仏説観無量寿経ぶっせつかんむりょうじゅきょう

*そうのげんちゅうに*畺良きょうりょうしゃやくす

宋元嘉 424-453。 劉宋りゅうそうの三代、 文帝ぶんていの年代。

序分 証信序

【1】 かくのごとく、 われきたてまつりき

如↠是我聞。

◎序分 発起序  化前序

ひとときぶつ*王舎城おうしゃじょう*しゃ崛山くっせんのうちにましまして、 だい*比丘びくしゅう千二百五十人せんにひゃくごじゅうにんともなりき。 *さつ三万さんまんせんありき。 *もんじゅ師利しり*ほうおう*上首じょうしゅとせり

上首 教団の最上位にあるものをいう。

一時仏、在↢王舎城耆闍崛山中↡、与↢大比丘衆千二百五十人↡倶。菩薩三万二千。文殊師利法王子而為↢上首↡。

◎序分 ○発起序  禁父縁

【2】 そのとき王舎おうしゃ大城だいじょうひとりのたいあり、 *じゃづく。 調達じょうだつ*提婆達多)あくおしえ随順ずいじゅんして、 ちちおう*びんしゃ収執しゅうしゅうし、 幽閉ゆうへいして七重しちじゅうしつないき、 もろもろの群臣ぐんしんせいして、 ひとりもくことをざらしむ

爾時、王舎大城、有↢一太子↡、名↢阿闍世↡。随↢順調達悪友之教↡、収↢執父王頻婆娑羅↡、幽閉置↢於七重室内↡、制↢諸羣臣↡、一不↠得↠往。

夫人献食

くにだいにんあり、 *だいづく。 大王だいおう恭敬くぎょうし、 *澡浴そうよく清浄しょうじょうにして、 *みつをもつて*しょうしてもつてそのり、 もろもろの*瓔珞ようらくのなかにどう*漿しょうれて、 ひそかにもつておうにたてまつる

澡浴 身体を洗うこと。
酥蜜 牛乳を精製してつくった乳酥に蜂蜜を加えたもの。
 炒った麦をひいた粉。 むぎこがし。
漿 汁。

国大夫人、名↢韋提希↡。恭↢敬大王↡、澡浴清浄、以↢酥蜜↡和↠麨、用塗↢其身↡、諸瓔珞中、盛↢蒲桃漿↡、密以上↠王。

父王請法

そのときに、 大王だいおうしょうじき漿しょうんで、 みずもとめてくちすすぐ。 くちすすぎをはりて合掌がっしょう恭敬くぎょうし、 しゃ崛山くっせんかひ、 はるかにそんらいしてこのごんをなさく、 「*大目犍連だいもくけんれんはこれわがしんなり。 ねがはくは慈悲じひおこして、 われに*八戒はっかいさずけたまへ」 と

爾時大王、食↠麨飲↠漿、求↠水漱↠口。漱↠口畢已、合掌恭敬、向↢耆闍崛山↡、遥礼↢世尊↡、而作↢是言↡。大目犍連、是吾親友。願興↢慈悲↡、授↢我八戒↡。

父王受法

とき目犍連もくけんれんたかはやぶさぶがごとくして、 おうところいたる。 日々にちにちにかくのごとくして、 おう八戒はっかいさずく。 そんまた、 尊者そんじゃ*富楼那ふるなつかはしておうのためにほうかしめたまふ。

時目犍連、如↢鷹隼飛↡、疾至↢王所↡。日日如↠是、授↢王八戒↡。世尊亦遣↢尊者富楼那↡、為↠王説法。

父王法悦

かくのごときのときのあひだに三七日さんしちにちたり。 おう麨蜜しょうみつじきほうくことをるがゆゑに顔色げんしきえつなり

如↠是時間、経↢三七日↡。王食↢麨蜜↡、得↠聞↠法故、顔色和悦。

◎序分 ○発起序  禁母縁

父王猶存

【3】 ときじゃ守門しゅもんのものにはく、 「ちちおう、 いまになほ存在そんざいせりや」 と

時阿闍世、問↢守門者↡。父王今者猶存在耶。

門家具答

とき守門しゅもんひとまうさく、 「大王だいおうくにだいにん麨蜜しょうみつり、 瓔珞ようらく漿しょうれて、 もつておうにたてまつる。 沙門しゃもん目連もくれんおよび富楼那ふるなそらよりきたりておうのためにほうく。 禁制きんせいすべからず」 と

