仏説無量寿経ぶっせつむりょうじゅきょう 巻上かんじょう

*そう*天竺てんじくの*三蔵さんぞう*康僧鎧こうそうがいのやく

曹魏 三国時代の魏 (220-265) の別称。 王室の姓をとって曹魏と呼ぶ。
三蔵 →三蔵さんぞう

序分 証信序(聞信時主処成就)

【1】 われきたてまつりき、 かくのごとく。 ひとときぶつ*王舎城おうしゃじょう*しゃ崛山くっせんのうちにじゅうしたまひき

我聞如↠是。一時仏、住↢王舎城耆闍崛山中↡、

◎序分 ○証信序(衆成就)  声聞衆

*だい比丘びくしゅうまんせんにんともなりき。 一切いっさい大聖だいしょうにして、 *神通じんずうすでにたっせり

大比丘の衆 大いなる比丘の集まり。 後に列挙する菩薩衆に対すれば声聞衆しょうもんしゅである。

与↢大比丘衆万二千人↡倶。一切大聖神通已達。

そのをば、 尊者そんじゃ*了本際りょうほんざい尊者そんじゃ*正願しょうがん尊者そんじゃ*正語しょうご尊者そんじゃ*大号だいごう尊者そんじゃ*仁賢にんげん尊者そんじゃ*離垢りく尊者そんじゃ*名聞みょうもん尊者そんじゃ*善実ぜんじつ尊者そんじゃ*そく尊者そんじゃ*おう尊者そんじゃ*優楼うるびん迦葉かしょう尊者そんじゃ*伽耶がや迦葉かしょう尊者そんじゃ*だい迦葉かしょう尊者そんじゃ*摩訶まか迦葉かしょう尊者そんじゃ*しゃほつ尊者そんじゃ*大目だいもく犍連けんれん尊者そんじゃ*劫賓那こうひんな尊者そんじゃ*大住だいじゅう尊者そんじゃ*大浄志だいじょうし尊者そんじゃ*摩訶まかしゅ尊者そんじゃ*満願まんがん尊者そんじゃ*離障りしょう尊者そんじゃ*かん尊者そんじゃ*堅伏けんぶく尊者そんじゃ*面王めんのう尊者そんじゃ*異乗いじょう尊者そんじゃ*仁性にんしょう尊者そんじゃ*らく尊者そんじゃ*善来ぜんらい尊者そんじゃ*うん尊者そんじゃ*なんといひき

其名曰↢尊者了本際・尊者正願・尊者正語・尊者大号・尊者仁賢・尊者離垢・尊者名聞・尊者善実・尊者具足・尊者牛王・尊者優楼頻蠃迦葉・尊者伽耶迦葉・尊者那提迦葉・尊者摩訶迦葉・尊者舎利弗・尊者大目犍連・尊者劫賓那・尊者大住・尊者大浄志・尊者摩訶周那・尊者満願子・尊者離障・尊者流潅・尊者堅伏・尊者面王・尊者異乗・尊者仁性・尊者嘉楽・尊者善来・尊者羅云・尊者阿難↡。

みなこれらのごとき*上首じょうしゅたるものなり

上首 教団の最上位にあるものをいう。

皆如↠斯等上首者也。

◎序分 ○証信序(衆成就)  菩薩衆

 また*大乗だいじょうのもろもろの*さつともなりき

又与↢大乗衆菩薩↡倶。

1. 出家菩薩

*げんさつ*妙徳みょうとくさつ慈氏じしさつ*弥勒)とうの、 この*賢劫げんごうのなかの一切いっさいさつ

妙徳菩薩 文殊もんじゅ師利しり菩薩のこと。

暜賢菩薩・玅徳菩薩・慈氏菩薩等此賢劫中一切菩薩、

2. 在家菩薩

またげんとう十六じゅうろく*正士しょうじぜん思議しぎさつしんさつくうさつ神通じんずうさつ光英こうようさつ慧上えじょうさつどうさつ寂根じゃくこんさつがんさつ香象こうぞうさつ宝英ほうようさつ中住ちゅうじゅうさつ制行せいぎょうさつだつさつなり

正士 正道を求めるだいさつのこと。

又賢護等十六正士、善思議菩薩・信慧菩薩・空無菩薩・神通華菩薩・光英菩薩・慧上菩薩・智幢菩薩・寂根菩薩・願慧菩薩・香象菩薩・宝英菩薩・中住菩薩・制行菩薩・解脱菩薩。

◎序分 ○証信序(衆成就)  八相化儀

【2】 みな*げんだいとくしたがへり。 もろもろのさつりょう*行願ぎょうがんし、 一切いっさいどくほう安住あんじゅうす。 十方じっぽう遊歩ゆぶして*権方便ごんほうべんぎょうじ、 *仏法蔵ぶっぽうぞうりて*がん究竟くきょうし、 りょうかいにおいて*等覚とうがくじょうずることをげんじたまふ

普賢大士の徳に遵へり 普賢菩薩のように、 慈悲行を実践するという意。
行願 菩薩の修する四摂ししょう・六度等の行と四弘誓願しぐぜいがん・十大願等の願。
仏法蔵 真如しんにょほっしょうのこと。
等覚 →等覚とうがく

