仏説阿弥陀経
*姚秦*三蔵法師*鳩摩羅什奉詔訳
姚秦 後秦 (384-417) のこと。 王室の姓をとって姚秦と呼ぶ。
◎序分 ○証信序
・ 前五成就
【1】 ▼かくのごとく、 われ聞きたてまつりき。 ひと時、 仏、 *舎衛国の*祇樹給孤独園にましまして、
祇樹給孤独園 舎衛城 (コーサラ国の首都。 現在のマヘート遺跡に比定される) の西南にあった精舎。 舎衛国の祇陀太子が所有する土地を須達長者 (常に孤独の者に施したので給孤独と称される) が譲り受けて釈尊に献上したのでこの名がある。
如↠是我聞。一時仏、在↢舎衛国祇樹給孤独園↡、
・ 衆成就
▼*大比丘の衆、 千二百五十人と倶なりき。 みなこれ大*阿羅漢なり。 ▼衆に知識せらる。 *長老*舎利弗・*摩訶目犍連・*摩訶迦葉・*摩訶迦旃延・*摩訶倶絺羅・*離婆多・*周利槃陀伽・*難陀・*阿難陀・*羅睺羅・*憍梵波提・*賓頭盧頗羅堕・*迦留陀夷・*摩訶劫賓那・*薄拘羅・*阿楼駄、 かくのごときらのもろもろの大弟子、 ならびにもろもろの菩薩*摩訶薩、 *文殊師利*法王子・阿逸多菩薩(*弥勒)・乾陀訶提菩薩・常精進菩薩、 かくのごときらのもろもろの大菩薩、 および*釈提桓因等の無量の諸天大衆と倶なりき。
大比丘の衆 大いなる比丘の集まり。 後に列挙する菩薩衆に対すれば声聞衆である。
長老 年長の比丘、 また智徳ある比丘に対する尊称。
釈提桓因 梵語シャクラ・デーヴァーナーム・インドラ (Śakra-devānām-indra) の音写。
帝釈天のこと。
与↢大比丘衆、千二百五十人↡倶。皆是大阿羅漢、衆所↢知識↡。長老舎利弗・摩訶目犍連・摩訶迦葉・摩訶迦旃延・摩訶倶絺羅・離婆多・周利槃陀伽・難陀・阿難陀・羅睺羅・驕梵波提・賓頭盧頗羅堕・迦留陀夷・摩訶劫賓那・薄拘羅・阿楼駄、如↠是等諸大弟子、并諸菩薩摩訶薩、文殊師利法王子・阿逸多菩薩・乾陀訶提菩薩・常精進菩薩、与↢如↠是等諸大菩薩及釈提桓因等無量諸天大衆↡倶。
◎正宗分 ○依正段
・ 仏土現在
【2】 ▼その時、 仏、 長老舎利弗に告げたまはく、 「▼*これより西方に、 十万億の仏土を過ぎて世界あり、 名づけて*極楽といふ。 その土に仏まします、 *阿弥陀と号す。 いま現にましまして法を説きたまふ。
これ 娑婆世界。
爾時仏告↢長老舎利弗↡、従↠是西方、過↢十万億仏土↡有↢世界↡、名曰↢極楽↡。其土有↠仏、号↢阿弥陀↡。今現在説法。
◎正宗分 ○依正段 1 依報荘厳
・ 名義
【3】 ▼舎利弗、 かの土をなんがゆゑぞ名づけて極楽とする。 ▼その国の衆生、 もろもろの苦あることなく、 ただもろもろの楽を受く。 ゆゑに極楽と名づく。
舎利弗、彼土何故名為↢極楽↡。其国衆生、無↠有↢衆苦↡、但受↢諸楽↡、故名↢極楽↡。
・ 宝樹
▼また舎利弗、 極楽国土には七重の*欄楯・七重の*羅網・七重の*行樹あり。 みなこれ*四宝*周帀し囲繞せり。 このゆゑにかの国を名づけて極楽といふ。
欄楯 装飾をほどこした垣。
羅網 宝珠をつらねた飾り網。 梵本では鈴のついた網。
行樹 並木。
四宝 金・銀・瑠璃・玻瓈のこと。
周帀し囲繞せり あまねくめぐりかこんでいる。
又舎利弗、極楽国土、七重欄楯、七重羅網、七重行樹。皆是四宝、周帀囲繞。是故彼国名曰↢極楽↡。