時守門人、白言。大王、国大夫人、身塗↢麨蜜↡、瓔珞盛↠漿、持用上↠王。沙門目連及富楼那、従↠空而来、為↠王説法。不↠可↢禁制↡。

闍王瞋怒

ときじゃ、 このきをはりて、 そのははいかりていはく、 「わがはははこれぞくなり。 ぞくともなればなり。 沙門しゃもん悪人あくにんなり。 *幻惑げんわく呪術しゅじゅつをもつて、 この悪王あくおうをしてにちせざらしむ」 と。 すなはちけんりて、 そのははがいせんとほっ

幻惑の呪術 呪文などをとなえて、 人をまどわす魔術。

時阿闍世、聞↢此語↡已、怒↢其母↡曰。我母是賊、与↠賊為↠伴。沙門悪人、幻惑呪術、令↢此悪王多日不↟死。即執↢利劒↡、欲↠害↢其母↡。

二臣切諌

ときにひとりのしんあり。 *月光がっこうといふ。 聡明そうみょうにして多智たちなり。 および*耆婆ぎばおうのためにらいをなしてまうさく、 「大王だいおう*しんく、 ¬*毘陀びだ論経ろんきょう¼ にかく、 ª*劫初こうしょよりこのかたもろもろの悪王あくおうありて、 こくむさぼるがゆゑにそのちち殺害せつがいせること一万いちまん八千はっせんなりº と。 いまだかつてどうははがいすることあるをかず。 おういまこの殺逆せつぎゃくをなさば、 *せつしゅけがさん。 しんくにしのびず。 これ*せん陀羅だらなり。 よろしくここにじゅうすべからず」 と。 ときにふたりの大臣だいじん、 このきをはりて、 をもつて*けんおさへて*却行きゃくぎょうして退しりぞ

臣聞く わたくしどもの聞くところでは。
劫初 成住じょうじゅうくうの四劫の中の成劫 (世界の成立期) のはじめ。 世界の成立当初。
刹利種 刹利は梵語クシャトリヤ (kşatriya) の音写。 種は家柄のこと。 古代インドの四姓制度の第二階級。 婆羅門につぐもので、 王侯・貴族・武士の階級。
栴陀羅 →補註9
却行 あとずさりすること。

時有↢一臣↡、名曰↢月灮↡。聡明多智。及↢与耆婆↡、為↠王作↠礼、白言。大王、臣聞、陀論経説、劫初已来、有↢諸悪王↡、貪↢国位↡故、殺↢害其父↡、一万八千。未↢曾聞↟有↢無道害↟母。王今為↢此殺逆之事↡、汙↢刹利種↡。臣不↠忍↠聞。是栴陀羅。不↠宜↠住↠此。時二大臣、説↢此語↡竟、以↠手按↠劒、却行而退。