皆遵↢暜賢大士之徳↡、具↢諸菩薩無量行願↡、安↢住一切功徳之法↡。遊↢歩十方↡、行↢権方便↡、入↢仏法蔵↡、究↢竟彼岸↡、於↢無量世界↡、現↠成↢等覚↡。

1. 降兜率相・託胎相

*兜率天とそつてんしょして*しょうぼう*せんし、 かのてんてて*じんたいくだ

 神識じんしき。 こころ。

処↢兜率天↡、弘↢宣正法↡、捨↢彼天宮↡、降↢神母胎↡、

2. 出胎相

右脇うきょうよりしょうじてしちくことをげんず。 *こうみょう*顕耀けんようにして、 あまねく*十方じっぽうらし、 りょうぶつは、 *六種ろくしゅ震動しんどうす。 こえげてみづからとなふ、 「われまさににおいて無上尊むじょうそんとなるべし」 と。 *しゃくぼん奉侍ぶじし、 てんにん*ごう

釈梵 帝釈天たいしゃくてん梵天ぼんてん

従↢右脇↡生、現↠行↢七歩↡。光明顕曜暜照↢十方↡、無量仏土、六種震動。挙↠声自称、吾当↣於↠世為↢無上尊↡。釈梵奉侍、天人帰仰。

3. 処宮相

さん文芸もんげい*しゃげんして、 ひろ*道術どうじゅつならひ、 *群籍ぐんじゃく*貫練かんれんしたまふ。 おんあそびてこうげいこころみる。 宮中くちゅう*しきのあひだにしょすることをげん

色味 五欲 (しきしょうこうそくを対象とする欲) の中の二つを挙げて、 欲望を代表的に示す。

示↢現算計・文芸・射御↡、博↢綜道術↡、貫↢練羣籍↡。遊↢於後園↡、講↠武試↠芸。現↠処↢宮中色味之間↡、

4. 出家相

老病死ろうびょうし*非常ひじょうさとる。 くにざいくらいててやまりてどうがくす。 服乗ぶくじょう白馬びゃくめ宝冠ほうかん*瓔珞ようらく、 これをつかはしてかえさしむ。 珍妙ちんみょうころもてて法服ほうぶくちゃくし、 鬚髪しゅほつ剃除たいじょし、 じゅたんし、 ごんすること六年ろくねんぎょう*所応しょおうのごとくまします

見↢老・病・死↡、悟↢世非常↡、棄↢国財位↡、入↠山学↠道。服乗白馬・宝冠・瓔珞、遣↠之令↠還、捨↢珍玅衣↡、而著↢法服↡、剃↢除鬚髪↡、端↢坐樹下↡。勤苦六年、行如↢所応↡。

5. 降魔相

*五濁ごじょく*せつげんじて*群生ぐんじょう随順ずいじゅんす。 塵垢じんくありとしめして*こん沐浴もくよくす。 てんえだおさへていけよりづることをしむ。 *霊禽りょうきん*翼従よくじゅうして*道場どうじょう往詣おうげいす。 *吉祥きっしょう*感徴かんちょうして*こう*表章ひょうしょうす。 あわれんでそうけて仏樹ぶつじゅもとき、 *跏趺かふしてす。 大光明だいこうみょうふるつて、 *らしむ。 *官属かんぞくひきゐて、 きたりてこころみる。 せいするにりきをもつてして、 みな*降伏ごうぶくせしむ

非常 無常に同じ。 常ならざること。
金流 清流。 釈尊の場合では、 ブッダガヤー(Buddha- gayā)に近いナイランジャナー(Nairañjanā)河を指す。
霊禽 霊鳥。 不思議な鳥。
翼従 両翼のように左右に従うこと。
吉祥 仏陀のじょうどうに際し、 草を捧げた童子の名。 その草も吉祥という。
感徴 仏が成道するという奇端きずいを感得すること。
功祚 仏のさとり。 仏果。 修行のどくによって成仏したことをたたえていう語。
跏趺して坐す けっ跏趺坐かふざのこと。
官属 一族の者。 配下の者。

現↢五濁刹↡、随↢順羣生↡、示↠有↢塵垢↡、沐↢浴金流↡。天按↢樹枝↡、得↢攀出↟池。霊禽翼従、往↢詣道場↡、吉祥感徴、表↢章功祚↡。哀受↢施艸↡、敷↢仏樹下↡、跏趺而坐。奮↢大光明↡、使↢魔知↟之。魔率↢官属↡、而来逼試。制以↢智力↡、皆令↢降伏↡。

6. 成道相

微妙みみょうほう最正覚さいしょうがく

得↢微玅法↡、成↢最正覚↡。

7. 転法輪相

しゃくぼんかんして*転法輪てんぽうりんしょうず。 ˆじょうどうせられしさつはˇ ぶつ遊歩ゆぶをもつてし、 ぶつをもつてす。 ほうたたき、 ほうき、 法剣ほうけんり、 *法幢ほうどうて、 法雷ほうらいふるひ、 法電ほうでんかがやかし、 ほうそそぎ、 ほうぶ。 つねに法音ほうおんをもつて、 もろもろの*けんかくせしむ。 こうみょう、 あまねくりょうぶつらし、 一切いっさいかい六種ろくしゅ震動しんどうす。 そうじてかいせっし、 殿でんどうず。 しゅ*慴怖しょうふしてぶくせざるはなし。 邪網じゃもう*掴裂かくれつし、 *諸見しょけん消滅しょうめつし、 もろもろの*塵労じんろうさんじ、 もろもろの*欲塹よくぜんやぶる。 法城ほうじょうごんして法門ほうもん開闡かいせんす。 垢汚くお洗濯せんじょくして清白しょうびゃく顕明けんみょうす。 仏法ぶっぽうこうし、 正化しょうけせんす。 くにりて*ぶんして、 もろもろのぜんどくたくわへしめ、 *福田ふくでんしめす。 ほうべんとほっして欣笑ごんしょうげんず。 もろもろの法薬ほうやくをもつて*さん救療くりょうし、 *どうりょうどく顕現けんげんす。 さつ*さずけ、 *等正覚とうしょうがくらしむ