・ 宝池
▼また舎利弗、 極楽国土には*七宝の池あり。 *八功徳水そのなかに充満せり。 池の底にはもつぱら金の沙をもつて地に布けり。 四辺の*階道は、 金・銀・瑠璃・玻合成せり。 上に*楼閣あり。 また金・銀・瑠璃・玻・硨磲・赤珠・碼碯をもつて、 これを厳飾す。 池のなかの蓮華は、 *大きさ車輪のごとし。 青色には青光、 黄色には黄光、 赤色には赤光、 白色には白光ありて、 微妙香潔なり。 舎利弗、 極楽国土には、 かくのごときの功徳荘厳を成就せり。
階道 階段状になった道。
楼閣 重層の建物。 高殿。
大きさ車輪のごとし 「大」 の字を 「形」 の意とし 「かたち車輪のごとし」 と読む場合もある。 梵本では 「大きさ」 の意。
又舎利弗、極楽国土、有↢七宝池↡、八功徳水、充↢満其中↡。池底純以↢金沙↡布↠地。四辺階道、金・銀・瑠璃・玻合成。上有↢楼閣↡、亦以↢金・銀・瑠璃・玻・硨磲・赤珠・碼碯↡、而厳↢飾之↡。池中蓮華、大如↢車輪↡。青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光。微玅香潔。舎利弗、極楽国土、成↢就如↠是功徳荘厳↡。
・ 妙華
▼また舎利弗、 かの仏国土には、 つねに*天の楽をなす。 黄金を地とし、 *昼夜六時に天の*曼陀羅華を雨らす。 その国の衆生、 つねに*清旦をもつて、 おのおの*衣裓をもつて、 もろもろの妙華を盛れて、 他方の十万億の仏を供養したてまつる。 すなはち*食時をもつて本国に還り到りて、 飯食し*経行す。 舎利弗、 極楽国土には、 かくのごときの功徳荘厳を成就せり。
天の楽 天上界の音楽。 すぐれた音楽。
昼夜六時 一昼夜を晨朝・日中・日没の昼三時、 初夜・中夜・後夜の夜三時に分けていう。
曼陀羅華 曼陀羅は梵語マーンダーラヴァ (māndārava) の音写。 天妙華・適意華・悦意華などと漢訳する。 色美しく、 みる者の心をよろこばせるという天上界の華。
清旦 夜明け。
衣裓 華をもる器。
食時 一食をたべ終るわずかな時間。 一説では昼前の時間を指すという。
経行 一定の場所を往復して歩くこと。 心身を整えるためにこれを行う。
又舎利弗、彼仏国土、常作↢天楽↡。黄金為↠地、昼夜六時、而雨↢曼陀羅華↡。其国衆生、常以↢清旦↡、各以↢衣裓↡、盛↢衆玅華↡、供↢養他方十万億仏↡。即以↢食時↡、還↢到本国↡、飯食経行。舎利弗、極楽国土、成↢就如↠是功徳荘厳↡。
・ 衆鳥
▼また次に舎利弗、 かの国にはつねに種々奇妙なる雑色の鳥あり。 *白鵠・孔雀・鸚鵡・*舎利・*迦陵頻伽・*共命の鳥なり。 このもろもろの鳥、 昼夜六時に和雅の音を出す。 その音、 *五根・*五力・*七菩提分・*八聖道分、 かくのごときらの法を*演暢す。 その土の衆生、 この音を聞きをはりて、 みなことごとく仏を念じ、 法を念じ、 僧を念ず。 舎利弗、 なんぢこの鳥は実にこれ罪報の所生なりと謂ふことなかれ。 ゆゑはいかん。 かの仏国土には*三悪趣なければなり。 舎利弗、 その仏国土にはなほ三悪道の名すらなし。 いかにいはんや実あらんや。 このもろもろの鳥は、 みなこれ阿弥陀仏、 法音を*宣流せしめんと欲して、 *変化してなしたまふところなり。