闍王惶懼

ときじゃ驚怖きょうふ*おうして耆婆ぎばげていはく、 「なんぢわがためにせざるや」 と。

惶懼 おそれおののくこと。

時阿闍世、驚怖惶懼、告↢耆婆↡言。汝不↠為↠我耶。

二臣重諌

耆婆ぎばまうさく、 「大王だいおう、 つつしんでははがいすることなかれ」 と

耆婆白言。大王、慎莫↠害↠母。

闍王悔愧

おう、 このき、 さんしてたすけんことをもとむ。 すなはちけんて、 とどまりてははがいせず。

王聞↢此語↡、懴悔求↠救、即便捨↠劒、止不↠害↠母。

余瞋禁母

*内官ないかん勅語ちょくごじんへいして、 またいださしめず

内官 宮中に奉仕する役人。

勅↢語内官↡、閉↢置宮↡、不↠令↢復出↡。

◎序分 ○発起序  厭苦縁

韋提請仏

【4】 ときだい幽閉ゆうへいせられをはりて愁憂しゅうう*憔悴しょうすいす。 はるかにしゃ崛山くっせんかひて、 ぶつのためにらいをなしてこのごんをなさく、 「如来にょらいそん在昔むかしとき、 つねに*なんつかはしきたらしめて、 われをもんしたまひき。 われいま愁憂しゅううす。 そん*威重いじゅうにして、 たてまつることをるによしなし。 ねがはくは目連もくれん尊者そんじゃなんつかはして、 われとあひまみえしめたまへ」 と。 このをなしをはりて悲泣ひきゅうるいして、 はるかにぶつかひてらいしたてまつる。 いまだこうべげざるあひだに

憔悴 やつれること。
威重 威徳が高く、 重々しいこと。

時韋提希、被↢幽閉↡已、愁憂憔悴。遥向↢耆闍崛山↡、為↠仏作↠礼、而作↢是言↡。如来世尊、在昔之時、恒遣↢阿難↡、来慰↢問我↡。我今愁憂。世尊威重、無↠由↠得↠見。願遣↢目連尊者阿難↡、与↠我相見。作↢是語↡已、悲泣雨涙、遥向↠仏礼。未↠挙↠頭頃、

世尊降臨

そのときそんしゃ崛山くっせんにましまして、 だいこころ所念しょねんろしめして、 すなはち大目犍連だいもくけんれんおよびなんしょくして、 そらよりきたらしめ、 ぶつしゃ崛山くっせんよりもっしておうでたまふ。 ときだいらいしをはりてこうべげ、 そん*しゃ牟尼むにぶつたてまつる。 しん*金色こんじきにして百宝ひゃっぽうれんしたまへり。 目連もくれんひだりはべり、 なんみぎにあり。 *しゃくぼん護世ごせ諸天しょてんくうのなかにありて、 あまねくてんあめふらしてもつてようしたてまつる

紫金色 紫金は紫磨しま黄金おうごんの略。えん檀金だんごんのこと。
釈梵護世の諸天 釈はたいしゃくてん、 梵は梵天ぼんてん、 護世の諸天は天王てんのうのこと。

爾時世尊、在↢耆闍崛山↡、知↢韋提希心之所念↡、即勅↢大目犍連及以阿難↡、従↠空而来、仏従↢耆闍崛山↡没、於↢王宮↡出。時韋提希、礼已挙↠頭、見↢世尊釈迦牟尼仏↡。身紫金色、坐↢百宝蓮華↡、目連侍↠左、阿難在↠右。釈梵護世諸天、在↢虚空中↡、暜雨↢天華↡、持用供養。

韋提傷歎

ときだいぶつそんたてまつりて、 みづから瓔珞ようらくち、 げてげ、 号泣ごうきゅうしてぶつかひてまうさく、 「そん、 われ宿むかし、 なんのつみありてか、 このあくしょうずる。 そんまた、 なんらの因縁いんねんましましてか、 だいだっとともに眷属けんぞくたる