転法輪 仏が教法の輪を転ずること。
法幢 真理の旗。
諸見 もろもろの悪い見解。
分衛 梵語ピンダ・パータ(piņđa-pāta)の音写。 こつじき・托鉢の意。
道意 →だいしん
等正覚 等覚とうがく❶のこと。

釈梵祈勧、請↠転↢法輪↡。以↢仏遊歩↡、仏吼而吼。扣↢法鼓↡、吹↢法蠃↡、執↢法劒↡、建↢法幢↡、震↢法雷↡、曜↢法電↡、澍↢法雨↡、演↢法施↡、常以↢法音↡覚↢諸世間↡。光明暜照↢無量仏土↡、一切世界、六種震動。総摂↢魔界↡、動↢魔宮殿↡。衆魔慴怖、莫↠不↢帰伏↡。掴↢裂邪網↡、消↢滅諸見↡、散↢諸塵労↡、壊↢諸欲塹↡。厳↢護法城↡、開↢闡法門↡。洗↢濯垢汙↡、顕↢明清白↡。光↢融仏法↡、宣↢流正化↡。入↠国分衛、獲↢諸豊膳↡、貯↢功徳↡、示↢福田↡。欲↠宣↠法現↢欣笑↡。以↢諸法薬↡、救↢療三苦↡。顕↢現道意無量功徳↡、授↢菩薩記↡、成↢等正覚↡。

8. 入涅槃相

*めつげんすれども、 *拯済じょうさいすることきわまりなし。 *しょ消除しょうじょして、 もろもろの*徳本とくほんゑ、 *どくそくせしむること、 微妙みみょうにしてはかりがたし

諸漏 もろもろの煩惱。

示↢現滅度↡、拯済無↠極。消↢除諸漏↡、植↢衆徳本↡、具↢足功徳↡、微玅難↠量。

◎序分 ○証信序(衆成就)  重列諸徳

1. 遊化諸仏国

諸仏しょぶつくにあそびてあまねく*道教どうきょうげんず。 その修行しゅぎょうするところ、 清浄しょうじょうにしてなし。 たとへばげんのもろもろのぞうげんじて、 おとことなし、 おんなとなして、 へんぜざるところなく、 *本学ほんがく明了みょうりょうにして*こころしょにあるがごとし。 このもろもろのさつ、 またまたかくのごとし。 一切いっさいほうがくして*貫綜かんそうれんす。 *所住安諦しょじゅうあんたいにしていたさざることなし。 しゅぶつにみなことごとくあまねくげんず。 いまだかつて*まんせず。 しゅじょう*愍傷みんしょうす。 かくのごときのほう一切いっさいそくせり。 さつ経典きょうてん要妙ようみょう*究暢くちょうし、 名称みょうしょうあまねくいたりて十方じっぽう*どうす。 りょう諸仏しょぶつ、 ことごとくともにねんしたまふ。 *ぶつ所住しょじゅうは、 みなすでにじゅうすることをたり。 *大聖だいしょう所立しょりゅうは、 しかもみなすでにりゅうす。 如来にょらいどうは、 おのおのよくせんして、 もろもろのさつのために、 しかもだいとなる。 甚深じんじん*ぜんをもつて衆人しゅにん開導かいどうす。 *諸法しょほうしょうさとり、 しゅじょうそうたっせり。 あきらかに諸国しょこくさとりて諸仏しょぶつようしたてまつる。 そのげんすること、 なほ*電光でんこうのごとし

道教 仏道の教え。
本学 幻師 (幻術者) の学問を指す。
貫綜縷練 徹底的に学び通達すること。
所住安諦 学んだ教えの上に心を落ち着かせて、 安らかになること。
仏の所住 仏のそなえるどく
大聖の所立 大聖は仏のこと。 仏の清浄しょうじょうな行い。
禅慧 禅定ぜんじょう智慧ちえ
諸法の性 あらゆる存在の本性。

遊↢諸仏国↡、暜現↢道教↡。其所↢修行↡、清浄無穢。譬如↧幻師現↢衆異像↡、為↠男為↠女、無↠所↠不↠変、本学明了、在↦意所為↥。此諸菩薩、亦復如↠是。学↢一切法↡、貫綜縷練、所住安諦、靡↠不↠致↠化。無数仏土、皆悉暜現。未↢曽慢恣↡、愍↢傷衆生↡。如↠是之法、一切具足。菩薩経典、究↢暢要玅↡、名称暜至、導↢御十方↡。無量諸仏、咸共護念。仏所住者、皆已得↠住、大聖所立、而皆已立。如来導化、各能宣布、為↢諸菩薩↡、而作↢大師↡、以↢甚禅慧↡、開↢導衆人↡。通↢諸法性↡、達↢衆生相↡。明了↢諸国↡、供↢養諸仏↡。化↢現其身↡、猶如↢電光↡。

2. 菩薩自利

よく*無畏むいもうがくして、 あきらかに*げんほうりょうす。 *もうれつし、 もろもろの*纏縛てんばくく。 *しょうもん*縁覚えんがく超越ちょうおつして、 *くうそうがん三昧ざんまいたり。 よく*方便ほうべんりゅうして*三乗さんじょうけんす。 この*中下ちゅうげにおいて、 しかもめつげんずれども、 またしょなく、 またしょなし。 不起ふきめつにして平等びょうどうほうたり。 りょう*そう百千ひゃくせん*三昧さんまいそく成就じょうじゅす。 *諸根しょこん智慧ちえ*こう寂定じゃくじょうにして、 ふかさつ法蔵ほうぞうり、 *仏華厳三昧ぶつけごんざんまい一切いっさい経典きょうてん*宣暢せんちょう演説えんぜつす。 深定門じんじょうもんじゅうして、 ことごとく現在げんざいりょう諸仏しょぶつたてまつること、 一念いちねんのあひだに周遍しゅうへんせざることなし