白鵠 白鳥または天鵞ともいわれる水鳥。
舎利 梵語シャーリ (śāri) またはシャーリカ (śārika) の音写。 鶖鷺・鸜などと漢訳する。 黒色で人間の言葉を暗誦するという。
共命の鳥 命命鳥ともいう。 雉あるいは鷓鴣の一種。 また人面禽形で一身に両頭を有する鳥であるともいう。
宣流 述べひろめること。
変化 姿を変えて現すこと。
復次舎利弗、彼国常有↢種種奇玅雑色之鳥↡。白鵠・孔雀・鸚鵡・舎利・迦陵頻伽・共命之鳥。是諸衆鳥、昼夜六時出↢和雅音↡。其音演↢暢五根・五力・七菩提分・八聖道分、如↠是等法↡。其土衆生、聞↢是音↡已、皆悉念↠仏念↠法念↠僧。舎利弗、汝勿↠謂↢此鳥実是罪報所生↡。所以者何、彼仏国土、無↢三悪趣↡。舎利弗、其仏国土、尚無↢三悪道之名↡、何況有↠実。是諸衆鳥、皆是阿弥陀仏、欲↠令↢法音宣流↡、変化所作。
・ 微風
▼舎利弗、 かの仏国土には微風吹きて、 もろもろの宝行樹および宝羅網を動かすに、 微妙の音を出す。 たとへば百千種の楽を同時にともになすがごとし。 この音を聞くもの、 みな自然に仏を念じ、 法を念じ、 僧を念ずるの心を生ず。 舎利弗、 その仏国土には、 かくのごときの功徳荘厳を成就せり。
舎利弗、彼仏国土、微風吹動↢諸宝行樹及宝羅網↡、出↢微玅音↡。譬如↢百千種楽同時倶作↡。聞↢是音↡者、皆自然生↢念仏・念法・念僧之心↡。舎利弗、其仏国土、成↢就如↠是功徳荘厳↡。
◎正宗分 ○依正段 2 正報荘厳
・ 主仏(光寿二無量)
【4】 ▼舎利弗、 なんぢが意においていかん。 かの仏を▼なんのゆゑぞ阿弥陀と号する。 舎利弗、 かの仏の光明無量にして、 十方の国を照らすに障碍するところなし。 このゆゑに号して阿弥陀とす。 また舎利弗、 ▼かの仏の寿命およびその人民 ˆの寿命ˇ も無量無辺*阿僧祇*劫なり。 ゆゑに阿弥陀と名づく。 舎利弗、 ▼阿弥陀仏は、 成仏よりこのかたいまに十劫なり。
舎利弗、於↢汝意↡云何。彼仏何故号↢阿弥陀↡。舎利弗、彼仏光明無量、照↢十方国↡、無↠所↢障礙↡。是故号為↢阿弥陀↡。又舎利弗、彼仏寿命及其人民、無量無辺阿僧祇劫。故名↢阿弥陀↡。舎利弗、阿弥陀仏成仏已来、於↠今十劫。
・ 聖衆
▼また舎利弗、 かの仏に無量無辺の声聞の弟子あり、 みな阿羅漢なり。 これ算数のよく知るところにあらず。 もろもろの菩薩衆、 またまたかくのごとし。 舎利弗、 かの仏国土には、 かくのごときの功徳荘厳を成就せり。
又舎利弗、彼仏有↢無量無辺声聞弟子↡、皆阿羅漢。非↣是算数之所↢能知↡。諸菩薩衆、亦復如↠是。舎利弗、彼仏国土、成↢就如↠是功徳荘厳↡。
【5】 ▼また舎利弗、 極楽国土には、 衆生生ずるものはみなこれ*阿鞞跋致なり。 ▼そのなかに多く*一生補処 ˆの菩薩ˇ あり。 その数はなはだ多し。 これ算数のよくこれを知るところにあらず。 ただ無量無辺阿僧祇劫をもつて説くべし。
又舎利弗、極楽国土、衆生生者、皆是阿鞞跋致。其中多有↢一生補処↡、其数甚多。非↣是算数所↢能知↟之。但可↧以↢無量無辺阿僧祇劫↡説↥。
◎正宗分 ○因果段 1 発願
▼舎利弗、 ▼衆生*聞かんもの、 まさに発願してかの国に生ぜんと願ふべし。 ゆゑはいかん。 かくのごときの*諸上善人とともに*一処に会することを得ればなり。