時韋提希、見↢仏世尊↡、自絶↢瓔珞↡、挙↠身投↠地、号泣向↠仏、白言。世尊、我宿何罪生↢此悪子↡。世尊復有↢何等因縁↡、与↢提婆達多↡、共為↢眷属↡。

◎序分 ○発起序  欣浄縁

通請所求

【5】*やや、 ねがはくはそん、 わがためにひろのうなきところきたまへ。 われまさにおうじょうすべし。 *えんだい濁悪じょくあくをばねがはざるなり。

やや 相手に恭順きょうじゅんの意を示しつつ応諾する語。 「はい」 とか 「どうぞ」 にあたる。

唯願世尊、為↠我広説↧無↢憂悩↡処↥。我当↢往生↡。不↠楽↢閻浮提濁悪世↡也。

厭苦欣浄

この濁悪じょくあくところ*ごく餓鬼がき畜生ちくしょう*盈満ようまんし、 ぜんともがらおおし。 ねがはくは、 われらいあくこえかじ、 悪人あくにんじ。

地獄餓鬼畜生 これらを三悪趣さんまくしゅ (三悪道さんまくどう) という。

此濁悪処、地獄・餓鬼・畜生盈満、多↢不善聚↡。願我未来不↠聞↢悪声↡、不↠見↢悪人↡。

夫人懺悔

いまそんかひて、 *たいげ、 あわれみをもとめてさん

五体を地に投げ 両ひざ・両ひじ・額の五体を地につけて礼拝らいはいするという意。

今向↢世尊↡、五体投↠地求哀懴悔。

通請去行

やや、 ねがはくは*仏日ぶつにちわれにおしへて*清浄しょうじょう業処ごっしょかんぜしめたまへ」 と

仏日 釈尊を太陽に喩えた語。
清浄業処 清浄の業因ごういんによって報い現れた世界、 すなわち浄土のこと。

唯願仏日、教↠我観↢於清浄業処↡。

応請現土

そのときそんけんひかりはなちたまふ。 そのひかり金色こんじきなり。 あまねく十方じっぽうりょうかいらし、 かえりてぶついただきとどまりてしてこがねうてなとなる。 ˆそのかたちはˇ しゅせんのごとし。 十方じっぽう諸仏しょぶつ浄妙じょうみょうこく、 みななかにおいてげんず。 あるいはこくあり、 七宝しっぽう合成ごうじょうせり。 またこくあり、 もつぱらこれれんなり。 またこくあり、 *ざいてんのごとし。 またこくあり、 *玻はりきょうのごとし。 十方じっぽうこく、 みななかにおいてげんず。 かくのごときらのりょう諸仏しょぶつこくあり。 *厳顕ごんけんにしてつべし。 だいをしてせしめたまふ

自在天宮 欲界よくかいの天の最高処である他化たけざいてんの宮殿。 この天に生れた者は、 他の者がつくりだした欲望の対象を自在に受け用いて、 自分の楽とすることができるという。
玻瓈鏡 水晶でできた鏡。
厳顕 おごそかなありさまがはっきりと顕れていること。

爾時世尊、放↢眉間光↡。其光金色徧照↢十方無量世界↡、還住↢仏頂↡、化為↢金台↡。如↢須弥山↡。十方諸仏浄玅国土、皆於↠中現。或有↢国土↡、七宝合成。復有↢国土↡、純是蓮華。復有↢国土↡、如↢自在天宮↡。復有↢国土↡、如↢玻鏡↡。十方国土、皆於↠中現。有↢如↠是等無量諸仏国土↡。厳顕可↠観。令↢韋提希見↡。

別選所求

ときだいぶつにまうしてまうさく、 「そん、 このもろもろのぶつ、 また清浄しょうじょうにしてみなこうみょうありといへども、 われいま*極楽ごくらくかい*阿弥陀あみだぶつみもとしょうぜんことをねが

時韋提希、白↠仏言。世尊、是諸仏土、雖↣復清浄皆有↢光明↡、我今楽↠生↢極楽世界阿弥陀仏所↡。

別請去行

やや、 ねがはくはそんわれに*ゆいおしへたまへ、 われに*正受しょうじゅおしへたまへ」 と

唯願世尊、教↢我思惟↡、教↢我正受↡。

◎序分 ○発起序   散善顕行縁

光益父王

【6】 そのときそん、 すなはち微笑みしょうしたまふに、 しきひかりありてぶつくちよりづ。 一々いちいちひかりびんしゃいただきらす。 そのとき大王だいおう幽閉ゆうへいにありといへども心眼しんげんさわりなく、 はるかにそんたてまつりてめんをもってらいをなし、 ˆおうこころはˇ ねん増進ぞうしんして*阿那あなごん

爾時世尊、即便微笑、有↢五色光↡、従↢仏口↡出。一一光、照↢頻婆娑羅頂↡。爾時大王、雖↠在↢幽閉↡、心眼無↠障、遥見↢世尊↡、頭面作↠礼、自然増進、成↢阿那含↡。