無畏 →無畏むい
幻化の法 すべての事物は因縁いんねんによって生起したもので、 それ自身に固有な本性がないから幻のようである、 という道理。
纏縛 煩惱ぼんのうの異名。
空無相無願三昧 →さんだつもん
中下 縁覚えんがくしょうもん
諸根智慧 一切しゅじょうの素質能力を知りわける智慧。
広普寂定 菩薩が無量の法門を説法するよりどころとなる禅定ぜんじょう
仏華厳三昧 広普寂定の異名。

善学↢無畏之網↡、暁了↢幻化之法↡。壊↢裂魔網↡、解↢諸纏縛↡。超↢越声聞・縁覚之地↡、得↢空・無相・無願三昧↡。善立↢方便↡、顕↢示三乗↡、於↢此中下↡、而現↢滅度↡。亦無↢所作↡、亦無↢所有↡。不起不滅、得↢平等法↡。具↢足成↣就無量総持、百千三昧↡。諸根智慧、広暜寂定、入↢菩薩法蔵↡、得↢仏華厳三昧↡、宣↢暢演↣説一切経典↡。住↢定門↡、悉覩↢現在無量諸仏↡。一念之頃、無↠不↢周徧↡。

3. 菩薩利他

もろもろの*劇難ぎゃくなんと、 もろもろの*げんげんとをすくひて、 真実しんじつさい分別ふんべつけんす。 もろもろの如来にょらい*弁才べんざい、 もろもろの言音ごんのんさとりて一切いっさいかいす。 けんのもろもろの*しょほう超過ちょうかして、 こころつねにあきらかに度世どせどうじゅうす。 一切いっさい万物まんもつにおいて、 しかもずいざいなり。 もろもろの*庶類しょるいのために*不請ふしょうともとなる。 群生ぐんじょう荷負かぶしてこれを重担じゅうたんとす。 如来にょらい甚深じんじん法蔵ほうぞう*じゅし、 *仏種性ぶっしゅしょうまもりて、 つねにえざらしむ。 だいおこしてしゅじょうあわれみ、 べんべ、 *法眼ほうげんさずく。 *三趣さんしゅふさぎ、 善門ぜんもんひらく。 不請ふしょうほうをもつてもろもろの*黎庶れいしょほどこすこと、 純孝じゅんきょう父母ぶも愛敬あいきょうするがごとし。 もろもろのしゅじょうにおいてそなはすこと、 自己じこのごとし。 一切いっさい*善本ぜんぽんみながんす。 ことごとく諸仏しょぶつりょうどく智慧ちえ聖明しょうみょうなること不可思議ふかしぎなり

劇難 八難処の中で痛苦の最も劇しい三悪趣さんまくしゅをいう。
閑と不閑 苦悩が薄くて仏道を求めるのに暇のある者と、 ひどく苦に迫られて仏道を求める暇のない者。
弁才の智 →四無碍智しむげち
所有の法 有為ういほう。 迷いによって現れたあらゆる世間の事柄。
庶類 しゅじょうのこと。
不請の友 衆生が請願しなくとも、 衆生のために大いなる慈しみをもってその親友となる人。
仏種性 一切衆生が本来的にもっている仏性ぶっしょうのこと。
黎庶 衆生のこと。

済↢諸劇難諸閑不閑↡、分↢別顕↣示真実之際↡、得↢諸如来弁才之智↡、入↢衆言音↡、開↢化一切↡。超↢過世間諸所有法↡、心常諦住↢度世之道↡。於↢一切万物↡、而随意自在。為↢諸庶類↡、作↢不請之友↡、荷↢負羣生↡、為↢之重担↡。受↢持如来甚法蔵↡、護↢仏種性↡、常使↠不↠絶。興↢大悲↡、愍↢衆生↡、演↢慈弁↡、授↢法眼↡。杜↢三趣↡、開↢善門↡、以↢不請之法↡、施↢諸黎庶↡、如↣純孝之子愛↢敬父母↡。於↢諸衆生↡、視若↢自己↡。一切善本、皆度↢彼岸↡、悉獲↢諸仏無量功徳↡。智慧聖明不可思議。

4. 総結

かくのごときらのさつだい*称計しょうげすべからず、 いちらい

如↠是之等菩薩大士、不↠可↢称計↡。一時来会。

◎序分 発起序  五徳瑞現

【3】 そのときに、 *そん*諸根しょこんえつし、 姿しき清浄しょうじょうにして*光顔こうげん巍々ぎぎとまします

諸根悦予 諸根は眼・耳・鼻・舌・身の五根 (五種の感覚器官)、 悦予はよろこぶこと。
光顔巍々 光り輝く顔が気高くすぐれているさま。

爾時世尊、諸根悦予、姿色清浄、光顔巍巍。

尊者そんじゃなんぶつ聖旨しょうしけてすなはちよりちて、 *ひとへにみぎかたかたぬぎ、 長跪じょうき合掌がっしょうして、 ぶつにまうしてまうさく、 今日こんにちそん諸根しょこんえつし、 姿しき清浄しょうじょうにして光顔こうげん巍々ぎぎとましますこと、 *明浄みょうじょうなるかがみかげ表裏ひょうりとおるがごとし。 よう*顕曜けんようにして超絶ちょうぜつしたまへることりょうなり。 いまだかつて*せんせず、 殊妙しゅみょうなることいまのごとくましますをば

