろうなり。

おうじょうおばねがはんぎょうじゃは、 かならず三心さんしんをおこすべきにてそうらへば、 じょうぼん上生じょうしょうにこれをときて、 よの0648品々ほんぼんおもこれになづらへてしるべしとえてそうろう

またわれら戒品かいぼんのふね・いかだもやぶれたれば、 しょう大海たいかいおわたるべきえんそうらはず。 智恵ちえのひかりもくもりて、 しょうのやみをてらしがたければ、 しょうどう得道とくどうにももれたるわれらがためにほどこしたまうりきもうしそうろうは、 だいじゅうのらいかうのがんにてそうらへば、 もんへずそうろうとん、 かならずらいかうはあるべきにてそうろうなり。

ゆめゆめおんうたがひそうろうべからず。 あなかしこ、 あなかしこ。

          源空げんくう