去此不遠

【7】 そのときそんだいげたまはく、 「なんぢいま、 れりやいなや。 阿弥陀あみだぶつここることとおからず。 なんぢまさに*ねんして、 あきらかに*かのくに浄業じょうごうじょうじたまへるひとをかんずべしわれいまなんぢがためにひろ*もろもろのたとへをまたらい一切いっさいぼんの、 浄業じょうごうしゅせんとおもはんものをして西方さいほう極楽ごくらくこくしょうずることをしめん

繋念 心を一つの対象に集中すること。
かの国の… 「浄業成じたまへるひと」 は、 きよらかな行を完成して仏になった阿弥陀仏のこと。 延書底本には「かの国を観ずべし。 浄業成ずるものなり」とある。 この場合は浄土を観ずることによって往生の業因ごういんが成就するという意味になる。
もろもろの譬へ 以下に明かすじょうぜん十三観をいう。

爾時世尊、告↢韋提希↡。汝今知不。阿弥陀仏、去↠此不↠遠。汝当↣繋念諦観↢彼国浄業成者↡。我今為↠汝、広説↢衆譬↡、亦令↧未来世一切凡夫欲↠修↢浄業↡者、得↞生↢西方極楽国土↡。

三福

 かのくにしょうぜんとおもはんものは、 まさに*三福さんぷくしゅすべし。ひとつには父母ぶも孝養きょうようし、 師長しちょう奉事ぶじし、 しんにしてころさず、 *十善業じゅうぜんごうしゅす。 ふたつには*さんじゅし、 *衆戒しゅかいそくし、 *威儀いぎおかさず。 つには*だいしんおこし、 ふか*いんしんじ、 *大乗だいじょう読誦どくじゅし、 行者ぎょうじゃ*勧進かんじんす。 かくのごときのさんづけて浄業じょうごうとす」 と

十善業 じゅうぜんのこと。
衆戒 もろもろの戒め。 五戒、 八戒斎はっかいさい、 十戒、 そくかいなど。
威儀 規則にかなった正しい行い。
因果を信じ 善悪ぜんあく煩悩ぼんのうの因によって迷いの苦果を生じ、 善業ぜんごうの因によってさとりの果を得ると信じるという意。
大乗 大乗教典のこと。
勧進 人を勧めて仏道に入らしめること。

欲↠生↢彼国↡者、当↠修↢三福↡。一者孝↢養父母↡、奉↢事師長↡、慈心不↠殺、修↢十善業↡。二者受↢持三帰↡、具↢足衆戒↡、不↠犯↢威儀↡。三者発↢菩提心↡、信↢因果↡、読↢誦大乗↡、勧↢進行者↡。如↠此三事名為↢浄業↡。

引聖励凡

ぶつだいげたまはく、 「なんぢいま、 れりやいなや。 この三種さんしゅごうは、 過去かこらい現在げんざいさん諸仏しょぶつ*浄業じょうごうしょういんなり」 と

浄業の正因 三世の諸仏が、 仏となるために修行したきよらかな行いを浄業といい、 それがさとりを得るためのまさしき種であることを正因という。

仏告↢韋提希↡。汝今知不。此三種業、過去・未来・現在三世諸仏浄業正因。

◎序分 ○発起序  定善示観縁

勅聴許説

【8】 ぶつなんおよびだいげたまはく、 「あきらかにけ、 あきらかにけ、 よくこれを思念しねんせよ。 如来にょらい、 いまらい一切いっさいしゅじょうの、 煩悩ぼんのうぞくのためにがいせらるるもののために、 清浄しょうじょうごうかん。 いかなだいこころよくこのへり

仏告↢阿難及韋提希↡。諦聴諦聴、善思↢念之↡。如来今者、為↧未来世一切衆生為↢煩悩賊↡之所↠害者↥、説↢清浄業↡。善哉韋提希、快問↢此事↡。

勧持勧説

なん、 なんぢまさにじゅして、 ひろしゅのためにぶつ宣説せんぜつすべし。

阿難、汝当↧受持広為↢多衆↡宣↦説仏語↥。

勧修得益

如来にょらい、 いまだいおよびらい一切いっさいしゅじょうおしへて西方さいほう極楽ごくらくかいかんぜしむ。 仏力ぶつりきをもつてのゆゑに、 まさにかの清浄しょうじょうこくること、 明鏡みょうきょうりてみづから面像めんぞうるがごとくなるをべし。 かのこく極妙ごくみょうらくて、 しんかんするがゆゑに、 ときおうじてすなはち*無生法忍むしょうぼうにんん」 と