ひとへに…長跪合掌して 衣の右肩をはだ脱ぎ、 両膝を地につけ両足指を地に立てて合掌して。
明浄なる鏡…ごとし 底本延書には「あきらかなる鏡、 浄き影表裏に暢るがごとし」とある。
瞻覩 仰ぎみること。

尊者阿難、承↢仏聖旨↡、即従↠座起、偏袒右肩、長跪合掌而白↠仏言。今日世尊、諸根悦予、姿色清浄、光顔巍巍、如↣明浄鏡影暢↢表裏↡。威容顕曜超絶無量。未↢曽瞻都↡殊玅如↠今。

五徳瑞現

*やや、 しかなり。 大聖だいしょう、 われこころ念言ねんごんすらく今日こんにち*そん*どくほうじゅうしたまへり今日こんにち*おう*ぶつ所住しょじゅうじゅうしたまへり今日こんにち*げん*どうぎょうじゅうしたまへり今日こんにち*よう*最勝さいしょうどうじゅうしたまへり今日こんにち*天尊てんそん*如来にょらいとくぎょうじたまへり

ややしかなり 相手に恭順の意を示しつつ応諾する語。「はい、 そうです」と仏の聖旨しょうしに随順するという意。

唯然、大聖、我心念言、今日世尊住↢奇特法↡、今日世雄住↢仏所住↡、今日世眼住↢導師行↡、今日世英住↢最勝道↡、今日天尊行↢如来徳↡。

仏仏相念

来現らいげんぶつぶつぶつとあひねんじたまふ。 いまのぶつ諸仏しょぶつねんじたまふことなきことをんや。 なんがゆゑぞ、 じん光々こうこうたることいまし、 しかるや」 と

去・来・現仏、仏仏相念。得↠無↣今仏念↢諸仏↡耶。何故威神光、光乃爾。

ここにおいてそんなんげてのたまはく、 「いかんぞなん諸天しょてんのなんぢをおしへてぶつきたはしむるか。 みづからけんをもつてげんへるか」 と

於↠是世尊、告↢阿難↡曰。云何阿難、諸天教↠汝来問↠仏耶、自以↢慧見↡、問↢威顔↡乎。

なんぶつにまうさく、 「諸天しょてんきたりてわれをおしふるものあることなし。 みづから所見しょけんをもつてこのひたてまつるのみ」 と

阿難白↠仏。無↠有↢諸天来教↠我者↡。自以↢所見↡、問↢斯義↡耳。

ぶつのたまはく、 「いかななんへるところはなはだこころよし。 ふか智慧ちえ真妙しんみょう弁才べんざいおこし、 しゅじょう*愍念みんねんせんとしてこの*慧義えぎへり

慧義 智慧によってのみ知ることができる意義。 すなわち、 仏の五徳瑞現の理由。

仏言。善哉阿難、所↠問甚快、発↢智慧、真玅弁才↡、愍↢念衆生↡、問↢斯慧義↡。

◎序分 ○発起序  出世本懐

如来にょらい*がいだいをもつて*三界さんがい*矜哀こうあいしたまふ。 出興しゅっこうするゆゑは、 *道教どうきょう光闡こうせんして*群萌ぐんもうすくめぐむに*真実しんじつをもつてせんとおぼしてなり

無蓋の大悲 いかなるものにもおおい隠されることのない無上の大慈悲心。
道教を光闡して 仏道の教えを広く説きのべて。
真実の利 真実のやく。 阿弥陀仏の本願みょうごうによって得る利益をいう。

如来以↢無葢大悲↡矜↢哀三界↡。所↣以出↢興於世↡、光↢闡道教↡、欲↧拯↢羣萌↡恵以↦真実之利↥。

りょうおく*こうにもひがたくたてまつりがたきこと、 なほ*霊瑞れいずいの、 ときありて、 ときにいましづるがごとし、 いまへるところは、 *饒益にょうやくするところおおし。 一切いっさい諸天しょてん人民にんみんかい

饒益 他を利益すること。

無量億劫難↠値難↠見、猶↢霊瑞華時時乃出↡。今所↠問者多↠所↢饒益↡、開↢化一切諸天人民↡。

なん、 まさにるべし、 如来にょらい*しょうがくは、 そのはかりがたくして、 ˆしゅじょうをˇ *どうするところおおし。 *けん無礙むげにして、 よく*あつぜつすることなし。 *一餐いちざんちからをもつて、 よく寿命じゅみょうとどめたまふこと、 億百千劫おくひゃくせんごうしゅりょうにして、 またこれよりもぎたまへり。 諸根しょこんえつしてもつて*そんせず。 姿しきへんぜず、 光顔こうげんことなることなし。 ゆゑはいかん。 如来にょらいは、 *じょう*究暢くちょうしたまへることきわまりなし。 一切いっさいほうにおいてざいたまへり

慧見無碍 仏の智慧ちえが自在であること。
遏絶 さえぎりとどめること。
一餐 一度の食事。
定と慧 禅定ぜんじょう (三昧さんまい) と智慧ちえ

阿難当↠知、如来正覚其智難↠量、多↠所↢導御↡。慧見無礙、無↢能遏絶↡。以↢一飡之力↡能住↢寿命↡億百千劫無数無量、復過↢於此↡。諸根悦予、不↢以毀損↡、姿色不↠変、光顔無↠異。所以者何。如来定慧究暢無↠極、於↢一切法↡而得↢自在↡。