聞かんもの 極楽浄土および阿弥陀仏と聖者のことを聞くものは。
諸上善人 もろもろのすぐれた聖者。
一処 極楽浄土を指す。
舎利弗、衆生聞者、応↢当発願願↟生↢彼国↡。所以者何、得↧与↢如↠是諸上善人↡倶会↦一処↥。
◎正宗分 ○因果段 2 正因
▼舎利弗、 ▼*少善根福徳の因縁をもつてかの国に生ずることを得べからず。
少善根福徳 自力を励まして行うわずかな善根福徳。 大善大功徳である念仏以外のすべての行。
舎利弗、不↠可↧以↢少善根福徳因縁↡得↞生↢彼国↡。
・ 執持名号
▼舎利弗、 もし善男子・善女人ありて、 ▼阿弥陀仏を説くを聞きて、 名号を*執持すること、 もしは一日、 もしは二日、 もしは三日、 もしは四日、 もしは五日、 もしは六日、 もしは七日、 一心にして乱れざれば、
執持 しっかりととりたもつこと。 親鸞聖人は阿弥陀仏の名号を信じ称えることと解釈した。
舎利弗、若有↢善男子・善女人↡、聞↠説↢阿弥陀仏↡、執↢持名号↡、若一日、若二日、若三日、若四日、若五日、若六日、若七日、一心不↠乱、
◎正宗分 ○因果段 3 正果
▼その人、 命終のときに臨みて、 阿弥陀仏、 もろもろの聖衆と現じてその前にましまさん。 この人終らん時、 心顛倒せずして、 すなはち阿弥陀仏の極楽国土に往生することを得。
其人臨↢命終時↡、阿弥陀仏、与↢諸聖衆↡、現在↢其前↡。是人終時、心不↢顛倒↡、即得↣往↢生阿弥陀仏極楽国土↡。
◎正宗分 ○証誠段 1 自証
▼舎利弗、 われこの利を見るがゆゑに、 この言を説く。 もし衆生ありて、 この説を聞かんものは、 まさに発願してかの国土に生るべし。
舎利弗、我見↢是利↡故説↢此言↡。若有↢衆生↡、聞↢是説↡者、応↣当発願生↢彼国土↡。
◎正宗分 ○証誠段 2 他証(六方段)
1. 東方諸仏
【6】 ▼舎利弗、 われいま阿弥陀仏の不可思議の功徳を讃歎するがごとく、 東方にまた、 阿閦鞞仏・須弥相仏・大須弥仏・須弥光仏・妙音仏、 ▼かくのごときらの恒河沙数の諸仏ましまして、 おのおのその国において、 *広長の舌相を出し、 あまねく三千大千世界に覆ひて、 誠実の言を説きたまはく、 ªなんぢら衆生、 まさにこの不可思議の功徳を称讃したまふ一切諸仏に護念せらるる経を信ずべしº と。
広長の舌相を出し 広長の舌相は仏の三十二相の一。 仏の舌は広く長くてその顔面をおおうといわれる。 ここでは三千大千世界をおおうとされている。 仏が舌を出すのは教説が真実であることを証明する意味を持つ。
舎利弗、如↣我今者讃↢歎阿弥陀仏不可思議功徳↡、東方亦有↢阿閦鞞仏・須弥相仏・大須弥仏・須弥光仏・玅音仏、如↠是等恒河沙数諸仏↡、各於↢其国↡、出↢広長舌相↡、徧覆↢三千大千世界↡、説↢誠実言↡。汝等衆生、当↠信↧是称讃不可思議功徳、一切諸仏所↢護念↡経↥。
2. 南方諸仏
【7】 ▼舎利弗、 南方の世界に、 日月灯仏・名聞光仏・大焔肩仏・須弥灯仏・無量精進仏、 △かくのごときらの恒河沙数の諸仏ましまして、 おのおのその国において、 広長の舌相を出し、 あまねく三千大千世界に覆ひて、 誠実の言を説きたまはく、 ªなんぢら衆生、 まさにこの不可思議の功徳を称讃したまふ一切諸仏に護念せらるる経を信ずべしº と。