如来今者、教↢韋提希及未来世一切衆生↡、観↢於西方極楽世界↡。以↢仏力↡故、当↠得↫見↢彼清浄国土↡、如↪執↢明鏡↡自見↩面像↨。見↢彼国土極玅楽事↡、心歓喜故、応↠時即得↢無生法忍↡。

韋提実凡

ぶつだいげたまはく、 「なんぢはこれぼんなり。 *心想しんそう羸劣るいれつにしていまだ*天眼てんげんざれば、 とおることあたはず。 諸仏しょぶつ如来にょらい*方便ほうべんましまして、 なんぢをしてることをしむ」 と

心想羸劣 心が弱く劣っていること。
異の方便 特別な方法手段。 じょうぜん十三観のこと。

仏告↢韋提希↡。汝是凡夫、心想羸劣、未↠得↢天眼↡、不↠能↢遠観↡。諸仏如来、有↢異方便↡、令↢汝得↟見。

韋提為物

ときだいぶつにまうしてまうさく、 「そん、 わがごときは、 いま仏力ぶつりきをもつてのゆゑにかのこくる。 もし仏滅ぶつめつもろもろの衆生等しゅじょうとう濁悪じょくあくぜんにして*五苦ごくめられん。 いかんしてか、 まさにぶつ極楽ごくらくかいたてまつるべき」 と

時韋提希、白↠仏言。世尊、如↠我今者以↢仏力↡故、見↢彼国土↡。若仏滅後諸衆生等、濁悪不善五苦所↠逼。云何当↠見↢阿弥陀仏極楽世界↡。

正宗分 定善  日観

【9】 ぶつだいげたまはく、 「なんぢおよびしゅじょうまさにこころをもつぱらにしおもい一処いっしょけて、 西方さいほうおもふべし

仏告↢韋提希↡。汝及衆生応↧当専↠心、繋↢念一処↡、想↦於西方↥。

いかんが*そうをなす。 おほよそそうをなすといふは、 一切いっさいしゅじょう*生盲しょうもうにあらざるよりは、 もくともがら、 みな日没にちもつよ。 まさに想念そうねんおこし、 正坐しょうざ西向さいこうし、 あきらかにかんじ、 こころをして*堅住けんじゅうならしめ、 専想せんそうしてうつらざれば、 もっせんとほっして、 かたちつづみけたるがごとくなるをるべし。 すでにることおわらば、 閉目へいもく開目かいもくに、 みな明了みょうりょうならしめよ

生盲 →補註14
堅住 かたくとどまって、 動揺しないこと。

云何作↠想。凡作↠想者、一切衆生、自↠非↢生盲↡、有目之徒、皆見↢日没↡。当↧起↢想念↡、正坐西向、諦観↦於日↥。令↢心堅住専想不移↡、見↢日欲↠没状如↟懸↠鼓。既見↠日已、閉目開目、皆令↢明了↡。

これを日想にっそうとし、 づけてはじめのかんといふ

是為↢日想↡、名↢曰初観↡。

◎正宗分 ○定善  水観

【10】つぎ水想すいそうをなせ。 みず*澄清ちょうしょうなるをて、 また明了みょうりょうにして分散ふんさんこころなからしめよ

次作↢水想↡。見↢水澂清↡、亦令↣明了無↢分散意↡。

氷想

すでにみずをはりなば、 まさに氷想ひょうそうおこすべし。 こおり*映徹ようてつせるを*瑠璃るりそうをなせ

瑠璃 青色の宝石。 →七宝しっぽう

既見↠水已、当↠起↢冰想↡。見↢冰映徹↡、作↢瑠璃想↡。

瑠璃想

このそうじょうじをはりて、 瑠璃地るりじない映徹ようてつせるを

此想成已、見↢瑠璃地内外映徹↡。

した金剛こんごう七宝しっぽうこがねはたぼこ<