なん、 あきらかにけ、 いまなんぢがためにかん」 と。 こたへてまうさく、 「やや、 しかなり。 *願楽がんぎょうしてきたてまつらんとおもふ」 と

阿難諦聴、今為↠汝説。対曰。唯然、願楽欲↠聞。

正宗分 法蔵発願  発願因縁

五十三仏

【4】 ぶつなんげたまはく、 「*乃往ないおう過去かこおんりょう不可思議ふかしぎ*央数おうしゅこうに、 *錠光じょうこう如来にょらい興出こうしゅつしてりょうしゅじょう教化きょうけ*だつして、 みなどうしめてすなはちめつりたまひき

乃往 昔。 過去。
度脱 さいに同じ。 迷いの世界からさとりの世界へ導き入れること。

仏告↢阿難↡。乃往過去久遠無量不可思議無央数劫、錠光如来、興↢出於世↡、教↢化度↣脱無量衆生↡、皆令↠得↠道、乃取↢滅度↡。

つぎ如来にょらいましましき、 をば光遠こうおんといふ。 つぎをば月光がっこうづく。 つぎをば栴檀香せんだんこうづく。 つぎをば善山王ぜんせんのうづく。 つぎをば須弥天冠しゅみてんがんづく。 つぎをば須弥等曜しゅみとうようづく。 つぎをば月色がっしきづく。 つぎをば正念しょうねんづく。 つぎをば離垢りくづく。 つぎをば無著むじゃくづく。 つぎをば龍天りゅうてんづく。 次をば夜光やこうづく。 つぎをば安明頂あんみょうちょうづく。 つぎをば不動地ふどうじづく。 つぎをば瑠璃るり妙華みょうけづく。 つぎをば瑠璃るり金色こんじきづく。 つぎをば金蔵こんぞうづく。 つぎをば焔光えんこうづく。 つぎをば焔根えんこんづく。 つぎをば地動じどうづく。 つぎをば月像がつぞうづく。 つぎをば日音にっとんづく。 つぎをば解脱華げだつけづく。 つぎをば荘厳光明しょうごんこうみょうづく。 つぎをば海覚神通かいかくじんずうづく。 つぎをば水光すいこうづく。 つぎをば大香だいこうづく。 つぎをば離塵垢りじんくづく。 つぎをば捨厭意しゃえんにづく。 つぎをば宝焔ほうえんづく。 つぎをば妙頂みょうちょうづく。 つぎをば勇立ゆうりゅうづく。 つぎをば功徳持慧くどくじえづく。 つぎをば蔽日月光へいにちがっこうづく。 つぎをば日月にちがつ瑠璃るりこうづく。 つぎをば無上むじょう瑠璃るりこうづく。 つぎをば最上首さいじょうしゅづく。 つぎをば菩提華ぼだいけづく。 つぎをば月明がつみょうづく。 つぎをば日光にっこうづく。 つぎをば華色王けしきおうづく。 つぎをば水月光すいがっこうづく。 つぎをば除痴瞑じょちみょうづく。 つぎをば度蓋行どがいぎょうづく。 つぎをば浄信じょうしんづく。 つぎをば善宿ぜんしゅくづく。 つぎをばじんづく。 つぎをば法慧ほうえづく。 つぎをば鸞音らんのんづく。 つぎをば無上むじょう師子音ししおんづく。 つぎをば龍音りゅうおんづく。 つぎをば処世しょせづく

次有↢如来↡、名曰↢光遠↡。次名↢月光↡、次名↢栴檀香↡、次名↢善山王↡、次名↢須弥天冠↡、次名↢須弥等曜↡、次名↢月色↡、次名↢正念↡、次名↢離垢↡、次名↢無著↡、次名↢龍天↡、次名↢夜光↡、次名↢安明頂↡、次名↢不動地↡、次名↢瑠璃玅華↡、次名↢瑠璃金色↡、次名↢金蔵↡、次名↢燄光↡、次名↢燄根↡、次名↢地動↡、次名↢月像↡、次名↢日音↡、次名↢解脱華↡、次名↢荘厳光明↡、次名↢海覚神通↡、次名↢水光↡、次名↢大香↡、次名↢離塵垢↡、次名↢捨厭意↡、次名↢宝燄↡、次名↢玅頂↡、次名↢勇立↡、次名↢功徳持慧↡、次名↢蔽日月光↡、次名↢日月瑠璃光↡、次名↢無上瑠璃光↡、次名↢最上首↡、次名↢菩提華↡、次名↢月明↡、次名↢日光↡、次名↢華色王↡、次名↢水月光↡、次名↢除痴瞑↡、次名↢度葢行↡、次名↢浄信↡、次名↢善宿↡、次名↢威神↡、次名↢法慧↡、次名↢鸞音↡、次名↢師子音↡、次名↢龍音↡、次名↢処世↡。

かくのごときの諸仏しょぶつ、 みなことごとくすでにぎたまへり

如↠此諸仏、皆悉已過。

・ 所値師仏

【5】 そのときに、 つぎぶつましましき。 *ざいおう*如来にょらいおう等正覚とうしょうがく明行足みょうぎょうそく善逝ぜんぜいけん無上むじょう調御丈夫じょうごじょうぶ天人てんにんぶつそんづけたてまつる

如来…仏世尊 如来にょらいの十号。

爾時、次有↠仏。名↢世自在王如来・応供・等正覚・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊↡。

◎正宗分 ○法蔵発願  讃仏偈

法蔵発心

とき国王こくおうありき。 ぶつ(世自在王仏)説法せっぽうきて、 こころ*えついだく。 すなはち*無上むじょう正真道しょうしんどうこころおこす。 くにおうてて、 ぎょうじて*沙門しゃもんとなる。 ごうして*法蔵ほうぞうといふ。 *高才勇哲こうざいゆうてつにして、 超異ちょういす。 ざいおう如来にょらいみもともうでて仏足ぶっそく稽首けいしゅし、 *みぎめぐること三帀さんぞうして、 長跪合掌じょうきがっしょうして、 *じゅをもつてめてまうさく