舎利弗、南方世界、有↢日月灯仏・名聞光仏・大焔肩仏・須弥灯仏・無量精進仏、如↠是等恒河沙数諸仏↡、各於↢其国↡、出↢広長舌相↡、徧覆↢三千大千世界↡、説↢誠実言↡。汝等衆生、当↠信↧是称讃不可思議功徳、一切諸仏所↢護念↡経↥。
3. 西方諸仏
【8】 ▼舎利弗、 西方の世界に、 無量寿仏・無量相仏・無量幢仏・大光仏・大明仏・宝相仏・浄光仏、 △かくのごときらの恒河沙数の諸仏ましまして、 おのおのその国において、 広長の舌相を出し、 あまねく三千大千世界に覆ひて、 誠実の言を説きたまはく、 ªなんぢら衆生、 まさにこの不可思議の功徳を称讃したまふ一切諸仏に護念せらるる経を信ずべしº と。
舎利弗、西方世界、有↢無量寿仏・無量相仏・無量幢仏・大灮仏・大明仏・宝相仏・浄灮仏、如↠是等恒河沙数諸仏↡、各於↢其国↡、出↢広長舌相↡、徧覆↢三千大千世界↡、説↢誠実言↡。汝等衆生、当↠信↧是称讃不可思議功徳、一切諸仏所↢護念↡経↥。
4. 北方諸仏
【9】 ▼舎利弗、 北方の世界に、 焔肩仏・最勝音仏・難沮仏・日生仏・網明仏、 △かくのごときらの恒河沙数の諸仏ましまして、 おのおのその国において、 広長の舌相を出し、 あまねく三千大千世界に覆ひて、 誠実の言を説きたまはく、 ªなんぢら衆生、 まさにこの不可思議の功徳を称讃したまふ一切諸仏に護念せらるる経を信ずべしº と。
舎利弗、北方世界、有↢焔肩仏・最勝音仏・難沮仏・日生仏・網明仏、如↠是等恒河沙数諸仏↡、各於↢其国↡、出↢広長舌相↡、徧覆↢三千大千世界↡、説↢誠実言↡。汝等衆生、当↠信↧是称讃不可思議功徳、一切諸仏所↢護念↡経↥。
5. 下方諸仏
【10】▼舎利弗、 下方の世界に、 師子仏・名聞仏・名光仏・達摩仏・法幢仏・持法仏、 △かくのごときらの恒河沙数の諸仏ましまして、 おのおのその国において、 広長の舌相を出し、 あまねく三千大千世界に覆ひて、 誠実の言を説きたまはく、 ªなんぢら衆生、 まさにこの不可思議の功徳を称讃したまふ一切諸仏に護念せらるる経を信ずべしº と。
舎利弗、下方世界、有↢師子仏・名聞仏・名光仏・達摩仏・法幢仏・持法仏、如↠是等恒河沙数諸仏↡、各於↢其国↡、出↢広長舌相↡、徧覆↢三千大千世界↡、説↢誠実言↡。汝等衆生、当↠信↧是称讃不可思議功徳、一切諸仏所↢護念↡経↥。
6. 上方諸仏
【11】▼舎利弗、 上方の世界に、 梵音仏・宿王仏・香上仏・香光仏・大焔肩仏・雑色宝華厳身仏・娑羅樹王仏・宝華徳仏・見一切義仏・如須弥山仏、 △かくのごときらの恒河沙数の諸仏ましまして、 おのおのその国において、 広長の舌相を出し、 あまねく三千大千世界に覆ひて、 誠実の言を説きたまはく、 ªなんぢら衆生、 まさにこの不可思議の功徳を称讃したまふ一切諸仏に護念せらるる経を信ずべしº と。
舎利弗、上方世界、有↢梵音仏・宿王仏・香上仏・香光仏・大焔肩仏・雑色宝華厳身仏・娑羅樹王仏・宝華徳仏・見一切義仏・如須弥山仏、如↠是等恒河沙数諸仏↡、各於↢其国↡、出↢広長舌相↡、徧覆↢三千大千世界↡、説↢誠実言↡。汝等衆生、当↠信↧是称讃不可思議功徳、一切諸仏所↢護念↡経↥。
◎正宗分 ○証誠段 3 勧信
・ 聞経利益