無上正真道の意 この上ないさとりを求める心。 だいしんのこと。
右に繞ること三帀して 右回りに三周するという意。 仏を敬礼きょうらいする作法。
 梵語ガーター(gāthā)の漢訳。 偈ともいい、 韻文体の詩句を指す。

時有↢国王↡、聞↢仏説法↡、心懐↢悦予↡、尋発↢無上正真道意↡、棄↠国捐↠王、行作↢沙門↡、号曰↢法蔵↡。高才勇哲、与↠世超異。詣↢世自在王如来所↡、稽↢首仏足↡、右繞三帀、長跪合掌、以↠頌讃曰。

讃仏

ª光顔こうげん巍々ぎぎとして、 じんきわまりなし

光顔巍巍  威神無↠極

かくのごときの*焔明えんみょう、 ともにひとしきものなし

焔明 こうみょうのこと。

如↠是燄明  無↢与等者↡

にちがつ*摩尼まに珠光しゅこう焔耀えんよう

日月・摩尼  珠光燄耀

みなことごとく隠蔽おんぺいせられて、 なほ*聚墨じゅもくのごとし

聚墨 墨のかたまり。

皆悉隠蔽  猶若↢聚墨↡

如来にょらい容顔ようげんは、 えてたぐいなし

如来容顔  超↠世無↠倫

しょうがく大音だいおんひび十方じっぽうなが

正覚大音  響流↢十方↡

*かいもん精進しょうじん三昧さんまい智慧ちえとの

戒と聞 かい (戒を持つこと) ともん (よく法を聞くこと)。

戒・聞・精進・ 三昧・智慧

とくは、 ともがらなくして、 殊勝しゅしょうにして希有けうなり

威徳無↠侶  殊勝希有

ふかくあきらかに、 よく諸仏しょぶつ法海ほうかいねんじて

諦善念↢  諸仏法海↡

ふかきをきわおくつくして、 その涯底がいたいきわ

竆↠尽↠奥 究↢其涯底↡

*みょうよくいかりとは、 そんながくましまさず

無明と欲と怒り 三毒の煩悩ぼんのう。 無明は真理に対する無知、 欲は貪欲とんよく、 怒はしんの意。

無明欲怒  世尊永無

*人雄にんのう獅子ししにして*神徳じんとくりょうなり

人雄獅子 仏を讃嘆する語。 人中の雄者で獅子のような方。
神徳 不可思議などく

人雄師子  神徳無量

*くん広大こうだいにして、 智慧ちえ深妙じんみょうなり

功勲広大  智慧玅

こうみょうそうは、 *大千だいせん震動しんどう

光明威相  震↢動大千↡

法蔵志願

ねがはくは、 われぶつとならんに、 *しょう法王ほうおうひとしく

聖法王 ここではざいおうぶつを指す。

願我作仏  斉↢聖法王↡

*しょう過度かどして、 だつせざることなからしめん

過↢度生死↡ 靡↠不↢解脱↡

布施ふせ*調意じょういかいにん精進しょうじん

調意 布施ふせ行を修めてしみむさぼる心を除き、 身心を調えること。

布施・調意・ 戒・忍・精進

かくのごときの三昧さんまい智慧ちえすぐれたりとせん

如↠是三昧・ 智慧為↠上

われちかふ、 ぶつたらんに、 あまねくこのがんぎょうじて

吾誓得↠仏  暜行↢此願↡

一切いっさい恐懼くく ˆのしゅじょうˇ に、 ために大安だいあんをなさん

一切恐懼  為作↢大安↡

たとひぶつましまして、 百千億万ひゃくせんおくまん

仮使有↠仏  百千億万

りょう*大聖だいしょうかず*恒沙ごうじゃのごとくならんに

大聖 仏のこと。

無量大聖  数如↢恒沙↡

一切いっさいのこれらの諸仏しょぶつようしたてまつらんよりは

供↢養一切  斯等諸仏↡

どうもとめて、 堅正けんしょうにしてしりぞかざらんにはしかじ

不↠如求↠道 堅正不↠却

(仏身)

たとへば恒沙ごうじゃのごときの諸仏しょぶつかい

譬如↢恒沙↡ 諸仏世界

またかぞふべからざるしゅせつあらんに

復不可計  無数刹土

こうみょうことごとくらして、 このもろもろのくにへん

光明悉照  徧↢此諸国↡

かくのごとく精進しょうじんにして、 じんはかりがたからん

如↠是精進  威神難↠量

(仏土)

われぶつとならんに、 こくをして第一だいいちならしめん

令↧我作仏  国土第一

そのしゅう奇妙きみょうにして、 道場どうじょう超絶ちょうぜつならん

其衆奇玅  道場超絶

くに*泥洹ないおんのごとくして、 しかもひとしくならぶものなからしめん

国如↢泥洹↡ 而無↦等双↥

(十方来生)

われまさに哀愍あいみんして、 一切いっさいだつすべし

我当↣哀愍  度↢脱一切↡

十方じっぽうより来生らいしょうせんもの、 心悦しんえつ清浄しょうじょうにして

十方来生  心悦清浄

すでにわがくにいたらば、 らく安穏あんのんならん

已到↢我国↡ 快楽安穏

請証

ねがはくはぶつ(世自在王仏)*信明しんみょうしたまへ、 これわが*真証しんしょうなり

信明 信は誠信、 明は証明。 まことにして偽りなきことを証明すること。
真証 真実の証明。

幸仏信明  是我真証

がんおこして、 かしこにして所欲しょよく*力精りきしょうせん

力精 力を尽して努めはげむこと。

発↢願於彼↡ 力↢精所欲↡

十方じっぽうそん智慧ちえ無礙むげにまします

十方世尊  智慧無礙

つねにこのそんをしてわが*心行しんぎょうらしめん

心行 願い。 志。
無上正覚の心 だいしんのこと。

常令↣此尊  知↢我心行↡

立誓

たとひをもろもろのどくのうちにくとも

仮令身止↢  諸苦毒中↡

わがぎょう精進しょうじんにして、 しのびてつひにいじº」 と

我行精進  忍終不↠悔

◎正宗分 ○法蔵発願  思惟摂取

請教

【6】 ぶつなんげたまはく、 「法蔵ほうぞう比丘びく、 このじゅきをはりて、 ぶつ(世自在王仏)にまうしてまうさく、〈やや、 しかなり。 そん、 われ*無上むじょうしょうがくしんおこせり。 ねがはくはぶつ、 わがためにひろ経法きょうぼうべたまへ。 われまさに修行しゅぎょうして仏国ぶっこく*摂取せっしゅし、 清浄しょうじょうりょう妙土みょうど*荘厳しょうごんすべし。 われをしてにおいてすみやかにしょうがくりて、 もろもろのしょうごんもとかしめたまへº」 と

無上正覚の心 だいしんのこと。
摂取 選択せんじゃく摂取の義で、 えらびとること。 すなわち、 劣を捨て勝を取ること。

仏告↢阿難↡。法蔵比丘、説↢此頌↡已、而白↠仏言。唯然、世尊、我発↢無上正覚之心↡。願仏、為↠我広宣↢経法↡。我当↧修行摂↢取仏国↡清浄荘↦厳無量玅土↥。令↧我於↠世速成↢正覚↡、抜↦諸生死勤苦之本↥。

汝自当知

ぶつなんかたりたまはく、 「とき*世饒王仏せにょうおうぶつ法蔵ほうぞう比丘びくげたまはく、〈修行しゅぎょうせんところのごときの荘厳しょうごんぶつ、 なんぢみづからまさにるべしº と

世饒王仏 ざい王仏おうぶつのこと。

仏語↢阿難↡。時世饒王仏、告↢法蔵比丘↡、如↠所↢修行↡荘厳仏土、汝自当↠知。

重請

比丘びくぶつにまうさく、〈このじんにしてわが*境界きょうがいにあらず。 やや、 ねがはくはそんひろくために*諸仏しょぶつ如来にょらいじょうぎょう*えんしたまへ。 われこれをきをはりて、 まさにせつのごとく修行しゅぎょうして、 所願しょがん成満じょうまんすべしº と

境界 能力の範囲。
諸仏如来の浄土の行 諸仏がそれぞれの浄土を建立するための行。
敷演 広く説きのべること。

比丘白↠仏。斯義弘、非↢我境界↡。唯願世尊、広為敷↢演諸仏如来浄土之行↡。我聞↠此已、当↣如↠説修行成↢満所願↡。

師教

そのときに、 ざいおうぶつ、 その高明こうみょうがん深広じんこうなるをろしめして、 すなはち法蔵ほうぞう比丘びくのために、 しかもきょうきてのたまはく、〈たとへば大海だいかい一人いちにん*升量しょうりょうせんに、 劫数こうしゅ経歴きょうりゃくせば、 なほそこきわめてその妙宝みょうほうべきがごとし。 ひとしん精進しょうじんしてどうもとめてまざることあらば、 みなまさに*こっすべし。 いづれのがんをかざらんº と。 ここにおいてざいおうぶつ、 すなはちためにひろ二百にひゃく一十億いちじゅうおく諸仏しょぶつせつてんにん善悪ぜんあくこく粗妙そみょうきて、 その心願しんがんおうじてことごとくげんじてこれをあたへたまふ

升量 ますで量を計ること。
剋果 必ず成し遂げること。

爾時世自在王仏、知↢其高明志願広↡、即為↢法蔵比丘↡、而説↠経言。譬如↫大海一人升量、経↢歴劫数↡、尚可↪竆↠底得↩其玅宝↨。人有↢至↠心精進求↠道不↟止、会当↢剋果↡、何願不↠得。於↠是世自在王仏、即為広説↢二百一十億諸仏刹土天人之善悪、国土之麤玅↡、応↢其心願↡悉現与↠之。

超発勝願

ときにかの比丘びくぶつ所説しょせつきて、 *厳浄ごんじょうこくみなことごとく*けんして*無上むじょう殊勝しゅしょうがん超発ちょうほつせり。 そのしん寂静じゃくじょうにしてこころざし所着しょじゃくなし。 一切いっさいけんによくおよぶものなけん。 こうそくし、 *ゆいして荘厳しょうごん仏国ぶっこく清浄しょうじょうぎょう摂取せっしゅす」 と

厳浄 おごそかで清いこと。
無上殊勝の願 この上なくすぐれた本願。 →補註17

時彼比丘、聞↢仏所説↡、厳浄国土、皆悉覩見、超↢発無上殊勝之願↡。其心寂静、志無↢所著↡。一切世間無↢能及者↡。具↢足五劫↡、思↢惟摂↣取荘厳仏国清浄之行↡。

師仏寿命

なんぶつにまうさく、 「かの仏国ぶっこくの ˆ世自在王仏のˇ 寿量じゅりょういくばくぞや」