【12】▼舎利弗、 なんぢが意においていかん。 なんのゆゑぞ名づけて一切諸仏に護念せらるる経とするや。 舎利弗、 もし善男子・善女人ありて、 この諸仏の所説の*名および経の名を聞かんもの、 このもろもろの善男子・善女人、 みな一切諸仏のためにともに護念せられて、 みな*阿耨多羅三藐三菩提を退転せざることを得ん。 このゆゑに舎利弗、 なんぢらみなまさにわが語および諸仏の所説を信受すべし。
名 阿弥陀仏の名。
舎利弗、於↢汝意↡云何。何故名為↢一切諸仏所護念経↡。舎利弗、若有↢善男子・善女人↡、聞↢是諸仏所説名及経名↡者、是諸善男子・善女人、皆為↢一切諸仏↡共所↢護念↡、皆得↠不↣退↢転於阿耨多羅三藐三菩提↡。是故舎利弗、汝等皆当↣信↢受我語及諸仏所説↡。
・ 発願回向
▼舎利弗、 もし人ありて、 すでに発願し、 いま発願し、 *まさに発願して、 阿弥陀仏国に生ぜんと欲はんものは、 このもろもろの人等、 みな阿耨多羅三藐三菩提を退転せざることを得て、 かの国土において、 もしはすでに生れ、 もしはいま生れ、 もしはまさに生れん。 このゆゑに舎利弗、 もろもろの善男子・善女人、 もし信あらんものは、 まさに発願してかの国土に生るべし。
まさに 将来に。
舎利弗、若有↠人、已発願、今発願、当発願、欲↠生↢阿弥陀仏国↡者、是諸人等、皆得↠不↣退↢転於阿耨多羅三藐三菩提↡、於↢彼国土↡、若已生、若今生、若当生。是故舎利弗、諸善男子・善女人、若有↠信者、応↣当発願生↢彼国土↡。
・ 諸仏互讃
【13】▼舎利弗、 われいま諸仏の不可思議の功徳を称讃するがごとく、 かの諸仏等もまた、 わが不可思議の功徳を*称説して、 この言をなさく、 ª▼釈迦牟尼仏、 よく*甚難希有の事をなして、 よく*娑婆国土の▼*五濁悪世、 劫濁・見濁・煩悩濁・衆生濁・命濁のなかにおいて、 阿耨多羅三藐三菩提を得て、 もろもろの衆生のために、 この一切世間*難信の法を説きたまふº と。
甚難希有の事 非常に難しく、 世にまれなこと。
難信の法 自力の心では決して信ずることができない法門の意で、 この経に説かれた念仏往生の教えを指す。 この教えは、 世間の常識的な道理を超越しているから、 自力にとらわれている心でははなはだ信じ難い法であるということ。 そのことはまたこの法の尊高をあらわしている。
舎利弗、如↣我今者称↢讃諸仏不可思議功徳↡、彼諸仏等、亦称↢説我不可思議功徳↡、而作↢是言↡。釈迦牟尼仏、能為↢甚難希有之事↡、能於↢娑婆国土五濁悪世、劫濁・見濁・煩悩濁・衆生濁・命濁中↡、得↢阿耨多羅三藐三菩提↡、為↢諸衆生↡、説↢是一切世間難信之法↡。
・ 聞信之法
▼舎利弗まさに知るべし、 われ五濁悪世においてこの難事を行じて、 阿耨多羅三藐三菩提を得て、 一切世間のために、 この難信の法を説く。 これを甚難とす」 と。
舎利弗、当↠知、我於↢五濁悪世↡、行↢此難事↡、得↢阿耨多羅三藐三菩提↡、為↢一切世間↡説↢此難信之法↡。是為↢甚難↡。
◎流通分
【14】▼仏、 この経を説きたまふこと已りて、 舎利弗およびもろもろの比丘、 一切世間の天・人・阿修羅等、 仏の所説を聞きて、 歓喜し信受して、 礼をなして去りにき。
仏説↢此経↡已、舎利弗及諸比丘、一切世間天・人・阿脩羅等、聞↢仏所説↡、歓喜信受、作↠礼而去。
仏説阿弥陀経